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コラム:中国、資金調達で銀行過剰依存が再燃か
2017年6月16日 / 03:46 / 3ヶ月前

コラム:中国、資金調達で銀行過剰依存が再燃か

 6月15日、中国の企業は資金調達の選択肢が狭まりつつある。急膨張してきたシャドーバンキング部門に対する規制強化が実を結び始めていることが、人民銀行のデータから読み取れる。写真は北京で2016年3月撮影(2017年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

[香港 15日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 中国の企業は資金調達の選択肢が狭まりつつある。急膨張してきたシャドーバンキング(影の銀行)部門に対する規制強化が実を結び始めていることが、人民銀行(中央銀行)のデータから読み取れる。

しかし同時に社債発行額が急減し、規制当局は新規株式公開(IPO)の承認を遅らせている。つまり、実体経済がまたもや銀行融資に過度に依存する恐れが出てきたわけだ。

中国は今年、増え続ける企業債務抑制への取り組みを強化し、ある程度の成果を上げている。人民銀行が14日公表した5月の与信データによると、信託融資や委託融資などのシャドーバンキング部門の与信増加額はわずか289億元(43億ドル)で、4月から大きく鈍化して過去7カ月で最低の伸びを記録。シャドーバンキングの与信額がかなり増えた第1・四半期から一変し、債務圧縮の動きが定着したことがうかがえる。

こうした状況を、中国銀行業監督管理委員会(銀監会)の郭樹清主席は歓迎するかもしれない。郭氏は3月、政治的に重要な秋の共産党大会を控えて国内銀行セクターの「混沌」と闘うと宣言していた。

焦点はシャドーバンキング部門で、ムーディーズの試算では昨年末時点で資産規模が9兆5000億ドルに達した。ノンバンクは重要な資金の出し手になり得るとはいえ、エコノミストの間では5年で2倍強というシャドーバンキング部門の急拡大ぶりが懸念されていた。

ただ市場経由の資金調達手段が細りつつある以上、銀行と代替的な貸し手をあまりに締め付けすぎると、生産性の高い企業への与信にまで支障をきたすという意図せざる結果を招きかねない。トムソン・ロイターのデータによると、5月のネットベースの社債発行額は2462億元の減少と過去最大の落ち込みとなった。その一因は、地方政府や不動産開発会社による起債の規制厳格化だが、金利上昇の影響もあっただろう。一方で証券規制当局はIPOにブレーキをかけており、週間承認額は1年前の半分未満となっている。新興企業やプライベートエクイティ投資家にとっては喜ばしくないニュースと言える。

さまざまな資金調達方法を自由に利用できるようにしておくことは、効率的な資金配分を促す力になる。だから中国における与信が今後も銀行融資だけにとどまるなら、効率的な資金配分は決して実現しない。

●背景となるニュース

・中国の5月の社会融資総量は1兆1000億元(1560億ドル)と、4月の1兆4000億元を下回って過去7カ月で最低となった。信託融資や委託融資などシャドーバンキング部門の与信増加額は289億元、4月は1770億元だった。

・債発行額は2462億元減少し、週間のIPO承認額は平均21億元と1年前の50億元強を下回った。

・ムーディーズによると、中国のシャドーバンキング資産は過去数年で急増し、昨年末時点では64兆5000億元に上っている。

・中国の規制当局は、秋の重要な共産党大会を控え、シャドーバンキングの締め付けを強化。2月に銀監会主席に指名された郭樹清氏は就任直後、国内銀行システムに存在する「混沌」を取り除くと表明した。

・人民銀行のデータによると、5月の銀行新規融資額は1兆1000億元で、ロイターがまとめた市場予想の9000億元を上回った。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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