ECBが約1年ぶり利上げ、総裁はバイアスなしと言明
[フランクフルト 3日 ロイター] 欧州中央銀行(ECB)は3日の理事会で、主要政策金利である定例買いオペの最低応札金利を予想通り4.00%から4.25%に引き上げた。インフレ高進を受けた措置で、利上げは2007年6月以来1年強ぶり。政策金利は約7年ぶりの高水準となった。
トリシェ総裁は理事会後の記者会見で、先行きの金融政策に関しバイアスはないと述べた。インフレが高まる一方、ユーロ圏の経済成長には陰りがみられる。
同総裁は「今回の決定を踏まえ、金融政策は物価安定目標の達成に寄与するだろう」と述べた。前月の理事会では見解が3つに分かれたが、今回は全会一致だった。
一方で同総裁は、早い時期に再び金利を変更することを望まないと意向を明確にし「ここからはバイアスは持っていない(starting from here, I have no bias)」と語った。そのうえで「もちろん、金融政策運営上の恒常的な姿勢として、われわれは中期的には事前コミットしない」と付け加えた。
総裁発言を受け、年内の再利上げへの言及を予想していた反動でユーロは対ドルで下落した。ロイターのエコノミスト調査では、年内に政策金利が4.5%に上昇すると予想する向きはほとんどない。
労働組合は今回の利上げに反発している。欧州労組連盟は「ECBの決定は危険かつ逆効果で不要だ。このつけを払うのは欧州経済と欧州の労働者だ」と批判した。
経済協力開発機構(OECD)は利上げを評価する一方、インフレ圧力をから考えてほかに選択肢がなかったとの認識を示した。
ドイツ政府の上級経済顧問Bert Ruerup氏は、独紙Tagesspiegelで、現在のインフレは景気過熱でなく食品・燃料価格の上昇によるものであり、利上げが正しい対応だったのかは疑問、との考えを示した。
トリシェ総裁は、ユーロ圏経済の今後については、経済ファンダメンタルズは依然として強いもの、年末にかけて弱くなると警告。「第2・四半期は第1・四半期とかなり異なるだろう。第3・四半期も特によくなるとは思わない」と述べた。
またインフレについては、当面は「2%を大幅に上回る」水準にとどまるとの見方を示した。6月は「3%を上回る」としていた。
<インフレ懸念>
総裁は、労働者や企業が高インフレを将来の賃金と価格に織り込むことに警戒感を示し、ECBは食料・燃料価格の上昇の影響が一時的となるよう最善をつくす方針を強調。「中期的な物価安定について、われわれを信頼することは可能だ」とした上で、「今後のあらゆる動向を非常に注意深く監視する(monitor very closely all developments over the period ahead)」と述べた。
総裁は今回、「高度の警戒(heightened alertness)」や「強い警戒(strong vigilance)」といった過去に利上げの先触れとなった文言を用いなかったが「高度の警戒とも強い警戒とも述べなかったことには何の意味もない」と説明した。
市場はこれについて、前回理事会で総裁が7月の利上げは可能と述べて市場にショックを与えた後、市場が数回の利上げの可能性を見込みすぎたことを示すとみている。
今回の理事会後に行ったロイターのエコノミスト調査では、政策金利が年内に4.5%あるいはそれ以上に上昇すると答えのは63人中11人にとどまった。6月25日調査では80人中16人だった。
ECBが早期に追加利上げしないとの見方から、ユーロ圏短期債利回りは低下した。
ウエストパックのエコノミスト、ジェームズ・シャグ氏は「再度引き締めを行う意図がないことを総裁は非常に明確に示している。『ここからはバイアスはない』という発言は、これ以上明確にはなりようがない」と指摘した。
さらに「これまで利上げにつながってきた『高度の警戒』や『強い警戒』という文言が使われなかったことから、今後1カ月の見通しに限られるとしても再利上げはないだろう」との見方を示した。
またトリシェ総裁は、銀行がECBから短期資金を借り入れる際に利用できる担保資産について、ECBは注意深く見直しており、規則を強化する可能性もあるとの認識を示した。
ECBは、適切な担保と引き換えに、ユーロ圏の銀行に対して最大6カ月、ユーロまたはドルを貸し出している。ただ、信用収縮の影響で銀行は差し入れる担保資産に工夫を凝らすようになっており、ユーロ圏以外の銀行がECBの融資を受けようとする例も出てきている。
豪マッコーリー・グループ(MQG.AX: 株価, 企業情報, レポート)は先ごろ、オーストラリアの自動車ローンを裏づけとする4億5500万ユーロ(約7億2250万ドル)の証券をECBが担保として受け入れたことを確認している。
担保資産の質については、ECBのゴンサレスパラモ専務理事や、メルシュ・ルクセンブルク中央銀行総裁らも、懸念を表明している。
トリシェ総裁は「われわれは常に(受け入れ可能な担保資産についての)ルールを見直している。必要があれば対処する」と強調した。
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