Reuters logo
アングル:中国、海外初の海軍基地で異例の「友好アピール」
2016年3月26日 / 22:02 / 2年前

アングル:中国、海外初の海軍基地で異例の「友好アピール」

[北京 24日 ロイター] - 中国は、アフリカ東部ジブチに建築中の海外初となる海軍基地について、その目的は地域の安全と発展への貢献と説明することで、同国の軍拡主義を懸念する国際社会に対して異例の「友好アピール」に打って出ている。

 3月24日、中国は、アフリカ東部ジブチに建築中の海外初となる海軍基地について、その目的は地域の安全と発展への貢献と説明することで、同国の軍拡主義を懸念する国際社会に対して異例の「友好アピール」に打って出ている。写真はマルタで歓迎を受ける中国海軍のフリゲート艦。2013年3月撮影(2016年 ロイター/Darrin Zammit Lupi)

このようなメッセージは、南シナ海において重要な海上貿易路の領有権を主張し、アジア近隣国や米国の怒りを買う、同国の好戦的な態度とは全く対照的だ。

中国、西沙諸島にミサイル配備

中国、西沙諸島にミサイル配備

中国は、海外基地などを通して軍事領域を拡大する米国型の「覇権」は追求しないと繰り返し主張している。

だが、実際には、まさにその通りの行動をとっているようにも見えるため、中国政府はジブチ基地の根拠について静かに説明し、国営メディアを通じて同国の意図を懸念する向きに対応している。

ジブチの基地について中国の当局者から話を聞いたという西側のある外交官は、「エチオピアの海洋進出を助けるための、『一路一帯』戦略の一環だと中国は説明している」と、中国のシルクロード構想に言及してこう述べた。

同構想の狙いの一つに、中国経済の押し上げや世界各国との結び付きに寄与するであろう大陸間の通商路を開拓することがある。

──関連記事:中国「一帯一路」は幻想か、根深い供給過剰問題

中国メディアによれば、総工費40億ドル(約4500億円)の鉄道建設は、エチオピアの首都アディスアベバとジブチにある中国が投資した新しい港をつなぐ。同港には軍事施設が置かれる予定だという。

中国からこの計画について話を聞いたという別の外交官は、普通なら隠したがる中国政府が同計画にある程度の透明性をもたらそうしているのは「異例」な動きだと指摘する。

「中国は脅威と見られたくないのだろう」と、この外交官は語る。

<警戒するインド>

この件に関し、ロイターは中国国防省から長い返答を書面で得た。それによると、「関係諸国や国際機関」にジブチについて意図することを伝えたとし、ジブチに置く施設の主な目的は、海賊対策や人道・平和維持活動のための補給であると改めて強調した。

「強調されるべきは、中国が平和的発展の道を支持しており、軍拡競争に参画したことはないということだ。これは決して変わらないだろう」としている。

すでに米国やフランスの軍事施設を有するジブチも、中国の施設が海賊対策や通商ルート保護のための補給と他の後方支援に使われるという中国の主張に同調する。

だが、その一方で、たとえ中国が「前哨基地」としての利用を模索し始めても、西側が長年にわたり世界中で同じことをしてきたことを考えれば、心配には及ばないとも指摘する。

人口100万人にも満たないジブチで2月、国際的な海運拠点となるべく同施設の建設が始まった。

しかし、インド洋北西というジブチの位置が、インド国内で懸念を高めている。ジブチが、バングラデシュやミャンマー、スリランカなどに続き、中国と軍事同盟を結び、インドを包囲する「真珠の首飾り」に加わることを危惧しているのだ。

──関連記事:中国の海洋進出に対抗、インドが哨戒活動を強化へ

複数のインド軍当局者はロイターに対し、ジブチにおける中国海軍のプレゼンスは、長年続くヒマラヤ国境紛争により、現在陸と空に限定されているインドの有事対策に、新たな側面を加えることになると話した。

ジブチ同様、軍事基地となり得るパキスタンのグワダール港にも中国が関与していることを考えれば、中国海軍の役割は大いに高まり、インド海軍の脅威となると、インド軍のマンディプ・シン准将は、政府系シンクタンク、防衛問題研究所(IDSA)への論文で指摘している。

「中国海軍はジブチに長距離対応の軍備を整えることが可能であり、インド西岸沖に浮かぶインドの島々だけでなくアラビア海の監視も継続的に行うことができる」と、シン准将は述べている。

<アフリカの首飾り>

中国の王毅外相は、今月開催された全国人民代表大会(全人代)で、海外の拠点がさらに増える可能性に含みをもたせた。

アフリカ大陸では、中国と同国企業の関わる港湾建設がいくつか進んでいる。本来は商港だが、今後これらすべてに中国海軍の艦船が停泊する可能性はある。

中国のある外交筋が匿名を条件に語ったところによると、ジブチに施設を建設するという考えは昨年、中国海軍がイエメンから外国人を避難させたときに浮上したという。

中国のフリゲート艦は艦内の食料などを避難者にほとんど分け与えなくてはならなかったが、新たに補給することができないという問題に直面した。米国とは異なり、中国は常設の補給拠点を持たないからだ。

「(ジブチの施設は)完全なる補給拠点だ」と、この外交筋は語る。

中国政府がジブチを「軍事基地」と呼びたがらない一方で、国営メディアはその言葉の使用を抑制している。

有力タブロイド紙「環球時報」は、王外相の発言後まもなくして、中国はジブチに軍事基地を建設しているのではない、補給施設を造っているだけだとする中国専門家たちのコメントを掲載した。

一方、ジブチ政府は中国と軍事協力を進展させることに大いに乗り気だ。

「ジブチの軍事能力を強化し、同国の安全を保障するため、中国には支援する準備がすでに十分整っている」と、常万全国防相が2014年のジブチ訪問時に語った発言が、北京にあるジブチ大使館のウェブサイトに掲載されている。

(Ben Blanchard記者 翻訳:伊藤典子 編集:下郡美紀)

私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」
0 : 0
  • narrow-browser-and-phone
  • medium-browser-and-portrait-tablet
  • landscape-tablet
  • medium-wide-browser
  • wide-browser-and-larger
  • medium-browser-and-landscape-tablet
  • medium-wide-browser-and-larger
  • above-phone
  • portrait-tablet-and-above
  • above-portrait-tablet
  • landscape-tablet-and-above
  • landscape-tablet-and-medium-wide-browser
  • portrait-tablet-and-below
  • landscape-tablet-and-below