2年連続上昇の公示地価、不動産株下げ止まり要因にならず

2008年 03月 24日 18:27 JST
 
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 水野 文也記者

 [東京 24日 ロイター] 注目されていた公示地価は2年連続上昇となった。このところリバウンド態勢に入っていた不動産株にとって好材料となるものの、足元の不動産市況は急激に悪化しており、関連銘柄の下げ基調を止める要因にはならないとの見方が支配的だ。

 市場では、最近の市況悪化を株価に織り込んでいないとの声も出ている。

 国土交通省が24日に発表した2008年1月1日時点の公示地価は、全国平均(全用途)で前年比プラス1.7%となり、2年連続で上昇した。不動産株は業種別指数が日経平均と同じく3月17日に底打ち後、戻り相場に転じていたが「相場全体の地合い好転に加え、公示地価が上昇するとの期待も買い要因になっていた」(中堅証券情報担当者)という。

 ただ、市場では発表された数値が、不動産株全体の底打ちにつながるとはみていない。公示地価について遅効性が強いとの指摘が多いが、今年に入ってから不動産市況は急速に悪化しており、足元の実態を必ずしも反映していないとみられるためだ。

 実際、毎年7月に実施している都道府県地価調査との共通地点で、半年ごとの地価動向を分析すると、07年の前半(1―6月)に比べ後半(7―12月)では上昇基調に鈍化がみられる一方、調査時点である今年1月1日以降に、状況はさらに悪化したとの見方が広がっている。

 今回の結果について、野村証券・チーフエコノミストの木内登英氏は「住宅地、商業地ともに今まで地価の上昇をけん引してきた東京都区部や政令指定都市を中心に、既に地価の頭打ちあるいは一部で下落傾向が生じている」と指摘。「2009年の公示地価で全国平均(全用途)が、再び下落に転じる可能性も否定できない」と予測していた。

 直近では、再生事業を手掛ける企業を中心に、不動産会社の大幅下方修正が相次いだほか、20日にはレイコフ8941.OJが民事再生手続き開始の申し立てを行ったばかり。こうした点から市場参加者は、不動産株に対して不安の目を向けている。

 <米欧での信用収縮、国内不動産市場にも暗い影>

 業界の収益環境が急激に悪化した理由として、急激な地価上昇に伴う需給バランスの崩れや、国内景況感の悪化などが挙げられているが、業界・市場関係者のいずれも声を大にしているのが「世界的な資金ひっ迫傾向の影響で、内外金融機関からの資金流入が鈍化している」(野村証券の木内氏)点だ。

 サブプライムローン(信用度の低い個人向け住宅融資)問題に端を発した米金融市場の混乱が日本の地価動向に影響を及ぼした可能性について、国土交通省でも「(外資系金融機関などの)資金調達が困難になり、土地取得が鈍っている側面もある」(調査課)との認識を示している。

 ある業界関係者は「売却先が決まりながら、顧客の資金手当てがつかずにキャンセルとなる案件も出ている。在庫リスクを解消するために仕込んでいた物件の損切りも行った」と明かす。

 また、レイコフも破たんの理由としてサブプライムローン問題に端を発した金融市場・不動産市場の悪化で、取得・開発(改修)に要する費用につい、十分な借り入れを行うことができず、財務体質が悪化したことを挙げていた。

 今後の株価の影響について、一時的に不動産株が見直される可能性もある。「超優良物件に対するニーズは強いうえに、都心部のオフィス需要は落ちていないため、大手不動産株は底堅い動きをするかもしれない」(ある準大手証券の不動産担当アナリスト)が、同時に「業界全体としてはリバウンドは限定的。基調転換のきっかけにはならない」(先のアナリスト)といった見方が多い。

 クレディ・スイス証券・アナリストの大谷洋司氏は「クレジット問題がグローバルに改善することと、ファンダメンタルズの改善の2点が必要」と、不動産株の底入れの条件を挙げている。その上で「上場企業の倒産も出たが、状況の悪化をこれまでの下げで織り込んだとは言いがたい。今回の公示地価発表での底打ち確認は難しいだろう」と話す。

 また、野村証券の木内氏は「不動産関連融資の貸し渋り対策が、今後の政策課題として重要性を増す可能性もある」と語っていた。

(ロイター日本語ニュース 編集 田巻 一彦)

 
 
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