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コラム:中国EVシフト、ツケは海外自動車メーカーに
2017年9月20日 / 01:35 / 1ヶ月前

コラム:中国EVシフト、ツケは海外自動車メーカーに

[香港 19日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 世界最大の自動車市場である中国が、ガソリンやディーゼルなど伝統的な内燃機関車の生産・販売の禁止時期の検討に入ったとのニュースは、世界の自動車業界に電気ショックをもたらした。

 9月19日、世界最大の自動車市場である中国が、ガソリンやディーゼルなど伝統的な内燃機関車の生産・販売の禁止時期の検討に入ったとのニュースは、世界の自動車業界に電気ショックをもたらした。写真は2015年9月、北京の街角に停められた上海汽車(SAIC)の電気自動車(2017年 ロイター/Damir Sagolj)

禁止内容の詳細や期限は明らかでないが、電気自動車(EV)の開発を後押しする規制案を読めば、中国政府の戦略が見えてくる。外国の自動車メーカーにコストを負担させる、というものだ。

この計画は、世界的な自動車メーカーを窮地に追い込むるものだ。

2018年に導入予定の新しい割り当て制度は、中国国内で販売される自動車の8%以上を、新エネルギー車とするよう各メーカーに義務づける。2020年には、目標値は「12%以上」に拡大される。目標を達成できないメーカーは、EV車を扱うライバル会社から「クレジット」を購入しなければならない。海外メーカーは、全体の売上げを向上させない限り、ライバルからのクレジット購入の負担は重くなる。

だが、中国の補助金制度は国内生産された車を優遇するため、より多くのEVを販売するには、中国生産を増やす必要がある。それは、中国の合弁企業との技術共有を進めることでもあり、意図せずライバルを強化する結果になりかねない。

いずれにしても、中国メーカーが利益を得ることになりそうだ。充電電池・電気自動車メーカーの比亜迪(BYD)(002594.SZ) (1211.HK)は、すでに電気自動車に特化している。割当制度が導入されれば、BYDは自らのビジネスモデルは少しも動かすことなく、山の様なクレジットを手に入れることができる。また、クレジットの価格決定メカニズム自体が、利益をもたらす可能性がある。中国制度のモデルとなったとみられている米カリフォルニア州の制度では、米EV大手テスラが昨年、3億200万ドル分の規制クレジットを計上している。

このような制度の存在は、新市場への参入を促す効果を生んでいる。証券会社CLSAのアナリスト、アレキシャス・リー氏によると、過去18カ月で、30以上の中国メーカーが新エネルギー車生産の認可を取得した。これらの会社はほぼEVに特化することで、クレジット制度の恩恵を最も受けられるだろう。すべての新参企業が中国の消費者の嗜好に合う自動車の開発に成功する訳ではないにせよ、参入により競争が激化し、利益幅が圧縮される。

多国籍メーカーは、エコカー投入を急ぐことでクレジット取得を試みることも出きるだろう。だがそれは、伝統的メーカーにとって、特に生産能力とサプライ・チェーンが整備されていない場合、とても経済的な選択肢とは言えない。独ダイムラー(DAIGn.DE)によると、EVの利益率は、内燃機関車の半分程度しかない場合もあるという。

電気自動車のシェア獲得に走る海外メーカーには、もう1つ障害物が待っている。中国消費者の嗜好は、規制や制度で決まる訳ではない。調査によると、最も好まれているのは、ガソリンを大量に消費するSUV(スポーツ多目的)車だ。外国か中国メーカーかを問わず、最大のリスクは、誰も欲しがらないEVを生産してしまうことだ。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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