白川日銀総裁記者会見の一問一答
[東京 31日 ロイター] 白川方明日銀総裁は31日、金融政策決定会合後に記者会見を行った。詳細は以下の通り。
──政策決定の経緯、特に最後は総裁の判断での決定に至った経緯は。
「今日の決定会合では3つの決定をした。オーバーナイトコールレート引き下げは可否同数だったので、日銀法の規定で議長が決した。反対が4名いたが、このうち3名は引き下げ幅を0.25%にとの立場での反対、残り1名は現状維持の立場での反対だった。今回の展望リポートで、最も留意したことは、先行き見通しの不確実性が著しく高まったという点だ。このため、中心的な見通しのがい然性がこれまでと比べて高くないこと、リスク要因の点検が従来以上に重要になっていることを最初に明記した。その上で、中心的な見通しをみると、景気面では来年度半ばごろまでは停滞色が強い状態が続くとみている。その後、エネルギー・原材料価格高の影響が薄れ、海外経済も減速局面を脱するにつれて、成長率が徐々に高まっていく姿が想定されるが、その時期は来年度半ば以後となる可能性が高いとみられる。物価面では中期的なインフレ予想が安定的に推移するとみられる中、需給ギャップや賃金が弱めの動きを続けるほか、エネルギーや食料品価格の落ち着きを反映して、徐々に低下していくと考えられる。こうした中心的なシナリオに対する実体経済面での上振れ・下振れ要因としては複数点を挙げた。即ち、第1に米欧の金融危機の帰すうとその影響、第2に新興国・資源国の動向、第3にエネルギー・原材料価格の動向、第4に企業の成長期待の動向、第5に金融環境の動向だ。また物価の上振れ・下振れ要因としては、実体経済の変動に伴う物価の変動に加え、物価固有のリスクとしては、第1に家計のインフレ予想や企業の価格設定行動、第2に輸入物価の動向を挙げた」
「以上、2つの柱に基づいて整理すると、以下の通りとなる。まず第1の柱に即してみると、わが国経済は、やや長い目でみれば、物価安定のもとでの持続的な成長経路に復していく可能性が相対的に高いと評価できる。ただし、こうした見通しは、世界経済の見通しに大きく依存しており、不確実性が高まっている点には十分注意する必要がある。第2の柱に基づきリスク要因を点検すると、国際金融資本市場、米欧金融システムや、海外経済をめぐる不確実性など、景気の下振れリスクが高まっていることに注意する必要がある。また金融機関の貸し出し態度が厳しさを増す場合には、わが国においても金融面から実体経済への下押し圧力が高まる可能性がある。物価面では、中心的シナリオから上振れる可能性はあるが、こうしたリスクは以前と比べて小さくなっている。一方、景気や国際商品市況の展開いかんでは、物価上昇率が想定以上に低下する可能性もある。以上の情勢判断を踏まえて、政策金利を引き下げるとともに、金融調節面での対応力を強化することを通じて、緩和的な金融環境の確保を図ることが必要と判断した。先行きの金融政策運営としては、これまで同様、経済物価の見通しと、そのがい然性、リスク要因を丹念に点検しながら、それらに応じて適切に政策運営を行うという基本方針を維持したうえで、当面、経済の下振れリスクに注意を払う必要があると判断した。また適切な金融資本調節を行うことで、金融市場の安定確保に万全を期していく方針である」
──これまで日銀は金融環境が十分緩和的だと言ってきたが、今回の緩和がもたらす効果をどうみるか。なぜ(誘導水準は)0.25%でなく0.3%となったのか。
「10月6日の決定会合以後、どういう変化があったかというと、1つは国際金融資本市場の緊張というものが引き続き高まっている、日本でもその影響が波及してきていると思う。世界的現象だが、株価が下落する、社債等の信用スプレッドも拡大する、為替も円高に向かう、変動の激しい展開になるなど、金融市場自体が、この間大きく変化した。実体経済をみても、設備、輸出、生産等で、従来に比べて、明らかに変化を示す材料が出てきた。企業からのミクロ情報も、そうした判断を裏付けた。経済情勢、金融情勢自体が1カ月弱の間に大きく変化した。そうした情勢の中で、政策金利の水準だが、これまでも政策金利の水準が低いとは申し上げてきた通りだが、こうした経済金融情勢の変化に対応して金融の緩和状態を確保していく、そのために政策金利を引き下げるのが適当であると判断した」
「一方で、われわれが考えたことは、金融市場の安定、金融市場が機能するという状況をしっかり維持することが非常に大事であるということも強く意識した。前者の金融緩和効果を上げていくということだけに焦点を合わせれば、金利引き下げ幅を大きくするという考え方も出てくる。一方、金利引き下げ幅を大きくすると、短期金融市場を中心として、金融市場の機能、それ自体に悪影響が出てくる。両者はスプレッドオフの関係に立つという面がある。この2つの関係を意識した上で、最適な組み合わせはどこかを考えて、その上で0.3%として、上下に0.2%のスプレッドを置いた下限金利、上限金利との体系となった」
──国際的な協調、政府との協調という観点は、今回の政策変更にどのように反映されたのか。 続く...



