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焦点:外債投資に悩む国内投資家、新年度は3兆円売り越しスタート
2017年4月21日 / 09:53 / 6ヶ月後

焦点:外債投資に悩む国内投資家、新年度は3兆円売り越しスタート

 4月21日、2017年度は外債投資の運用スタンスをめぐって国内機関投資家が悩みを深める年となりそうだ。写真はディーリングルーム、1月ワルシャワで撮影(2017年 ロイター/Kacper Pempel)

[東京 21日 ロイター] - 2017年度は外債投資の運用スタンスをめぐって国内機関投資家が悩みを深める年となりそうだ。

日本の低金利環境が続くなかで、外債中心の投資となる見通しだが、中核的な位置を占める米国債の利回りが期待ほどに上昇せず、各社の対応はバラバラ。運用担当者の腕が試される「難しい局面」となるなか、期初は3兆円の益出し売りから始まり、「安全志向」の国内勢の本音が見えた格好だ。

<珍しくない「期初の売り」>

財務省が発表する対外・対内証券投資では、国内居住者による中長期債投資は、今年4月の第1週(2─8日の週)が2兆1757億円の売り越し、第2週(9─15日)が7962億円の売り越しとなった。

4月はいわゆる「期初の売り」から始まることは珍しくない。2013年からのアベノミクス相場では、4月1・2週はすべて売り越しだ。「新年度の最初に一定の利益を積んでおくと安心できる」(国内投信)という国内系ファンドマネージャーの心理が、そこに反映されているとみられる。

実際、16年半ばまで金利が低下(債券価格は上昇)し続けたアベノミクス相場では、4月後半にかけて買い越しに転じた年が多い。

16年も4月1・2週で2.7兆円売り越した後、3・4・5週で3.2兆円買い越した。「今年は期初の調整売りが、まだ一巡していないのかもしれない」(国内証券)との見方も出ている。

<ヘッジコスト上昇に警戒>

だが、今年は外債投資の環境が、いつになく厳しい。トランプラリーで上昇した米国債利回りは早くも失速。10年米国債利回り(長期金利)US10YT=RRは、下限とみられていた2.3%をあっさり割り込んだ局面があった。

一方、超低金利の日本国債に替わり、代替商品として為替ヘッジ付外債が注目された場面もあった。特に米国債は人気があり、公式データはないものの、保険業界では「各社各様ながら、16年は全体としてヘッジ比率が前の年に比べて高まった」と、フィッチ・レーティングス・ジャパンのダイレクター、森永輝樹氏は指摘する。

しかし、為替ヘッジのためのドル調達コストが昨年後半に上昇。ヘッジ付米国債の「手取り収益」が目減りし、投資妙味が薄くなってきた。

足元では、昨年末よりやや低下しているが1.5%付近で「仕上がり」のリターンは1%を下回る。この先、米連邦準備理事会(FRB)は2回の利上げを想定しており、短期金利が上がれば、ヘッジコストも上昇する。

ヘッジ付き外債のヘッジ部分は、数カ月ごとに付け直される。ヘッジコストが足元で落ち着いた動きだとしても、再び上昇するリスクを踏まえれば「いかにヘッジコストを抑えていくかは課題」(大手生保幹部)との声もある。

ユーロのヘッジコストは、ドルほど上昇していない。しかし、欧州の政治リスクがくすぶるなかで「リターンが高いからといって、フランスやイタリアの国債などに投資するのは難しい」(中堅生保の運用担当者)という。

<オープン外債は「両刃の剣」>

そこで一部の生損保の運用担当者は、オープン外債に目を付けている。為替ヘッジコストが不要なため、2%超の米国債の利回りがそのまま手に入る。円安(ドル高)になれば、為替差益も期待される。

ある大手生保関係者は「ドル高になる場合、米金利が上昇(債券価格は下落)し、ヘッジ付外債にキャピタルロスが出る可能性があるが、オープン外債を買っておけば、ドル高による為替差益でヘッジ外債のヘッジになる」と話す。

実際、期初のマーケットでは「早々にオープン外債の打診買いや、ヘッジ付き外債のヘッジ外しの動きが見られた」(国内金融機関)との声が相次いだ。

三井生命保険が20日発表した2017年度の運用計画では、外国債券のうち、為替ヘッジ付き外債を数百億円程度減らす一方、ヘッジなしのオープン外債を1000億円以上増やすことを明らかにしている。

とはいえ、オープン外債は円高(ドル安)になれば、為替差損が発生する「両刃の剣」。欧州の政治リスクや北朝鮮を巡る地政学リスクが顕在化すれば、一段の円高が発生する可能性もある。

ドル/円JPY=が反発するタイミングを見極められるか──。各運用担当者の腕が試されそうだ。

平田紀之 編集:伊賀大記

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