インタビュー:次期日銀総裁、「物価上昇率0はデフレ」認識持つ人に=自民・中川氏
[東京 1日 ロイター] 自民党の中川秀直元幹事長は1日、ロイターのインタビューに応じ、次期日銀総裁人事について、政府と共有する政策目標の考え方が重要だとし、共有すべき政策目標の第1にデフレ脱却を挙げた。
物価上昇率ゼロ%はまだデフレ状況との認識を持つ人が望ましいと述べ、日銀が政策の指針とする「物価安定の理解」で示した0─2%よりも高い目標を次期総裁に求めた。
サブプライムローン(信用度の低い借り手向け住宅ローン)問題を契機に動揺する金融資本市場と世界経済を安定させるために日本がとるべき政策については、金融緩和のほか、2008年度に国債償還に充てる予定の財政投融資特別会計準備金9.8兆円を全額市中からの買い入れに充てるべきだと述べた。
財務省は、財政投融資特別会計からの取り崩し分9.8兆円については、市中から約3兆円、財政融資資金から約3.4兆円、日本銀行から約3.4兆円の国債を買い入れ消却する予定だが、中川氏は「埋蔵金10兆円の使い方について正しい方法をとる必要がある」と提言。全額市中から買い入れ消却することによる政策効果を強調した。
インタビューの概容は以下の通り。
──世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)出席の感想は。
「2年前に比べて、日本のプレゼンスがますます小さくなったように思う。国際目線を忘れてはならないと痛感した」
──2月の7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)では、サブプライム問題を契機とした金融資本市場の動揺などに対処して政策協調が問われている。
「先進国のマクロ政策は、金融政策に重点が移行していると思う。財政政策から逃げているわけではないが、金融政策は有効だ」
「日本については、福田首相がダボス会議でも、1)各国それぞれ状況があり、やり方がある、2)日本は財政出動は考えていない、3)政策協調は重要だ──と答えているが、私もこれが正しいと思う」
──日本の役割は。
「主要国としてふさわしい政策をとることが、世界経済の安定に資する。日本は、サブプライム問題の直撃はないが、こういう時こそ世界に貢献できるはずだ。そういう意味で日本がとる(べき)政策は金融緩和ともうひとつ、『埋蔵金』10兆円(財政投融資特別会計準備金9.8兆円)の使い方について正しい方法をとる道を考えること」
「市中にある国債を買い戻すことで、大きな効果がある。国債市場の需給が改善し、長期金利は低下し、設備投資の誘発につながり、生産力向上につながる。投資減税に勝るとも劣らない成長戦略になる」
「(同様の措置をした2006年度には)12兆円は(市中国債ではなく)日本銀行保有の国債の償還に使った。これは日銀のマネー縮小で、結果として財務省と日銀はデフレ対策の足を引っ張った。今度はその誤りを繰り返してはならない。これは日本の市場を通じた貢献になる」
──今すぐにでも利下げすべきと考えるのか。
「政策手段は日本銀行が決めることでコメントしない。しかし、デフレがまだ直っていないときに、通貨供給量を減少させるということはすべきでない」
「日本の金利水準は確かに0.5%しかない。下限にはり付いている状況で、米国のように簡単ではないことは分かる。しかし、デフレ脱却の政策目標は共有すべきと言い続けてきたが、21日にも政策決定会合があるが、そういう範囲でやるべきだ」
──福井日銀総裁の後継総裁に求める資質は。
「重要なのは、『誰が』ではなく、どういう政策目標を持っていて政策と協調してやっていくことができるかだ」
「共有すべき政策目標の第1はデフレ脱却」
「デフレ脱却は(当初)2006年度としながら2008年まできている。その意味では、数値目標が日銀にあってもしかるべきだ」
──日銀は政策の指針とする「物価安定の理解」で0─2%を事実上政策目標に置いている。もっと明示的にした方がよいということか。
「物価上昇率ゼロが物価安定と言えるのか。デフレが直っていないということではないか。(物価安定とは)少なくとも(上昇率)1─2%ないし1-3%だろう。そういう考えを持った人が望ましい」
──デフレ脱却が遅れているが、金利正常化は間違いだったのか。
「たとえば、原油価格が高騰している。日銀は、国内物価に波及しないように、フォワードルッキングで引き締めようとする。それは誤りである。ここは金融緩和が正解だ。今度の日銀総裁人事でも、物価上昇率ゼロは物価安定なのか、そうではないのではないか、候補者にはこの点の意見を聞きたい」
──日銀総裁には武藤副総裁の昇格が有力と言われているが、政府から、福井体制の下で金利正常化路線を進めてきた執行部の1人である武藤氏の提案があった場合、支持するか。
「そういう提案があるかどうかも分からないので、答えられない」
──民主党は政府に対して複数候補の提示を求めている。
「それは難しい。政府は、(人選を)十分考慮して与野党に諮っていくべきだ」
──与野党間の調整が不調に終わると期限内に決まらない「空席リスク」が生じるが。
「(政府は)1回で諮らないといけない。空白は作れないし、作らない。当然だ」
(ロイター日本語ニュース:吉川 裕子編集委員、佐野 日出之記者)
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