政府が新日銀総裁に武藤氏を提案、空席リスクの下で民主の対応が焦点

2008年 03月 7日 18:29 JST
 
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 [東京 7日 ロイター] 政府は7日、議院運営委員会の両院合同代表者会議に新日銀総裁の候補として武藤敏郎・日銀副総裁を昇格させ、2人の副総裁の候補として白川方明・京大大学院教授(元日銀理事)と伊藤隆敏・東大大学院教授(経済財政諮問会議議員)を充てる人事案を提示した。

 しかし、参院で過半数を握る野党からは武藤氏の昇格に異論が続出。同意人事では衆参の権限が対等で、野党が過半数を握る参院で不同意の結論が出た場合、今回の人事案は白紙に戻る。福井俊彦日銀総裁の任期は3月19日で満了となるため、不同意の場合は、日銀総裁がしばらく空席になる可能性も出てきており、今後は同意人事で事実上の拒否権を握る民主党の対応が最大の焦点になる。

 国会筋によると、11日に候補者から金融政策のスタンスなどを聞く所信聴取が行われ、その見解を材料に来週中に開かれる予定の衆参両院で各党が同意か不同意か、意思を表明する。衆院の笹川尭議院運営委員長によると、11日午前9時45分から開催される衆院議事運営委員会で、武藤氏らから2時間強の予定で所信を聴取する。その後、参院でも同様の手続きが行われる。

 内外の市場関係者が注目するのは、手続きが遅延した場合、総裁不在の可能性もあるからだ。武藤敏郎、岩田一政両副総裁の任期も、福井総裁と同時に3月19日で満了する。もし、19日までに人事案が決まらない場合、日銀政策委員会のメンバー9人のうち、審議委員6人を除く総裁、副総裁の計3人が欠員になるという異常な状態に直面する。

 <11日の所信聴取が大きな節目>

 当面は11日の所信聴取が大きな節目となる。民主党内には武藤氏が元財務次官であった点から、総裁就任は財政・金融の分離原則に反するとの声が強い。だが、与党内からは、所信を聞いて武藤氏から矛盾する見解を引き出せない場合、民主党の主張が正当性を失って、最終的に同意することになるのではないか、との見通しも出ている。

 また、空席になった場合に「民主党の責任が注目され、政権担当能力に疑問符が付く」(都銀関係者)との声がマーケットからも出ており、民主党に対して世論が厳しい目を向ける可能性もある。こうした情勢の下で、与党内には民主党が所信聴取を機に、同意に傾くとの観測も出ている。

 7日夕の会見で、民主党の鳩山由紀夫幹事長は、11日の所信聴取後に民主党役員会を開き、同党の対応を決めると述べた。

 <民主党内で根深い武藤氏に反対する声>

 ただ、民主党内には、武藤氏の昇格に反対する声が多い。山岡賢次国対委員長は7日午前、国会内で記者団に対し、以前から武藤氏昇格なら不同意の可能性があるとし、混乱しないよう与党が対応するべきであるとの見解をすでに伝えていたことを明らかにした。その上で不同意で混乱したら民主党に責任があるとの見方に対し、任期切れぎりぎりに案を出してきた政府・与党に責任があると主張した。

 同党の川端達夫副代表は7日午後、政府の提案は「われわれの求める日銀総裁像とかなりずれている」と記者団に述べた。渡辺周・同党税調副会長は、民主党が武藤氏の昇格に同意しないと伝えていたにもかかわらず、あえて提示してきたことに対し「政治的な駆け引きだ」と批判。「総裁ポストを空席にしても、政府案を突っぱねる」とロイターの取材に答えた。同党の大塚耕平参院政審会長代理も、6日のロイターとのインタビューで「党内の雰囲気は限りなく不同意に近い」と述べていた。

 鳩山幹事長は7日の会見で、現実問題として武藤総裁案に同意することで党内をまとめるのは容易ではないと語った。

 民主党以外の野党からも、武藤氏に反対する声が上がっている。国民新党の糸川正晃国対委員長は7日午後、武藤氏は財務省出身であり、日銀総裁に適任ではないと記者団に語った。

 <党首会談でも思惑交錯>

 これに対して、与党側からは「中央銀行の人事問題は政局に結びつけることがあってはならない」(北側一雄・公明党幹事長)と民主党を強くけん制する声が上がっている。

 また、福田康夫首相が6日に前向きの見解を示した小沢一郎民主党代表との党首会談の開催について、北側幹事長は「(日銀総裁の)空白を作ることはできない。そういう判断があってもおかしくない。総理の判断を尊重する」と語った。

 これに対し、山岡国対委員長は「一般的には(党首会談の可能性は)ない」と述べた。

 鳩山幹事長も7日の会見で、党首会談について「(福田首相の党首会談の発言は)必ずしも本気ではないのではないか」と述べ、実現性が低いとの認識を示した。

 (ロイター日本語ニュース 田巻 一彦)

 
 
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