急激なドル安/株安が一服、1万3000円割れには長期資金の買い
[東京 4日 ロイター] 4日の東京市場は小動きが続いた。前日のNY市場で予想を上回った米国の指標をきっかけに急激なドル安が一服、株式売り/債券買いにも一応の歯止めがかかった。
バーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長の発言を機に金融市場に広がった動揺はまだ収まっていないものの、一部ではオーバーシュートの観測も出始めた。日経平均の1万3000円割れの水準では年金などの長期資金の買いが観測されるなど波乱を抑制する動きも指摘されている。ただ、きっかけさえあれば地合いが急変するのが最近の相場。市場参加者は突然の変動に身構えている。
<ドル買い戻し、持続性は不透明>
為替市場は前日とは一転、東京タイムでは大きな動きはみられなかった。ドル/円は103円半ばでしっかり。前日海外市場で予想を上回る2月米供給管理協会(ISM)製造業部門景気指数を受けて、ドルが買い戻された流れが続いた。対ユーロでもドルは朝方の1.52ドル前半から一時1.5182ドルまで上昇した。
市場では「(金融機関の破たんの可能性に触れた)バーナンキFRB議長の議会証言以降、対ユーロ、対円ともにドル売りが激しすぎた。いったん利益確定の買い戻しが入りやすい」(都銀筋)という。
別の都銀関係者は「FRB議長の議会証言以降、「サプライズはドル売り」という地合いが続いていたが、変化もみられる。ドル/円は108円からの下げが速かったので、少し、戻りがあるかもしれない」という。
ただ、サブプライムモーゲージ(信用度の低い借り手向け住宅融資)問題を手掛かりとするドル売り地合いに変わりはないとの見方もある。ある外銀の為替担当者は「(7日発表の)2月米雇用統計前のポジション調整程度の動きではないか」と話している。
<株式はボックス・下抜けで見方割れる>
株式市場では日経平均が小幅に反発。ドル安/円高が一服したことや、前日の米国株市場が比較的落ち着いていたことなどから買い戻しが先行した。もっとも、一時は100円を超す下げ幅となるなど不安定な動きは続いている。「1万3000円以下では国内長期資金の買いが入るため、大きくは崩れないが、戻りが鈍いと先物売りに上値を抑えられる」(準大手証券エクイティ部)という。
国内証券の先物ディーラーは「システム売買中心の相場になっている。一部参加者の出す大口注文で相場が大きく振れており、手を出しにくい。現在は要所要所で押し返す逆張りが全盛であり、1万3000円付近から1万4000円付近のボックス圏相場の形成を演出している」とみている。
一方、新光証券エクイティ情報部次長の三浦豊氏は「国内材料で反転するのは難しいだろう。ショートカバーを挟みながら外部環境次第の神経質な展開が続く」と話す。そのうえで「日経平均の昨年来安値1万2572円68銭を付けた1月22日が底とは言えない状況になってきた。米景況感が当時よりも悪化しているうえ、円高が続けば日本企業の業績の見通しも下方修正される可能性が大きい」と警戒する。
<新興国/資源関連株に買い>
前日の株式市場では、米国経済の減速がドル安をもたらし、新興国経済にも影響を与えるというカップリング論が過度に強調されたが、この日はにわかにデカップリング論が復活した。新興国需要が期待できる海運株、商社株などが値上がり率上位に並んだほか、機械株や非鉄株なども堅調な動きを示している。「米景気動向を考えれば完全なデカップリング・シナリオは難しいが、相対的には新興国関連や資源関連が買いやすい。商社株や海運株を突破口にしようという動きが出ている」(三菱UFJ証券投資情報部部長代理の山岸永幸氏)と市場関係者はみている。
デカップリング論とは、リスクマネーが流出する米国で景気停滞が続くものの、資金の流入する資源国や新興国では高成長が続くという考え方だ。実際、2008年の世界の名目GDPに占める新興国の比率は30%を超え、米国を上回るという調査機関の報告も出ている。米国不安をことさら強調した弱気相場は多少修正される可能性もある。
<10年債入札弱めでも強気論多く>
円高/株安の一服を受けて、円債市場は反落。10年利付国債入札があったことも需給面で証券会社など業者のヘッジ売りを誘い、相場の上値を抑えた。
もともと長期債の入札前には国債先物を使って価格変動リスクを抑えたり、既発債の在庫を調整するため現物を売る証券会社が増えるため、相場が軟調になりやすい。それぞれの金融機関によって温度差があるとはいえ、サブプライムローン問題は3月期末を意識した国債投資での益出しに波及している面があり、短期的な金利上昇リスクをはらんでいる。簿価計上したままとなっている持ち切り前提の債券が処分されれば、一時的に需給が緩む可能性もある。
10年債入札は想定よりやや弱め、との受け止め方が聞かれ、結果発表後、国債先物には売りも観測された。ただ、「現在は、3月の国債大量償還に加えて新年度を見据えた先回り的な買いが出始めるタイミングにあり、債券需給の良好さは維持している」(外資系証券)ことから「長期金利が1.3%を割り込んでも違和感はない」(外資系証券のストラテジスト)との見方も出ている。
入札に関しては「短期的なキャピタルゲインを得られない可能性はあるが、相場のレンジ自体が切り替わったことを念頭におけば、債券を着実に積み増すべきタイミング」(クレディ・スイス証券、債券ストラテジストの福永顕人氏)「投資家は余剰資金を寝かせておくわけにはいかない。今期のインカム収益に寄与しにくいが、来期のインカム収益とキャピタルのトータルリターンを考えて買いのチャンスをうかがってくるのではないか」(新光証券、債券ストラテジストの三浦哲也氏)との声が聞かれた。
(ロイター日本語ニュース 橋本 浩)
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