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コラム:期待される日銀マイナス金利の円高防止効果
2016年2月5日 / 03:40 / 2年後

コラム:期待される日銀マイナス金利の円高防止効果

 2月5日、世界経済のエンジンである米景気への懸念が、市場のリスクオフ心理を高め、ドル全面安となっている。写真は日銀。都内で昨年6月撮影(2016年 ロイター/Toru Hanai)

[東京 5日 ロイター] - 世界経済のエンジンである米景気への懸念が、市場のリスクオフ心理を高め、ドル全面安となっている。イエレン米連邦準備理事会(FRB)議長が10日の議会証言で、海外経済動向を注視すると言えば、3月利上げ観測が後退し、ドル安が進展。日本は円高・株安リスクに直面する。

ただ、日銀のマイナス金利付き量的・質的金融緩和(QQE)の効果で115円を維持できれば、日経平均.N225の大幅下落は回避できるのではないか。

<ドル全面安、米利上げ観測の後退で>

4日の欧米市場から5日の東京市場にかけて起きているのは、ドルの全面安とその反射的動きである円高の進行と日本株安だ。

ドル安の原因は、3月米利上げ観測の後退にある。まず、今月1日にフィッシャーFRB副議長が年内4回の利上げはあらかじめ決まっているわけではない、と1月初めの強気発言をトーンダウンさせた。また、年初からの市場変動や不透明感が米経済に与える影響を見極める必要があるとも発言した。

ダドリー・NY連銀総裁は3日、昨年12月の米利上げ以降、金融状況がひっ迫していると指摘。こうした状況が継続するなら考慮する必要があると述べた。さらに世界経済見通しの悪化や、ドル高の一段の進行は、米経済に「重大な影響」を及ぼすおそれがあるとも語った。

イエレン議長に近い2人の発言で、米市場における3月利上げ観測は急速に後退。その後のドル安地合いを形成する大きな要因になった。

また、米経済指標もさえない結果が連続して出ている。4日発表の1月米ISM(米供給管理協会)非製造業総合指数は、事前予想の55.1を下回る53.5と2014年2月以来の低水準となった。

景気減速の影響が、製造業から非製造業に波及しているとの見方が浮上。米景気の先行き不透明感を高めた。

さらに12月米製造業受注は前月比マイナス2.9%と1年ぶりの大幅な落ち込みとなった。

米アトランタ地区連銀が発表しているGDP・NOWでは、2016年1─3月期のGDP推計がプラス1.2%(1日時点)となっており、力強い景気回復の軌道とは言えない姿を映し出している。

<イエレン発言後に起きる市場現象>\

こうした米経済の決して強くない側面を意識させられている市場にとって、もし、10日にイエレン議長が、3月の利上げ判断に関し、直接的な言及は避けたとしても「世界経済や市場動向の不透明さを見極める必要がある」と発言すれば、リスクオフ心理が強まる可能性が高まると予想する。

最近の米株は、原油価格との連動性を強めているため、足元での原油価格のじり高傾向が続けば、ダウ.DJIなどの主要株価は、比較的安定的に推移するかもしれない。

しかし、ドルは全面安の色彩を強めるのではないか。ドル指数.DXYは3日に急落し、5日も96ポイント台と急落前の水準を回復していない。

5日の米雇用統計の発表をこなし、10日のイエレン議長の証言を受けて米利上げ観測が一段と後退すれば、ドル指数はさらに低下する公算が大きい。

<円高圧力と日銀マイナス金利の効果>

ドル全面安は、ドル/円JPY=EBSでは円高現象となる。ただ、日銀が1月29日に打ち出したマイナス金利付きQQEは、ドル/円の下落を食い止める「効果」を果たすと予想する。

日銀がマイナス0.1%からさらにマイナス幅を深くすることになれば、円安材料として市場は反応する。日銀が機動的に追加緩和をしてくるとみれば、円買いを仕掛ける投機筋も、なかなか円買い継続を決断できない、という心理に傾くだろう。

そこが、マイナス金利採用の大きな「効力」であり、日銀が獲得した「武器」は、投機筋にとって侮れない存在と言える。

市場が「黒田ライン」として意識する115円が、日銀の追加緩和への思惑で維持されれば、PER(株価収益率)14倍時に推移するとみられている日経平均1万6000円を割り込む可能性は低いだろう。

ただ、イエレン議長の発言次第で、世界的にリスクオフ心理が予想以上に強まり、原油安現象が再開するようになれば、円高圧力が予想外に高まる展開もありえる。

このリスクシナリオでは、投機筋と政府・日銀との神経戦が激しく展開されることになるだろう。

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