ユーロ圏の決済不均衡問題、ECBの関心低さに批判の声

2012年 02月 13日 19:14 JST
 
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[フランクフルト 10日 ロイター] ユーロ圏の中央銀行間の決済システムにおける資金移転の不均衡増大を新たな危機の萌芽ととらえる批判派の矛先が、この問題に対するドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁の関心の低さに向けられている。

この問題は昨年、ドイツの有力シンクタンク、IFO経済研究所のハンスウェルナー・ジン理事長が、ドイツのようなユーロ圏の中核国は、「ターゲット2」と呼ばれるユーロ圏のクロスボーダーの決済システムを通じてギリシャやポルトガル、アイルランドなどによる赤字垂れ流しの穴を埋めていると主張し、議論の口火を切った。

基本的に、経済の弱い周辺国で債務が積み上がると、債務・債権関係上で強い国が悪影響を受けやすくなる。ユーロ圏が分裂したりすれば、強い国は特に危険にさらされる。ユーロ圏の分裂を予想する向きは少数だが、批判派は、分裂がなくても不均衡の増大が脅威になっていると主張する。

しかしドラギ総裁は9日の記者会見で、そのような力関係がドイツの信用格付けを損なうのではないかとの質問に、正常かつ通貨同盟に固有な現象だと答え、そうした考えを退けた。

総裁は「ユーロ圏の一部で資金調達環境が圧力がかかった場合、圧力にさらされていない国々の圧力にさらされている国々に対する(ターゲット2の)債権が積み上がる。だがこれは、いわゆる債権国にとってのリスク増大を意味していない」と指摘した。

クロスボーダーの融資が枯渇して民間セクターが資本を引き揚げ、中核国の銀行が資金の出し手とならないため、資金調達面でECBに対する銀行の依存が強まる中、ギリシャ、ポルトガル、スペイン、アイルランドの中銀にはターゲット2という中銀間の賃借関係を通じた債務が大きく積み上がっている。

一方、ドイツには流出量を上回る資金が流入するため、ドイツ連銀にはターゲット2の債権が蓄積している。

ユーロ圏の中銀は、ターゲット2を通じて資金移転の仲介役として機能するECBに対し、債権と債務を保有している。

IFO経済研究所のジン理事長はドラギECB総裁の発言について、不均衡は確かに正常なことだが、現在の不均衡の規模は異常だと指摘する。理事長はロイターに電子メールで「ターゲットの収支は中銀間の資金フローと信用の逆フローの物差しであり、国々が国内流通に必要な量以上の紙幣を電子的に印刷することが可能なことを示している」と説明した。

理事長は以前には、こうした方法が最終的には、ドイツ企業に対する利用可能な信用供与の減少やドイツの信用リスクの高まりをもたらすと指摘していた。

理事長は「結局のところ、ターゲットの収支で測定される過剰なリファイナンスクレジットは、ルクセンブルク救済ファシリティー(欧州金融安定ファシリティー=EFSF)と同様、中核国にとって信用リスクを伴う」と述べた。

こうした見方は、ターゲット2が閉鎖的システムであり、新たな流動性を生み出さず、ECBの全額供給政策は、すべての銀行がほしいだけの資金を手にすることを意味していると指摘するドイツ連銀やECBなどの見解と大きく食い違っている。

ドイツのオスナブリュック大学のフランク・ウェスターマン氏も、ECBなどの見解には同意していない。同氏は昨年12月、カリフォルニア大学のアーロン・トーネル氏と共同で、ドイツ連銀の資金は間もなく底をつき、ユーロ圏の赤字をこれ以上穴埋めすることができなくなるとの見解を公表した。

ウェスターマン氏はドラギ総裁の最近の発言について「正常なことでもないし、リスクがないというのが真実でもない。リスクは存在し、極度に増大している」と指摘。「もしユーロ圏が分裂したら、ドイツ連銀がこれまでに蓄積しているターゲット2の債権4600億ユーロをいかに取り戻すかは不明だ。3000億ユーロにすぎない連邦政府予算と比較すると、この金額は巨額であり、考えてみる必要がある」と述べた。

一方ドイツ連銀はターゲット2の債権増加について、直ちにリスク水準が変わることはないとみている。

ターゲット2を通じて各国中銀に積み上がる債権と債務は、ECBが供与した追加流動性の配分を反映している。

中銀にとっての最大のリスクはこの部分に存在する。金融機関が直面している資金調達圧力を緩和するため、ECBは無制限の資金を銀行に供給しており、担保基準も緩和した。それによってECBのバランスシートは2倍以上に拡大している。

ユーロ圏のすべての中銀が損失の責任を共同で担っているため、(債務が不払いになった場合の)損失について言えば、どの中銀がプラス収支であっても結果に変わりはない。

ギリシャやその他の国がデフォルト(債務不履行)に陥ったり、ユーロ圏を離脱したりした場合には、ターゲット2の収支がプラスかマイナスかにかかわらず、残りのユーロ圏諸国がECBへの資本金拠出比率に基づいて損失を負担することになる。

 
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2月10日、ユーロ圏の中央銀行間の決済システムにおける資金移転の不均衡増大を新たな危機の萌芽ととらえる批判派の矛先が、この問題に対するドラギECB総裁の関心の低さに向けられている。フランクフルトで9日撮影(2012年 ロイター/Alex Domanski)

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