Reuters logo
アングル:日本勢のユーロ債投資が活況、ドル債ヘッジコスト高騰で
2016年3月23日 / 23:07 / 1年前

アングル:日本勢のユーロ債投資が活況、ドル債ヘッジコスト高騰で

3月24日、日銀のマイナス金利を受けて一段と国内運用の機会が少なくなった国内投資家は、過去最大規模の資金を同じくマイナス金利を採用するユーロ圏の債券購入に充てている。フランクフルトのECB本部で12日撮影(2016年 ロイター/KAI PFAFFENBACH)

[東京 24日 ロイター] - 日銀のマイナス金利を受けて一段と国内運用の機会が少なくなった国内投資家は、過去最大規模の資金を同じくマイナス金利を採用するユーロ圏の債券購入に充てている。ユーロ債投資のヘッジコストがドル債投資のヘッジコストに比べて低く、それが国内投資家の誘因になっているとみられる。

<本邦勢の欧州債投資>

対外投資に際して日本勢は通常、スワップ取引などを利用して為替リスクをヘッジする。現状では、ヘッジコストや信用リスクに見合う収益を確保できる場が欧州地域の一部債券のみとなっている。

財務省によると、国内投資家は2月にネットで3兆5600億円相当の外債を購入した。購入規模は過去5年半で最大。内訳はドイツ国債や英国債に比べ利回りの高いフランス国債に集中しているとみられている。

「日銀のマイナス金利導入以降、ヘッジコスト控除後でも相対的に魅力の高い欧州債、特にフランスやベルギーといった国の国債を購入している」と、日本生命の大関洋取締役(有価証券運用担当、CIO)は語る。

日本生命では、米国債は引き続き外債ポートフォリオ投資のコアを占めるものの、新規投資先としては欧州債や米国クレジット商品などに目を向けているという。   

背景には、ヘッジの場である為替スワップ市場で、需給のバランスがドル不足/円過剰に偏っていることがある。

例えば、本邦勢が円投/ドル転スワップを通じて6カ月物のドル資金を調達する場合JPY6M=、約1.3%のコストが発生する。米国債5年物利回りUS5YT=RRは目下1.42%付近であり、本邦勢の投資妙味はほぼないに等しい。

他方、円投/ユーロ転スワップを通じて、6カ月物のユーロ資金を調達する場合は、ユーロ圏もマイナス金利を採用しているため、ヘッジコストEURJPY6M=がほぼゼロになる。

SMBC日興証券・シニア金利ストラテジストの野地慎氏は「欧州債は何と言っても魅力なのが調達コストだ。短期金利は当分ゼロかマイナスだろうという安心感がある。また、日本と米国になくて欧州が持っているものは、スティープなイールドカーブだ。伝統的にロールダウン&キャリーという戦略を取っている日本の銀行などにとっては、ツボにはまるのだろう」と述べる。

「信用リスクは取れない。でも、高い利回りはほしいという資金がフランスに入っている」と、三井住友アセットマネジメント・債券運用グループヘッド、深代潤氏は話す。

日銀がマイナス金利を導入する直前の1月のデータでは、本邦勢が9741億円相当のフランス債を買い越す一方で、ドイツや英国の債券をそれぞれ約2000億円弱売り越している。

アナリストによれば、マイナス金利導入後は地銀を含め本邦勢の欧州債投資が一段と活発化した可能性があるという。

<海外勢のJGB投資>

活況を呈する本邦勢のユーロ債投資の裏では、海外勢の日本国債(JGB)投資が同様に活発化している。

JGBの利回りは12年物までマイナス圏に落ち込んでいるが、海外投資家(非居住者)の国内中長期債投資は、2月に1兆6600億円と4カ月ぶり高水準に達した。

この背景にもヘッジコストの存在がある。本邦勢による円投/ドル転コストが高騰する一方で、ドルの資金市場にアクセス可能な欧米銀は、ドル投/円転スワップを通じて大幅なマイナス金利で円資金を調達できる。

例えば、現状では2年物のベーシススワップでドル資金を円資金に転換しJPYCBS2Y=、マイナス0.2%の2年物JGBで運用した場合、LIBORプラス0.7%の運用益を確保できる状況になっている。

ある米国系運用会社の幹部は「本来、国債の利回りがマイナスであれば、投資家にとっては投資してもしょうがないので、マイナス金利は解消するはず。だが、日銀が大規模緩和で、国債市場に介入しているため、市場の価格形成機能が壊れている。このため、通貨スワップ市場を通じて、価格調整が行われることになってしまっている。」と指摘する。

グローバルな市場におけるマネーシフトの動向をみると、欧米投資家がJGB購入を積極化させ、マイナス金利の深掘りに影響を与える一方、コスト上昇のハードルを乗り越えた国内投資家のマネーが、海外における国債利回りを一段と押し下げている構図が浮かび上がってくる。

佐野日出之 取材協力:植竹知子 協力:森佳子 編集:田巻一彦

私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」
0 : 0
  • narrow-browser-and-phone
  • medium-browser-and-portrait-tablet
  • landscape-tablet
  • medium-wide-browser
  • wide-browser-and-larger
  • medium-browser-and-landscape-tablet
  • medium-wide-browser-and-larger
  • above-phone
  • portrait-tablet-and-above
  • above-portrait-tablet
  • landscape-tablet-and-above
  • landscape-tablet-and-medium-wide-browser
  • portrait-tablet-and-below
  • landscape-tablet-and-below