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アングル:「トランプ発言」で海外外交官が米国に異例の警鐘
2016年3月8日 / 07:17 / 2年後

アングル:「トランプ発言」で海外外交官が米国に異例の警鐘

[ワシントン 7日 ロイター] - 米大統領選の共和党候補指名争いでトップを走る不動産王ドナルド・トランプ氏が公の場で行った「扇動的で侮蔑的」な発言に対し、他国の外交官たちが米政府当局者に警戒感を示しているという。

 3月7日、米大統領選の共和党候補指名争いでトップを走るトランプ氏(写真)が公の場で行った「扇動的で侮蔑的」な発言に対し、他国の外交官たちが米政府当局者に警戒感を示しているという。ノースカロライナ州で撮影(2016年 ロイター/Chris Keane)

欧州、中東、中南米、アジア各国の高官は、最近の私的な会話のなかで、トランプ氏の発言に見られる主に外国人嫌悪について不満を漏らしていたと、米当局者3人が明らかにした。

「(トランプ氏の)発言が今後も続き、場合によってはエスカレートするにつれ、世界各国で一部の指導者の懸念も高まる」と、米当局者の1人は話す。

米当局者3人は不満を漏らした外交官の出身国を完全に明かすことは拒否したが、うち2人は少なくともインド、韓国、日本、メキシコがそのなかに含まれていることを明らかにした。

たとえプライベートな会話でも、米大統領選のさなかに他国の外交官が候補者について懸念を表明することは非常にまれだという。特に、大統領選の勝者が誰であっても協力する必要があると意識する米国の同盟国は、国内政治に干渉していると見られたくないと普通は考える。

英国、メキシコ、フランス、カナダなどの指導者層のなかには、すでに公の場でトランプ氏の取る立場を批判している人もいる。ドイツのガブリエル経済相は、6日付ウェルト日曜版のインタビューで、トランプ氏のことを平和と繁栄に対する脅威だと述べた。

トランプ氏の選挙陣営は、この件についてコメントを差し控えた。

日本、インド、韓国の大使館もコメントしなかった。

メキシコ政府の報道官はいかなる私的な不満も確認しないとしたうえで、同国の外相が先週、トランプ氏の政策や発言は「無知で差別主義的」であり、不法移民を阻止するため国境沿いに壁を築くという同氏の計画は「ばかげている」と述べたことを強調した。

米当局者によれば、外交官たちはとりわけトランプ氏が掲げる反移民、反イスラム教徒の政策を懸念している。

欧州や中東の当局者は、トランプ氏の反イスラム宣言が過激派組織「イスラム国」や他のイスラム系武装勢力の勧誘に使われているとして米当局者に懸念を訴えているという。

また、国際的な貿易協定への反対姿勢や、中東の紛争で同盟諸国に役割拡大を求めるトランプ氏のもとで、米国がますます内向きになると危惧する声も聞かれる。

「欧州の外交官たちはトランプ氏の台頭について、信じられないという様子でいつも聞いてくる。今ではパニックとなりつつある」と、北大西洋条約機構(NATO)のある米高官は匿名を条件にそう話した。

「EU(欧州連合)が実存的危機に直面し、米国の支援をかつてないほど必要としているなかで、米国が内向きになることを彼らはいつも以上に心配している」と語る。

100人を超える米共和党外交政策の重鎮たちは公開書簡で、トランプ氏の提案は自国の安全保障を損なうものだとして同氏への反対を表明している。

<質問の嵐>

ブリードラブ在欧米空軍司令官は1日、大統領選をめぐり、米国の同盟諸国の間で懸念が高まっていると指摘。トランプ氏を名指しこそしなかったものの、「今回の大統領選では総じて、欧州の当局者から多くの質問を受けている。候補者たちの討論会をこれまでとは非常に違うものと受け取っているようだ」と語った。

私的な外交関係については具体的には明かさなかったものの、一部の他国当局者はトランプ氏に対する自国政府の懸念を認めた。

英当局者は1月、「ドナルド・トランプ氏の言うことは、私の考えでは、間違っているだけでなく、過激派に勝利するために必要な努力を実際に困難にさせている」とのキャメロン首相の発言を強調した。

中国の当局者は先週、外務省報道官の発言に言及。中国製品に高い関税を課すと提案したトランプ氏の発言を中国は懸念しているかと問われた華春瑩報道官は、特定の候補者についてはコメントを拒否。ただ、中国と米国は国際的な政治・経済の安定を維持する「主な責任」を負っていると強調した。

イラン、イラク、サウジアラビア、ベトナムなど、トランプ氏の標的となっている他の国々の当局者はコメントしなかった。

米国の外交専門家数人も、他国の外交官から不満を聞いたと話す。

「私が話をした外交官は皆、トランプ現象に驚き、心配している。特に中東と欧州の外交官は」と、ジョージ・W・ブッシュ政権下の2001─09年に米国家安全保障会議(NSC)で中東問題を担当し、現在は外交問題評議会シニアフェローのエリオット・エイブラムス氏は述べた。

(Mark Hosenball記者、Arshad Mohammed記者、Matt Spetalnick記者 翻訳:伊藤典子 編集:下郡美紀)

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