ドバイなどMENA地域に個人投資家が注目、成長力高く投信が受け皿に
岩崎 成子記者
[東京 14日 ロイター] 国内株式が低迷を続ける中、約1500兆円の金融資産を抱える個人投資家は、新たな投資先としてMENA(Middle East and Norht Africa:中東・北アフリカ)地域に目を向け始めた。世界的なエネルギー価格の高騰で巨額の利益を蓄え、同時に経済成長を続けるMENA地域は、東南アジアに匹敵する時価総額を有する。
信託型ドバイ株ファンドやMENA地域を投資対象にした公募投信が次々に登場しているほか、日本人が現地の証券会社や投資銀行に口座を開設するケースも増えている。日本株低迷で運用難に陥っている個人投資家は、昨年夏以降続く円高をきっかけに、将来のキャピタルゲインと円安を見据えた海外投資に目を向け始めている。
<BRICsの次はMENA(ミーナ)>
ロイターが集計した国内投資家が保有するBRICsファンドの投資残高は、2月末現在で4兆円超。2005年から注目され始めたBRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)への投資は、分散投資の選択肢として投資家に浸透しつつあり、BRICs投資は目新しいものではなくなりつつある。
ポストBRICsとして出てきたものに「VISTA(ベトナム・インドネシア・南アフリカ・トルコ・アルゼンチン)」や「ネクスト11(バングラデシュ・エジプト・インドネシア・イラン・韓国・メキシコ・ナイジェリア・パキスタン・フィリピン・トルコ・ベトナム)」が知られるようになったが、このところ脚光を浴びるようになったのが「MENA(中東・北アフリカ)」だ。世界的なエネルギー価格の高騰が続く中で、産油国であるGCC(湾岸協力会議)6カ国(=サウジアラビア、UAE、クウェート、カタール、バーレーン、オマーン)を中心としたMENA地域に熱い視線が注がれている。
<先手必勝>
新興国市場への投資は、先手必勝。人気が出る前に投資したもの勝ち──。2000年に中国株投資を唱え、07年にはベトナム株ファンドを組成したグローバルリンクアドバイザーズ(GLA)の代表取締役社長・戸松信博氏はこう話す。戸松氏は注目する新興国市場第3弾としてドバイに注目。ジャパン・デジタル・コンテンツ信託(JDC信託)(4815.T: 株価, ニュース, レポート)とザ・スリービー、GLAの3社共同で「ノーロード型ドバイ株ファンド1号」(円建ての実質配当型合同運用特定金銭信託、信託期間3年、投資金額は50万円から)を組成。3月末の設定に向け準備を進めている。
国内投資家のドバイへの注目度は高い。JDC信託が2月1日から配信をスタートした「ドバイ株無料メールマガジン(週間)」(http://www.jdct.jp/dubai/)の購読者は1万人を超え、購読登録は現在も増え続けている。セミナーも盛況で、既に実施した定員500人のドバイ株ファンドセミナーは2回とも満員。オンラインセミナー(定員500人)は開催した2回とも、募集開始から2週間で定員に達した。GLAによると「ノーロード型ドバイ株ファンド1号」購入のための口座開設は既に2500口座を超え、1日あたり100人前後の口座開設申請があるという。
<MENA地域に投資する公募投信>
MENA地域に投資する公募投信は、シュローダー証券投信投資顧問が07年8月31日に「シュローダーMENA(ミーナ)ファンド」62006211JPを設定したのを皮切りに、ほぼ毎月1本のペースで設定されている。14日現在で6本が運用されており、純資産残高は約1000億円(一部にアジア地域が投資対象に入るファンドもあるが、主な投資先に中東と北アフリカが入るファンドで集計)。MENA地域からは少しはずれるが、3月に入り、当初は主に南アフリカ、エジプト、モロッコに投資するという「野村アフリカ株投資」(野村アセットマネジメント)も登場。390億円を超える設定額で話題を集めている。
「シュローダーMENA(ミーナ)ファンド」を販売する大和証券は、3月10日からインターネット専用商品だった同ファンドを、支店の窓口でも購入できるようにした。着実に増え続ける投資家ニーズに応えるためだ。新興諸国の中の新興国に投資を考えるのは、もはやネットを生活に駆使する世代だけではなくなっている。
3月上旬にマネックス証券が開催した「中東・北アフリカ(MENA)/アジア株式ファンド発売記念セミナー」には、定員20人の枠に350人が殺到した。アラブ世界最大の投資銀行であるEFG─Hermes(EFGヘルメスUAE)やシンガポールのフルトン・ファンド・マネジメントのファンドマネージャーらに直接会って質問する機会が注目を集めた。「なぜ中東とアジアの組み合わせなのか、なぜインデックスファンドにしないのか、MENA地域の企業のディスクロージャーはどうか、地政学リスクはどうか、MENA地域の消費・内需動向や労働力の定着具合は」──と、矢継ぎ早に発せられる日本の個人投資家からの質問に、セミナー後、EFGヘルメスUAEのファンドマネージャーは、日本の個人投資家の熱心な態度に圧倒されたという。
<機関投資家よりも早く対応する個人投資家>
今年2月、JTBが主催した、参加費用が1人当たり約60─70万円のドバイ株投資完全視察ツアー4泊6日(定員20人)には、短期間の募集だったが夫婦一組を含む10人が応募。年齢層では50代が最も多かった。
ツアーでは、ドバイ国際金融センターやドバイ国際証券取引所を訪問。現地の証券会社や投資銀行も訪問し、アナリストらによるGCC経済やファンドに関するセミナーを受けたほか、希望者は証券口座やファンド口座も開設できる。実際には参加者全員が口座開設をしたという。
ドバイの中堅証券マック・シャラフ証券(MAC Sharaf Securities (UAE) LLC)によると、08年1月末時点で同証券に口座開設している外国人は約1300人。このうち約800人が日本人という。2月には日本人の口座開設が1000を超えた。日本の機関投資家がじん速な判断で新興諸国の投資に踏み切れない中、BRICsやベトナム同様、MENA地域にも先んじて個人マネーの流入が予想されている。
(ロイター日本語ニュース 編集 田巻 一彦)
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