悪くない企業業績、450社ベースで今期経常利益+7.2%
水野 文也記者
[東京 1日 ロイター] 2008年3月期の第3四半期決算発表が前半のヤマを通過し、業績見通しの概略が明らかになってきた。米サブプライムローン問題の影響、円高や原油高など環境面に厳しさが増していることから、今期予想について悪化が懸念されたものの、これまで発表された内容をみる限り、経常利益ベースで7.2%増と中間期時点から小幅の下振れにとどまり、思ったほど悪くなっていない。
ただ、円高などの悪材料への感応度の違いにより、好調業種と不調業種の二極化が進んでいる。
新光総合研究所がまとめた2008年3月期中間期決算集計(東証1部)によると、31日までに決算内容を開示した450社(対象はデータ取得可能な金融を除く東証1部上場企業、全1202社で発表率は37.4%)の通期見通しの経常利益増減率は7.2%増となっている。中間期時点での集計結果は8.3%増だったことから、3カ月間で全体としては、やや下方修正された格好だが、大幅な悪化にはいたっていない。
上方修正あるいは下方修正を行った企業を区分すると、上方修正66社(全体比14.7%)、据え置き321社(同71.3%)、下方修正63社(同14.0%)と上下に大きくブレるパターンにはならなかった。
同研究所の担当者は「市場が想定したほど、企業業績は悪くなっていなかった」とした上で「直近の3カ月間でサブプライム問題のほか、円高、原油高など悪材料が多かったが、現時点ではこれらの業績に与える影響は限定的と分析することが可能」と指摘する。 ただ、今後に関して企業が慎重な姿勢を示していることも事実だ。450社の第3四半期(10─12月)の経常利益実績が前年同期比9.0%増を確保したのに対し、第4四半期(1─3月)の予想は全体で2.3%増と低く抑えている。
<好調な電機や機械、鉄鋼や電気・ガスは悪材料を吸収できず>
一方、全体的には大きな落ち込みはないものの、業種別でみると好不調が大きく分かれる。電機や機械といった業種は、サブプライム問題、円高や原油高といった悪材料を乗り切っているのに対し、鉄鋼、電気・ガスなど吸収し切れていない。
好調業種の中からは「為替がドル安/円高に振れている点を考慮した。この点は新興国の需要拡大でカバーできる」(コマツ(6301.T: 株価, ニュース, レポート)の木下憲治常務CFO)、「在庫に関しては健全な状況にある。内部の経営革新活動に取り組んでおり、円高は急激に来たが、十分にそれに対応する状況を作れた」(キヤノン(7751.T: 株価, ニュース, レポート)の大澤正宏常務)などの声が出ていた。
反対に、不調業種では「フレートを中心に原材料価格の高騰を吸収し切れなかった」(住友金属工業(5405.T: 株価, ニュース, レポート)の本部文雄副社長)といったコメントがある。
東京電力(9501.T: 株価, ニュース, レポート)の武井優常務は仮に1バレル=90ドルの原油価格で火力発電費用を計算すると「5000―6000億円が燃料費増加分として出てくる。単独で3500億円の経常利益は確保したいと言ってきたが、一瞬にして飛んでしまう」と述べた。
丸八証券・企業情報部長の細井克己氏は「業績の好不調がはっきりする中で、物色の選別色が進むだろう。グローバル資金が買いの中心となるため、好調業種の国際的な知名度が高い企業に注目が集まるのではないか」と指摘している。
(ロイター日本語ニュース 編集 田巻 一彦)
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