国内排出量取引、企業の自主削減目標・排出原単位も認める=政府原案
[東京 17日 ロイター] 政府は17日、「地球温暖化問題に関する懇談会」の政策手法分科会を開き、10月中に試験的実施を目指している国内排出量取引制度について議論した。
分科会に提出された政府の原案では、温室効果ガスの削減目標については参加する企業が自主的に設定することを認めるほか、削減目標は「排出量」だけでなく、生産量など一定の経済活動あたりの排出量である「排出原単位」も認め、削減目標の過不足分を売買する制度を創設する。政府は、分科会での議論をもとに詳細を詰め10月中の参加企業の募集を開始する予定。
日本の産業界は、2008年度からスタートした京都議定書の削減期間において、日本経団連を中心に取りまとめた「自主行動計画」を策定し、ガス削減に取り組んでいる。これに対し、排出量取引制度で先行したEU(欧州連合)は、政府が工場など企業の各施設に排出上限を割り当て排出削減を求めている。国内の産業界では鉄鋼や電力を中心に、政府が強制力をもって企業に排出量の上限を定めることは、企業活動の制約につながると強硬に反対している。政府の原案は、企業に排出量取引制度への参加を促す狙いで、自主的な削減目標や排出原単位の容認など企業側に配慮した内容を取り入れた。取引への参加は企業の自主的な判断に委ね、10月に試行実施される同取引制度が将来の排出量取引制度導入を前提にしたものではないことも明記した。
政府の原案は、排出原単位削減の目標を選択した企業がこれを達成すれば、1)事前に定めた見込み生産量、2)事後に確定した生産量にそれぞれ応じて外部に売却可能な排出枠を得ることができる選択肢を示した。分科会委員として参加した日本鉄鋼連盟環境・エネルギー政策委員会の関澤秀哲・委員長(新日本製鉄(5401.T: 株価, ニュース, レポート)副社長)は「活動量(生産量)を事業者は事前に約束することは不可能。マネーゲームを排除する観点からいずれかの選択ではなく、原単位に目標年度の活動実績を乗じて事後的に清算すべき」と主張した。
また、原案は排出枠を実際に取引する期間については、1)排出削減の目標年度が終了する以前にも取引を実施可能とする、2)目標年度の実績を踏まえ過不足分を売買する─との選択肢を用意した。分科会委員の大塚直・早大大学院法務研究科教授は、「排出量取引は、自分で排出削減するか、排出枠を購入するかどちらが安いかを選ぶのが本来の目的。事後取引ではそれができなくなる」と述べ、期間中の取引を認めるべきと指摘した。
このほか、1)京都議定書で認められた制度で、先進国が途上国で温室効果ガス削減に取り組む「クリーン開発メカニズム(CDM)」、2)大企業が中小企業の削減支援する「国内CDM制度」、3)環境省が運営する「自主参加型国内排出量取引制度」の排出枠を売買や自主的な削減目標に充当することを認めるとしている。
(ロイター日本語ニュース、浜田 健太郎記者)
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