関心高まる欧州金融機関の決算、ドル買い戻しにも警戒残る

2008年 05月 12日 19:58 JST
 
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 [東京 12日 ロイター] 12日の東京市場は株高/債券安。ドル/円がこの日の安値から1円を超える上げをみせるなど前週末に下落したドルが持ち直したことで株式市場にも短期筋の買いが入った。

 株式先物に断続的に買いが入ったほか、現物市場でもヘッジファンドの一種の商品取引顧問業者(CTA)とみられる参加者から幅広い銘柄に買い注文がみられた、という。ただ、日本株の割安感は薄れているとの見方が多くなる中で腰の入った買いは見込みにくく、日経平均が1万4000円を超えて定着するのは難しい、との声も出ている。さらに、ドル買い戻し材料のひとつとなった欧州金融機関の経営問題が今後クローズアップされるようだと、株式市場にもマイナスの影響を与えかねない、と警戒されている。

 <ドル一転して買い戻し、背景に注目>

 東京時間の午後になると、ドルが主要通貨に対して一斉に買い戻された。ユーロ/ドルが朝方の高値から100ポイント超売られ1.5365ドルまで、英ポンド/ドルも1.9445ドルまで下落した。ドル/円は103.80円まで上昇し、きょうの安値から1円超のドル高となった。

 ポジション調整が主流とみられているが、一部では、12日から相次ぐ欧州の大手金融機関の決算発表を前に思惑が広がっている。東京時間から複数の金融機関の損失額が事前予想より大きくなるとのうわさが流れており、決算の内容と株価の反応に注目が集まっているという。

 現在の為替市場は「参加者のポジション状況で値が振れている」(都銀)だけに、小さな材料でも値動きが大きくなりやすい、という。

 決算は12日の英HSBCホールディングス(HSBA.L: 株価, 企業情報, レポート)に続いて、13日にベルギー・オランダ系の金融大手フォルティス(FOR.BR: 株価, 企業情報, レポート)、仏銀大手ソシエテ・ジェネラル(SOGN.PA: 株価, 企業情報, レポート)、独郵便事業会社ドイツポストの金融サービス子会社ポストバンク(DPBGn.DE: 株価, 企業情報, レポート)、14日に仏金融大手BNPパリバ(BNPP.PA: 株価, 企業情報, レポート)、オランダの金融大手INGグループ(ING.N: 株価, 企業情報, レポート)(ING.N: 株価, 企業情報, レポート)、15日に英銀行大手のバークレイズ(BARC.L: 株価, 企業情報, レポート)、仏銀行大手クレディ・アグリコル(CAGR.PA: 株価, 企業情報, レポート)、経営再建中のドイツ産業銀行(IKB)(IKBG.DE: 株価, 企業情報, レポート)などが予定されており、為替市場では注目度合いが急速に上がっている、という。

 一方、株式市場では日経平均が午後に入り反発した。後場寄り付きで先物に500枚の大口買いが入った後も買いは途切れなかった。現物市場でも、先物との裁定買いのほかにも、CTAが欧州系証券経由で幅広く買いを入れてきた、との声が出ていた。

 ただ、「為替の動きをみながら短期筋が買いを仕掛けている形だが売買高を伴っていない。機関投資家などメインプレーヤーは決算発表一巡後に動くため、動向を見極めたい」(準大手証券)との慎重論も根強かった。

 準大手証券エクイティ部では「買い上がる材料に乏しく上値が重い。半面、1万3000円台前半では出遅れている国内系の新年度資金が待機しているため、大きく下げる気配もなく方向感が定まらない」と話している。

 この日のドル買い戻しも、欧州金融機関の経営問題によるユーロや英ポンド売りによるドル高の可能性もあり、「その場合、ドル/円の上昇は日本株にはプラスに働かない」(邦銀筋)として、為替の動きの背景にも慎重質になっている。

 <日本株、次第に強まるこう着感>

 日本株は水準としては2009年3月期の減益予想をある程度織り込んだが、「減益が進行している過程で買いは入れにくい」(三菱UFJ証券シニア投資ストラテジストの吉越昭二氏)との指摘もある。1株利益が伸びなければ、株価の上昇はPERの拡大を伴うことになるが、PER拡大を許容するほど先行きへの期待感が高まっている状況ではなく、「年後半の増益転換がみえてくるまで株価の上値は重い」と吉越氏はいう。

 りそな信託アセットマネジメント部チーフ・ストラテジスト、チーフ・エコノミストの黒瀬浩一氏は「サブプライム問題への楽観論に対し、米AIG(AIG.N: 株価, 企業情報, レポート)の決算などを受けてやや反省ムードが出ている。買い戻しは一巡したがその後に新たなリスクが取りにくく、強弱感が分かれている」とみている。

 黒瀬氏は「米シティ(C.N: 株価, 企業情報, レポート)をはじめBIS基準を意識した資産売却の需要が強まっており、一方で価格が十分に安いため買い需要もある。しかし権利関係の整理が難しいため取引が膨らんでいない」という。黒瀬氏によると、ポイントになるのは、現在米議会で検討されている住宅対策で、「本格的なものが夏前にもまとまりそうだ。そうなれば金融機関の資産売却も進み、株式市場のムードは一気に明るくなりそうだ。参加者もこれを意識しているため、下値では長期投資家の押し目買いが入ってくる」と話している。

 ただ、短期的には為替動向や国内企業決算にらみの動きが続きそうだという。

 東洋証券シニア・ストラテジストの児玉克彦氏は「他の先進国市場と比較しても、国内株の割安感が薄れてきたことが懸念材料だ。業績見通しがどの程度の減益となるのか見極めるのはもちろん、その後、4─6月期にどの程度上方修正されるのかに注目している」とし、「日経平均は25日移動平均線の1万3500円の水準が下値の目安となるだろうが、上値も重く1万4000円台が定着するのは困難」という。

 <居所探る円債市場>

 円債市場は反落。前週に大荒れとなり、まだ市場参加者は方向感を探っている状況という。

 ある外資系証券筋は「今週は米連邦準備理事会(FRB)関係者の講演や国内外の経済指標の発表が相次ぎ、相場は引き続き振れやすい」とみる。この関係者は「前週末の相場上昇は、まだショートカバーの域を出ていない。強いインフレ期待や日銀の利上げの可能性を織り込んでいく売りスパイラルのような相場は一巡したが、積極的に買い方向に傾くにはまだ材料不足。一方で、米指標は実体経済の強さを示すような数字にはなりにくい。下値を固めながら徐々に水準を切り上げていく展開を予想している」という。

 別の外資系証券筋は「現物の中長期債に売りが強いが15日の5年債入札を前にした調整にしてはタイミングが早い。同ゾーンは前週末にかけて買いが強く戻り売りが出やすいうえ、入札は警戒感が残ってしかるべきなので上値が重いのだろう。また、イールドカーブ上では10年ゾーンが若干割高となっているので、ここでも売りが出やすい」と話している。

 (ロイター日本語ニュース 橋本 浩)

 
 

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