拡大続く新興国向けビジネス、デカップリング裏付ける企業決算

2008年 04月 25日 19:31 JST
 
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 水野 文也記者

 [東京 25日 ロイター] 新興国向けのビジネスが拡大を続けている。発表が相次ぐ09年3月期業績見通しは、円高や資材高などにより輸出型企業の苦戦が目立つものの、中国、ロシア、インド向け輸出数量拡大が収益のサポート要因になっている企業が少なくない。

 海運大手や建機メーカーなどの決算をみる限り、デカップリング論を裏付ける内容となっている。

 25日に発表された海運大手3社(日本郵船(9101.T: 株価, ニュース, レポート)、商船三井(9104.T: 株価, ニュース, レポート)、川崎汽船107.T>)の2009年3月期の決算見通しは、大幅増益となった08年3月期に比べ伸び悩んだものの、その大きな要因は円高や燃料油高によるコスト増で「それを除けば、実質的には弱気の予想とはみていない」(商船三井の米谷憲一専務)という。

 こうした見方の背景にあるのが、新興国向けの荷動きに衰える気配が感じられない点だ。特に中国向け鉄鉱石や石炭など資源輸送が、高水準を維持すると各社とも想定している。 これを背景に足元の市況は上昇が目立つ。ばら積み船運賃の総合指数であるバルチック海運指数は、昨年11月に最高値11039ポイントを記録した後、半値近辺まで急落したものの、ここにきて再び上昇に転じている。

 24日には9000ポイントまで回復したが、日本郵船の五十嵐誠常務は「石炭の価格交渉が終わり、荷動きが活発化し始めたのが要因。豪州産の鉄鉱石価格が決定すれば、さらに上昇する可能性もあり、足元の市況は実勢を示している」と指摘する。さらに五十嵐常務は「このまま強い基調を持続すれば、業績予想は上振れする可能性もある」と述べた。

 実際に、メーカーでも新興国向けの販売について強気の見方が目立っている。24日に08年12月期第1四半期(4─6月)決算を発表したキヤノン7751は、中国をはじめ新興国市場向に関し、ほとんどの製品群が計画と同等かそれを上回る状態となっているという。同社の大澤正宏常務は「この動きはまだまだ続く。新興国向けは2ケタの成長が可能なのではないか」と見通しを語った。

 25日に今期の営業利益見通しを前年比0.5%増と発表した日立建機6305の桑原信彦専務は、中国向けの見通しについて「北京五輪後に需要が急激に落ち込むような気配は感じられない」との見方を示している。

 さらに中国向けのビジネスについて「大まかにみて日米の実効税率が40%なのに対して、中国のそれは20%前後。税率が低いことのメリットが生じる」(日立建機の桑原専務)など、対中売上の拡大は当期利益の相対的な上昇に貢献する要因になるとの指摘もあった。

 ここにくるまでマーケットでは、北米の景気低迷が中国など新興国に波及しないというデカップリング論に対し、エコノミストの間で否定的見解が強く、北米を起点にしたグローバルな景気後退が、企業業績を悪化させる材料になるとの見方が少なくなかった。

 しかし、企業関係者の間からは「しょうゆや食料品などが引き続き海外向けに好調。米国の金融問題の影響が、欧州やアジアに波及するといったことはないとみている」(キッコーマン2801の染谷光男社長)「中国やインドが一般産業向け、自動車向けに好調。当社に関する限り、北米の景気悪化の影響を受けている様子はない」(ファナックT>の稲葉善治社長)などの声が出ている。

 中には「中国の輸入活発化が市況を押し上げているが、環境問題などを踏まえれば、現在の状態がいつまでも続くとは思えない」(川崎汽船の塩田哲夫専務)といった慎重な意見もあるが、現状では「デカップリングとリカップリングのどちらかと言えば、今のところはデカップリングしている」(商船三井の米谷専務)との見方が支配的だ。

(ロイター日本語ニュース 編集 田巻 一彦)

 
 
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