再送:前向き循環メカニズムの起点である世界経済に重要なリスク要因=武藤日銀副総裁
[札幌 10日 ロイター] 武藤敏郎日銀副総裁は10日、札幌市金融経済懇談会でのあいさつで「生産・所得・支出の循環メカニズムは一時的に弱まっているが、途切れてしまうとは考えていない」とした上で、「メカニズムの起点である世界経済に重要なリスク要因がある」と警戒感を示した。
サブプライムローン(信用度の低い借り手向け住宅ローン)問題に端を発した米国景気と国際金融市場の動揺に関して「米国経済は減速傾向が強まっている」とし、「この先の個人消費と設備投資が下振れすれば、米景気が一段と減速する可能性」にも言及。金融市場の調整にはそれなりの時間がかかり、その過程で関係者に損失が発生することは避けられないと述べ、これらが日本の景気拡大の大前提にも影響する可能性に、これまでより強い危機感をにじませた。
<日本経済は減速続く、循環メカニズム一時的に弱まり>
武藤副総裁は「日本経済は、足元で住宅投資の落ち込みなどから減速しており、先行きも当面減速が続くものの、その後は緩やかな拡大を続けるとみている」と述べた。企業部門については堅調な状況が続いていると評価できるとした一方、家計部門は、消費者マインドが下振れしているとし、「賃金が伸び悩む一方で、ガソリン・灯油・食料品などの生活必需品の価格が上昇していることなどが影響しているものと思われる」と指摘。「こうしたマインドの悪化の影響を含めて、個人消費の動向については、引き続きよくみていく必要があると考えている」と慎重な見方を示した。
住宅投資については「改正建築基準法の施行後、建築確認の手続きに遅れが生じていることから急減しているが、先行きは、手続き面の遅れが解消に向かうにしたがって、次第に回復すると考えられる」と、一時的な急減との見方を示した。ただし「首都圏を中心に物件価格の上昇などからマンション販売に弱さが見られており、回復のペースや水準については不確実な面がある」とも指摘。元通りに回復するかどうか分からず、停滞が続く可能性にも言及した。
消費者物価がプラスに転じたことについては「目先、石油製品や食料品の価格が上昇する中で、さらにプラス幅が拡大するとみられる」とした。ただ「わが国の景気は現在減速しているとみられ、そうした下で需給ギャップのプラス方向への動きは当面足踏みすると思われる」と指摘した。
<メカニズムの起点たる世界経済にリスク要因>
武藤副総裁は現在の景気減速について「わが国経済は、もともと緩やかなペースで拡大していたところに、原材料価格の高騰、住宅投資の急減、世界経済の不透明感の高まりといったマイナスの要素が加わり、減速している」と分析。その上で「現在、生産・所得・支出の好循環メカニズムは一時的に弱まっているが、これでメカニズムが途切れるとは考えていない」と述べた。 続く...


