アングル:日本のアジア向け輸出に底打ち感、中国の景気刺激策が需要喚起
[東京 22日 ロイター] 世界・日本経済の行方を占う上で、4兆元(約60兆円)の大規模な財政出動を行った中国経済の持ち直し度合いに関心が集まっている。3月分の貿易統計で輸出に反転の兆しが表れた背景として、中国の景気対策の効果を指摘する声も多い。中国の景気対策による日本の輸出押し上げ効果は限定的との見方もあるが、世界的に需要の落ち込みが深刻になるなか、中国の経済動向や景気刺激策の効果は今後も注目度を増しそうだ。
<中国の景気対策がアジアの需要喚起>
財務省が22日発表した3月貿易統計速報によると、貿易収支(原数値)は110億円の黒字となった。黒字は2カ月連続。輸出額は前年比45.6%減少、輸入額は同36.7%減少と、ともに5カ月連続の2けた減となったが、2月に比べ減少幅は縮小した。アール・ビー・エス証券・チーフエコノミストの西岡純子氏は「つるべ落としのごとく減少してきた輸出に底打ちが確認できた」とし、「先行きの景気を展望する上で、ようやく明るい材料が出てきた」との見方を示した。
今後の輸出入を予想する上で重要なのは、日本の輸出の50%近くを占め、改善の兆しが見られるアジア向け輸出の動向だ。特に20%近くを占め、東アジア地域の動向のカギを握る中国向けは、前年比31.5%減と、2月の同39.5%減から下落率が縮小している。
アジアおよび中国向け輸出に下げ止まりの兆しが出てきたのは、昨秋以降の急速な景気減速を背景とした生産や輸出の抑制、それに伴う在庫調整の進展に加え、中国政府による大規模な財政支出が大きく影響しているとみられている。
BNPパリバ証券・エコノミストの加藤あずさ氏は、中国政府が打ち出した大型の公共工事や地方での家電購入など消費支援策に関連し「アジアにおける化学製品や電気機器の需要の下支えにつながっている」と指摘。「化学を中心に中国向け輸出が持ち直したり、電気機器などのASEAN(東南アジア諸国連合)やNIES(新興工業経済地域)向け輸出が下げ止まるなど、日本にも中国需要の恩恵は表れ始めている」と評価している。先の西岡氏の調べでも、中国向け輸出品目のうち建設・鉱山用機械が今年1月を大底に回復に転じ、公共事業関連の機械以外も総じて増加に転じているという。日本の主要な輸出品目である半導体電子部品は、3月のアジア向けが前年比40.6%減と2月の同50.2%減から下落率が縮小している。
<中国の景気対策の日本の輸出への影響、2─3%台と限定的な押し上げ効果>
中国の景気対策は実際にどの程度日本の輸出に影響を与えるのか。日本総研が4兆元の景気対策のうち2兆元程度が新規投資と想定し、アジア域内の貿易を通じて間接的な波及効果が生じる可能性を前提に試算した結果、日本のアジア向け輸出を1年目に2兆円、2年目に2兆9000億円ほど押し上げる結果になるという。これは、輸出総額をそれぞれ2.5%、3.6%増加させるインパクトで、一定の輸出押し上げ効果が期待できる。ただ、輸出が前年比で半減していることを踏まえれば、その効果は限定的と締めくくっている。 続く...
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