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アングル:政府・与党、マイナス金利で賛否 公式見解は「静観」
2016年2月10日 / 10:38 / 2年前

アングル:政府・与党、マイナス金利で賛否 公式見解は「静観」

[東京 10日 ロイター] - 日銀がマイナス金利導入を発表した1月29日から2週間足らずで、世界の金融・資本市場の風景が一変した。当初の株高・円安から株安・円高方向の動きとなり、政府・与党内からも「不安」や「懸念」の声も漏れる。ただ、不協和音は一段と不安心理を高めかねず、政府・与党の公式見解は「事態の推移を見守る」ということで一致している。

2月10日、日銀が導入を決めたマイナス金利。政府・与党内からも「不安」や「懸念」の声も漏れる。写真は日銀の黒田総裁。1月撮影(2016年 ロイター/YUYA SHINO)

安倍晋三首相に近い筋は10日、論理的には円安方向に働く政策だと評価したうえで、効果を判断するには「もう少し様子見が必要」と述べた。石原伸晃・経済再生相も2日の閣議後会見で「決定したばかりなので、もう少し見守っていく必要がある」とコメントした。

菅義偉官房長官は9日夕の会見で「日銀が量と質に加え、金利面での緩和を追加したもので、日銀のデフレ脱却に対する強い決意の表れだと思う」と評価。「一般的には住宅ローン金利の低下など消費者投資を促すうえで、好ましい影響を与えるものと思っている」との期待を表明した。

<自民会合で不安の声も>

一方、8日に自民党本部で開かれた日本経済再生本部の会合では、稲田朋美政調会長が、冒頭からマイナス金利政策について「アベノミクス進展、デフレからの脱却に期待しているところだが、一方、不安の声も聞かれる」と指摘した。

ベテラン議員からも「日銀は『異次元』から『超次元』に行ってしまい、金融政策は行き詰まっている。むしろ財政出動を」といった声が聞かれた。

ある政府・与党関係者は「政策が難しくてよくわからない。しかも円高まで付いてきた」と厳しい見方を示した。

日銀のマイナス金利政策は、従来通り年間80兆円の国債やETF(指数連動型投資信託)などの買い入れを継続しつつ、金融機関が日銀に預ける当座預金の一部にマイナスの金利を付与する仕組み。

金融機関の収益を圧迫するため、マイナス金利の付与部分を当初は10兆円程度に限定するなど、金融機関の経営圧迫のリスクを低下させ、金融システムリスクを抑制するように設計されている。

ただ、その結果として、専門家以外にはわかりにくいとの指摘も出ている。日銀には与野党関係者から説明を求める要請が殺到。日銀幹部らが手分けして国会議員事務所に足を運ぶ姿が、連日目撃されている。

<海外発のリスク、難しい政策対応>

これに対し、日銀は政策効果を論じる際に、円安・株高などの市場変動だけをみて評価するのではなく、イールドカーブ(利回り曲線)全般を押し下げることによって、実質金利を下げ、期待インフレ率を押し上げていくのが政策プロセスであり、その意味で政策効果は出ていると説明している。

政府関係者の一部には、株安と円高がどこかで止まらないと、企業や個人の不安心理が増幅され、デフレ的心理が復活し、せっかくの「上げ潮」基調に水を差されかねないとの警戒論もある。

ただ、過度に警戒感をにじませれば、野党からアベノミクスの失敗を認めたのかと攻撃されかねず、「事態を静観」とのスタンスを多くの関係者が示している。

足元の金融市場では、年初の「中国リスク」「原油安」から「米景気後退論」「金融不安」へと、懸念材料がシフトしつつあり、海外からのリスクを注視しながらの展開になりそうだ。

竹本能文 編集:田巻一彦

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