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焦点:日銀、景気に自信・物価は控え目 賃上げや為替に不透明感
2017年1月26日 / 10:00 / 8ヶ月前

焦点:日銀、景気に自信・物価は控え目 賃上げや為替に不透明感

 1月26日、新興国経済の底打ちを背景とした海外経済の持ち直しや、円安・株高を受けて、日銀では景気に自信を深めている。写真は日銀の支店長会議、昨年4月撮影(2017年 ロイター/Issei Kato)

[東京 26日 ロイター] - 新興国経済の底打ちを背景とした海外経済の持ち直しや、円安・株高を受けて、日銀では景気に自信を深めている。だが、景気に強気な割には物価の先行きに控え目な見方が多い。

物価2%目標に向けて最も重視される賃上げ機運が盛り上がりに欠け、トランプ米大統領の発言に一喜一憂する不安定な外為市場の動向なども加わり、インフレ期待の高まりを確信するまでには至っていないという事情がある。

<GDPと物価、見通し修正幅にギャップ>

日銀は30、31日に開く次回の金融政策決定会合で、2018年度までの経済・物価見通しを示す「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」を新たに公表する。

景気については、アジア新興国の底打ちを背景に海外経済の持ち直しが明確になる中で、輸出・生産が堅調に推移。さえない動きが続いてきた個人消費も、マインド改善とともに回復基調に転じつつあるとみている。

このため日銀は、昨年12月の金融政策決定会合で海外経済や輸出、個人消費、生産などの判断を軒並み引き上げ、総括判断を1年7カ月ぶりに上方修正した。

次回の展望リポートでは、国内総生産(GDP)の基準改定という押し上げ要因もあり、16、17年度の実質成長率見通しを上方修正する方向で検討が進められている。

一方、物価見通しに関しては、相対的に慎重な声が目立つ。海外経済の持ち直しを背景とした成長率の上振れは、需給ギャップの改善を通じて物価の上昇要因になり、昨年11月の米大統領選後に進んだ急速な円安も、輸入物価を押し上げる。本来であれば素直に、消費者物価(除く生鮮食品、コアCPI)も上振れが見込めるはず。

だが、足元で日銀幹部は逡巡を余儀なくされている。物価を構成する重要な要素である先行きのインフレ期待に関し、なかなか先々の強まりを確信できない事情があるためだ。

日銀が物価の基調を示す指標として試算している生鮮食品とエネルギーを除いた消費者物価(日銀版コアコアCPI)は、15年12月に前年比1.3%上昇と直近ピークを付けた後、すう勢的に下落。昨年11月には同0.2%上昇まで、プラス幅が縮小している。足元のインフレ期待は「弱含みの局面が続いている」と認めざるを得ない状況にある。

<賃上げ、強気になり切れない労組>

物価2%目標の達成には、先行きのインフレ期待の高まりが不可欠だが、最も重視している今年の賃上げは、昨年の円高進行で企業収益の下振れが見込まれる中、経営サイドは引き続き慎重姿勢。

ロイターが資本金10億円以上の中堅・大企業400社を対象に1月4日─17日に実施した調査では、63%が今春闘において「ベアを実施しない方向」と回答している。

また、春闘の相場形成に最も影響力のあるトヨタ自動車では、労働組合側が年間一時金の要求水準を前年の7.1か月分から6.3カ月分に引き下げた。

さらに労使交渉では、物価の実績が重視される傾向があり、コアCPIが昨年4月以降、マイナス圏に沈んでいることも賃上げ機運が盛り上がりを欠く一因に指摘されている。

しかし、これまで物価の押し下げ要因となっていたエネルギー価格下落の影響は、着実に減衰しており、今年の物価が上昇に転じるのは確実。相応の賃上げが実現しなければ、せっかく明るさが見えてきた個人消費に水を差しかねず、経済の好循環とインフレ期待の上昇でデフレ脱却を狙う政府・日銀はいら立ちを隠さない。

<保護主義の色彩強めるトランプ発言>

トランプ政権への期待から急速に進行した円安も、同大統領が貿易不均衡問題で日本を名指しするなど保護主義的な政策への懸念を反映し、足元ではドル安/円高方向への動きも見え始めた。市場では、同大統領の発信に一喜一憂する不安定な相場展開が続いている。

輸出企業を中心に円安は収益の上振れ要因になるものの、変動の激しい市場動向が「企業の不透明感を強める一因になっている」(国内金融機関)との指摘が少なくない。企業や家計のインフレ期待が高まらなければ、円安による価格転嫁や需給ギャップの改善も進まず、むしろコストアップが強く意識される展開も否定できない、というわけだ。

足元の物価が日銀の想定より弱めで推移していることもあり、次回の展望リポートにおける17年度の物価見通しの上振れは、微修正の範囲内にとどまる可能性が大きい。日銀では現在、物価2%の達成を18年度ごろと見込んでいるが、黒田東彦総裁が指摘する「追い風」を感じながらも、確信を深めるには依然として材料不足のようだ。

伊藤純夫 編集:田巻一彦

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