ファンドビュー:日本株の早期反発見込めず、投資は内需にシフト=大和投信
大林 優香記者
[東京 7日 ロイター] 大和証券投資信託委託のシニア・ファンドマネージャー、江口直紀氏は7日、世界景気の減速や円高による国内企業の減益リスクなどから「日本株相場はすぐに反発する状況ではない」とみており、自動車、機械、ハイテクなどの外需関連の投資比率を引き下げ、内需系のディフェンシブ関連にシフトしたことを明らかにした。ロイターとのインタビューで語った。
ただ、日本株は割安銘柄が多く「中長期的に業績がしっかりしている銘柄を仕込んでおく時期」ととらえており、有望な個別銘柄には投資していく意向を示した。
<円高に対応して外需を引き下げ、ディフェンシブを引き上げ>
江口氏は、国内最長寿ファンドの「大型株ファンド62000563JP」など約70億円の日本株運用を統括するほか、同社の「ダイワ・バリュー株・オープン62000820JP」などの運用にも関わっている。1961年に設定された「大型株ファンド」は資本金100億円以上の東証1部銘柄に投資するもので、投信情報サービス会社リッパーがきょう発表した「リッパー・ファンド・アワード」で評価期間10年の日本株分類最優秀ファンドに選定された。
リッパーによると、日本株分類81本の投信が昨年末までの10年間で平均47%上昇したのに対し、同ファンドは163%上昇した。昨年7月から同ファンドの運用を担当する江口氏は、長期で競合ファンドをアウトパフォームしていることについて、会社訪問やアナリストの分析情報などをベースとする業績判断と株価の割安さに注目した運用手法の成果とみている。
具体的には、ITバブル時代にIT関連企業の保有比率を高めに維持した後、バブル崩壊の局面では他の割安な業種へのスムーズな乗り換えを行った。また、5年前から機械など新興国経済の拡大から恩恵を受ける銘柄群の投資比率を高め、資源関連の上昇相場で運用益を稼ぐことができた。
ただ、同ファンドは、2月末までの6カ月間では東証株価指数の下落率17.7%を上回る20.3%の下落となった。昨年後半には、サブプライムローン(信用度の低い借り手向け住宅融資)問題に伴う世界景気の減速懸念などで新興国関連の銘柄が売られたことが響いた。
江口氏によると、卸売業種などを高めに保有していたことで昨年前半は運用成績も好調だったが、年後半にはこれらの業種が反動で売り込まれ、成績が鈍化した。対応策としてオーバーウエートだった卸売、海運、非鉄を中立に引き下げ、食品、電気、ガスなどのディフェンシブ銘柄を増やしたという。
円高の進展に対しても、投資配分の調整を行った。「自動車、機械、ハイテクの1部などをディフェンシブに移した」結果、外需系は中立に近づいている。「新興国経済が鈍化する場合はもう少し下げないといけないが、今のところ急激に鈍化するとは予想していない」という。江口氏によると、短期的には内需系で業績を伸ばせるゲームソフト銘柄などを有望視している。
<深刻な下値は予想せず>
年初から軟調な地合いが続いている株式相場について江口氏は、早期に反発する可能性は低いとみている。世界の景気減速や円高の影響で日本企業の2009年3月期業績が減益になる可能性があるほか、米サブプライム問題の余波でリスクマネーが収縮しており、買い手が見当たらないためだ。同氏は「当面は外国株や円の動向に反応して、値動きが荒い展開が続く」と予想する。
とは言え、日本株全体としては割安な水準にあるほか、昨年投げ売りに出た外国人投資家からの売り圧力は限定的とみているため同氏は「深刻な下値は考えていない」という。4─5月の決算発表では企業の来期予想が示され、「悪材料出尽くし」感が広がる可能性もあるとみている。
「今は買いのタイミングか」との質問に対して同氏は「割安さもあるし、日本には高い技術を持つ会社があるため、中長期的に買うべきタイミング」との見方を示した。
大型株ファンドの2月末時点の組入上位銘柄はトヨタ自動車(7203.T: 株価, ニュース, レポート)、三井住友フィナンシャルグループ(8316.T: 株価, ニュース, レポート)、三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306.T: 株価, ニュース, レポート)。業種別比率は電気機器が15.8%、輸送用機器が10.7%、銀行業が9.3%となっている。
(ロイター日本語ニュース 取材協力 イレイン・リーズ記者 編集 石田仁志)
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