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コラム:ブレグジットの「痛み」後ずれ、英中銀が抱える課題
2016年11月4日 / 03:57 / 1年前

コラム:ブレグジットの「痛み」後ずれ、英中銀が抱える課題

 11月3日、イングランド銀行(英中央銀行、BOE)は、英国のEU離脱(ブレグジット)に関する金融市場と消費者の見方に温度差が生じている事態に直面している。写真はBOE。ロンドンで撮影(2016年 ロイター/Peter Nicholls)

[ロンドン 3日 ロイター BREAKINGVIEWS] - イングランド銀行(英中央銀行、BOE)は、英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)に関する金融市場と消費者の見方に温度差が生じている事態に直面している。

投資家がEU離脱が英経済に及ぼす悪影響を懸念しているため、ポンドは急落した。一方で消費者はまるで状況が何も変わっていないかのように行動している。いずれカーニー総裁は、景気が鈍化する中で物価高騰が進むという厳しい事態に対処しなければならなくなる。

6月の国民投票前と直後に、BOEが懸念していたのはブレグジットがもたらす実体経済と金融市場への打撃だった。ポンドは対ドルで最大20%下落した点からすれば、市場に絡む不安は正しかったと言える。しかし英経済は予想されたよりずっと底堅く推移し、第3・四半期国内総生産(GDP)は0.5%増になった。

この実際の経済動向と想定のずれはどう説明すべきなのか。カーニー氏は、消費者が現在の個人的な体験の延長線で先行きを考えているためだと分析する。今のところ失業率は低く、可処分所得はしっかりしているし、銀行もいくらでもお金を貸してくれる。

一方で金融市場は、英国がEU離脱で単一市場へのアクセスを維持できるかどうかを慎重に探ろうとしている。ロンドンの高等法院が3日、EUの正式離脱手続き開始には下院の承認が必要と判決を下すと、ポンド相場が跳ね上がったのがその証拠だ。

ところが来年になると輸入物価上昇で可処分所得が目減りし、消費者も金融市場もそろって悲観ムードに傾くはずだ。BOEは、不確実性が企業投資を圧迫しているとも指摘。2017年の成長率見通しこそ引き上げたが、18年は1.5%まで鈍化すると予想した。物価上昇率は17年第4・四半期までに2.7%に達するという。

つまりBOEは、ブレグジットの痛みは消え去ったのでなく遅れて顕在化するだけで、これからの物価高で経済はさらなる調整に見舞われると考えている。

そうなるとBOEには、新たな課題が提示される。景気後退の心配よりも予想物価の上振れが制御不能にならないよう万全を期すことが喫緊の問題なのだ。だからこそBOEは追加利下げ方針を撤回し、物価上昇率の目標からの上振れ許容には「限度がある」と警告した。EU離脱交渉をめぐる不確実性が長期にわたることを踏まえれば、カーニー氏は対応に追われる日々が続くだろう。

●背景となるニュース

*BOEは3日、追加利下げ方針を撤回して今後の政策運営は政策金利を上下どちらにも動かす可能性があると表明した。英国民投票移行のポンド急落で2017年の物価見通しが大きく上振れたためだ。

*BOEが政策運営姿勢が中立的になったため、ポンドは上昇し、英国債価格は下落した。

*EU離脱決定が経済に及ぼす悪影響については、短期的には従来の想定ほど大きくならないとした一方、単一市場へのアクセスが「著しく低減」する可能性があり、それが成長を「長期にわたって」疎外する恐れがあると警告した。

*物価上昇率に関しては、ポンド/ドルが31年ぶりの安値に沈んだことで目標から記録的にオーバーシュートすると予想。声明で17年の物価上昇率が2.7%と現在の3倍近い伸びになるとした上で、「目標からの上振れ容認には限度がある」と述べた。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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