インタビュー:「JTT―705」に大型化の可能性=JT取締役
[東京 10日 ロイター] 日本たばこ産業(JT)(2914.T: 株価, ニュース, レポート)の医薬品事業を担当している大久保憲朗取締役・専務執行役員は10日、ロイターとのインタビューで、医薬品事業が安定的に収益に貢献するには「導出した化合物が海外で販売されることにより安定的なランニングロイヤリティが入ってくることが条件」と指摘。スイス医薬品大手のロシュ(ROG.VX: 株価, 企業情報, レポート)が海外でフェーズ3試験を進めている脂質異常症治療薬「JTT―705」が1000億円規模の大型医薬品となることと、大きな関係があると述べた。
大久保取締役は、「JTT―705」について「最も開発が進んでいるプロジェクトのひとつ。大型化するポテンシャルを秘めていると期待している。これが大型化することは、医薬品事業が採算化することと、非常に大きな関係があると思う」と述べた。大型化とは、1000億円規模をイメージしているという。
「JTT―705」は、ロシュに日本を除く全世界での開発・商業化権を導出。ロシュは、2012年以降に承認申請を行うことを明らかにしている。
一方、抗HIV薬「JTK―303」は、米国ギリアド・サイエンシズ(GILD.O: 株価, 企業情報, レポート)に日本を除く全世界での開発・商業化権を導出している。現在、ギリアド社が海外でフェーズ3試験、JTが国内でフェーズ1試験を行っているが、抗HIV薬は、日本でのフェーズ2、フェーズ3試験が求められておらず、これまでは、海外データで申請・承認を受けていることから、国内では、現在フェーズ2にある「JTT―705」より先に発売できる可能性があるという。
一方、導入については「過去は導入を積極的にやっていたが、今は自社研究にフォーカスしており、大きな投資をする計画はない」と述べた。
海外で自社の販売網を持つ可能性については「将来においては検討オプションになる。徐々に我々の力が付いてくれば、ケースバイケースでいろいろなことを考えたい」とした。ただ、海外展開するには「安定的に自分たちで新薬を供給できることが大事。まずは、海外での開発や承認申請を自力で行うことが先」とし、海外での自社販売は次の段階と位置付けた。
JTは「糖・脂質代謝」、「免疫・炎症」、「ウィルス」、「骨」の4領域を重点領域として、医薬品事業に取り組んでおり、現在、9品目が臨床開発段階にある。国内たばこの市場が縮小傾向にあるなかで、医薬品事業と食品事業をたばこ事業の次の収益の柱に育てる方針。ただ、医薬品事業は、化合物の導出に伴う一時金が入った09年3月期は10億円の営業黒字になたものの、2010年3月期は165億円の赤字見通しで、現在は、単年度の導出一時金に影響を受ける状況にある。2012年3月期を最終年度とする中期計画の中では「後期開発品の充実とR&Dパイプラインの強化を目指す」としている。
(ロイターニュース 清水 律子記者 西谷 優美子記者)
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