西村日銀副総裁の一問一答
[東京 21日 ロイター] 西村清彦日銀副総裁は21日、副総裁就任会見で、日本経済は足元でかなり減速しているが、基調は緩やかに拡大しているとの見方を示した。会見での主なやりとりは以下の通り。
──副総裁就任にあたっての抱負。また、総裁不在が業務運営上どのような影響が出てくるのか。
「日本経済は足元をみると、かなり減速しているが、基調としてみるならば、緩やかな拡大を続けている。しかし、同時に国際金融市場の動揺や世界経済の減速傾向の強まり、エネルギー・原材料高の影響など、先行きに多くのリスク要因が存在していることも事実。こうした中で、日本経済が物価の安定の中で持続的成長を続けていけるよう、金融政策面でも極めて注意深い政策運営が必要だと感じている。2つの柱を中心とする現在の金融政策運営の枠組みを活かして、適切な政策運営と丁寧な情報発信に努めていきたい」
──今後の適切な金融調節のあり方について。
「先ほども申し上げたが、金融政策は極めて難しい時期に差しかかっているということは、その通りだ。その中で一番大切なことは非常に丁寧な分析で、しかもその分析は単にわれわれが手にする数字となった経済データだけではなくて、それ以外のさまざまな質的なデータ、そういうものを組合せながら、かつ、そういったデータの中に含まれるトレンドというか、長期的な動きというものを見ながら、かつ同時にその長期的な動きに何か変調はないかという小さな兆しにも十分な注意を払いながら、そういった丁寧な分析のもとで、柔軟でかつ場合によっては機動的な施策も考えていかなければいけないというのが一般論で言える」
「日銀は幸いなことにすでにそれに対応できるような十分な金融政策の枠組みを持っている。量的緩和解除のときに作り上げた新しい金融政策運営の枠組みというのがある。これはまず物価安定の理解というのがあり、そのもとでの2つの柱での分析がある。この中でいままで私は審議委員として金融政策の形成に携わってきたし、この仕組みそのものは極めて優秀な仕組みだと思っているので、今後もこの枠組みの中で金融政策の今後の動きに関しては誤りのないように注意をしながら行っていきたい」
──デカップリング論について。
「あまり建設的な議論だとは思えない。なぜかというと、完全にデカップルすることもあり得ないし、完全にカップリングしていることもない。このことは見方を変えると、同じ方向に動いているかどうかで考えると分かりやすい。例えば、米国経済が下方に入ったときに、世界経済の全ての産業、消費などが同じ方向に動くのかどうか、その程度がどのくらいあるのかどうか、というので考えるのが自然だ。そういう風に考えると、ITバブルの崩壊の時期に起きたようなカップリングというのは、なかなか起こりにくいという状況が今のところはある。これはまだ米国経済の停滞の度合いがどれくらいになるのか見えていない状況では、将来は分からないが、少なくとも足もとを見ている限りにおいてはそうだ」
「かつ日本にとって重要な点は、世界経済全体がどうなるかというよりは、世界経済の中で、日本が輸出しているところの経済がどういう状況になっているかということを見なければいけない。少なくとも足元を見る限りにおいては、日本が輸出している国々──日銀では「その他」に該当するが──それに関して言うなら、はっきりとした減速は見ることができない。というよりも今のところは強い。アジアにおいても、中国でデカップリングとは無関係で気候が悪かったということで問題が生じているが、米国から中国を通じて日本に来るルートはなかなか見ることができない」
「ただ、これはずっとデカップルし続けるかというと、そうではおそらくない。必ず、どこかの時点で何らかの影響が出てくるだろう。その影響の大きさをこれから見ていくというのが重要で、デカップルするしないというよりかは、どの時点でどういうような影響がどこに起きていて、それが日本経済のどの部門の、極端に言えばどの産業のどの部分に起きてくるか、こういうところを見て、それをマクロ的に考察しながら、必要な措置を考えていくことが重要だ」
(ロイター日本語ニュース 志田義寧記者)
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