銀行の株保有、リスクに見合った追加的資本調達が課題=金融庁長官

2009年 04月 28日 23:12 JST
 

 [東京 28日 ロイター] 金融庁の佐藤隆文長官は28日、ロイターとのインタビューで、銀行が現在の水準の株式保有を継続する場合、リスクに見合った追加的な資本調達が課題になるとの認識を示した。

 日本の金融機関の財務体質は欧米に比べて相対的に健全との認識だが、日本の銀行の特徴でもある株式保有の多さに対するリスク管理の必要性を指摘した。

 日本の銀行は、09年3月期決算で大幅な減益か赤字に転落する見通しとなっている。佐藤長官はその背景に、1)株式保有にともなう評価損の顕在化、2)実体経済の悪化による貸出先への引当金の増加──があると分析。足元の金融危機を受けて「株式の持ち合いは、株価の乱高下によって銀行財務の健全性を直撃する可能性があるということを(銀行経営者は)学んだのだろうと思う」と述べた。

 現時点では、株価の下落による評価損や減損は足元の資本基盤で吸収できる規模だと見ており、保有株の扱いは各銀行の自主的な判断との立場で、各銀行がリスク管理の質を高めることに期待感を示した。「金融市場が混乱し経済全体が弱いときに規制の強化を議論することは不適切」との考えだが「株価によって経営が振り回されるのは好ましくない」としており「今の水準の株を保有しつづけるのであれば、そのリスクに見合った資本の追加的調達が課題になる。株式保有のためだけに、追加的な資本を保有しないと言うならば、株式の保有を減らすことだろう」と指摘。金融危機が教訓として効果をもたらさない場合は「将来において、もう少し追加的な対応を考える余地はあるかもしれない」とし、「努力の進ちょく度合いをモニターしていきたい」とした。

 <市場の公正性・透明性確保の方向感に何ら修正必要ない> 

 金融危機を受け、金融安定化フォーラム(FSF)など国際的な規制当局の議論の場では、自己資本比率規制や市場の公正性・透明性の改善、会計基準の改善、格付け機関の規制、金融機関の経営者の報酬問題を含むビジネスモデルの問題など、規制再構築の方向性が打ち出されている。佐藤長官は「規制の再構築と金融・資本市場の競争力強化は両立しうる」と主張。国内では信用格付け業者に対する規制導入が国会で議論されているほか、金融分野における裁判外紛争解決支援制度(金融ADR)など投資家保護の強化も日本の金融市場競争力強化につながると例を挙げ「市場の公正性・透明性を確保しながら利便性の高い市場を整備していく方向感には何らの修正も必要ない。(国際議論との)整合性を保ちながら、金融・資本市場の活力増大に取り組む」とした。

 また、規制の質的向上を目指して金融庁が進めているベター・レギュレーションの取り組みは、規制の再構築を目指している国際的な議論と矛盾しないとの考えを示し「金融情勢・動向に左右されるものではない。重要で時間をかけてしっかり進めていくもの。基本方向に何ら変更はない」とした。

 日本のベター・レギュレーションでは、きめ細かく規制するルールベースと金融機関の自主性を尊重するプリンシプルベースの最適な組み合わせを目指すとしている。イギリスが、過度に依存したとの反省からプリンシプルベース見直しの方針を打ち出しているが、佐藤長官はこれを「ルールベースも取り込んだ、より適切なバランスに修正していく流れ」と指摘。規制当局の人員など行政資源は限られているため、規制の効率性を考えると「個々の金融機関で自助努力をしっかりしてもらうことが大事」と主張した。  続く...

 
 
 
 
 
Photo
 

ロイターオンライン調査

写真

デフレ環境下で急速な円高が進み、「ドバイショック」も加わった。「日本株は売り材料ばかりで、八方ふさがりだ」との声も。  ブログ