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焦点:中国トラック輸送制限令、「鉄道アルマゲドン」起きるか
2017年9月25日 / 23:07 / 22日前

焦点:中国トラック輸送制限令、「鉄道アルマゲドン」起きるか

 9月22日、深刻化する大気汚染の改善に向けて、中国政府がディーゼルトラックによる輸送を制限する方針を打ち出したことで、鉄鋼から化学製品などさまざまな中小工場が、停滞しがちな鉄道輸送へのアクセスを確保するための大争奪戦を繰り広げている。写真は2014年3月、安徽省合肥市で撮影(2017年 ロイター)

[北京 22日 ロイター] - 深刻化する大気汚染の改善に向けて、中国政府がディーゼルトラックによる輸送を制限する方針を打ち出したことで、鉄鋼から化学製品などさまざまな中小工場が、停滞しがちな鉄道輸送へのアクセスを確保するための大争奪戦を繰り広げている。

中国の環境保護省は8月、28都市を拠点とする数万の企業に対し、大気汚染が悪化する冬季期間中のディーゼルトラック利用について、11月1日までに半減させるよう命じた。

同省はまた、鄭州新力電力や邢台鋼鉄など20以上の電力や鉄鋼会社に対して、より厳格な恒久的目標を省令で示し、輸送の半分以上を鉄道に振り替えるよう指示した。

中国の重工業、特に鉄道網から遠く離れれていたり、地域間を短距離輸送させる内陸部の企業にとって、トラックはより安価で望ましい輸送手段だ。

一部の地域ではトラック輸送に対して過去にない厳しい締め付けを始めている。河北省と河南省中部では、一部の鉄鋼会社は常時、最大9割の製品を鉄道輸送しなくてはならない。現在、その割合は5─6割に過ぎない。

今回の動きは、各世帯が暖房を使用する11月から3月にかけて、中国北部を覆う大気汚染を緩和しようと、政府が長年取り組んでいる対策の新たな一手だ。家庭暖房向けの電力は、二酸化炭素排出や大気汚染を伴う石炭火力発電が主流となっている。

政府はこのほか、大気汚染を抑えようと、冬季は最大50%生産能力を絞るよう北部の製鋼工場や他の工場に要請している。

トラック輸送の制限に先立ち、主要港湾都市内におけるディーゼルトラックによる石炭輸送を禁止する政令が今年出された。

中国全土に張り巡らされた世界最大級となる約12万キロの鉄道網は、国内企業と海外市場を結び付けて、一大貿易圏を築こうとする中国政府の「一帯一路」構想の基軸となるものだ。

この輸送改革のスケールは計り知れない。高速道路を利用した輸送は、約430億トンを超える昨年の輸送物資の77%を占めていたが、鉄道輸送は8%しかなかった。

「これは、環境影響をいかに(政府が)真剣に考えているかを示す証左の1つだ。ただ、荒っぽいやり方だし、鉄道輸送が合理的でない路線もある」と、コンサルティング会社アルカディスでアジアの輸送ロジスティクスを担当するジョナサン・ベアード氏は言う。

中国鉄道省は、取材の要請に応じなかった。環境省と鉄道輸送価格を監視する担当部署は、コメントしなかった。

<「鉄道アルマゲドン」>

中国都市部の大気清浄化対策として生産削減を命じられた企業は、すでに「暗い冬」への備えを進めていた。

 9月22日 深刻化する大気汚染の改善に向けて、中国政府がディーゼルトラックによる輸送を制限する方針を打ち出したことで、鉄鋼から化学製品などさまざまな中小工場が、停滞しがちな鉄道輸送へのアクセスを確保するための大争奪戦を繰り広げている。写真は2013年6月、安徽省淮北市で撮影(2017年 ロイター)

今や、多くの企業は、11月1日の期日までに鉄道輸送手段を確保するため、必死の努力を始めている。

中国石油化工(シノペック)(600028.SS)や中国アルミニウム(チャルコ)(601600.SS)など主要国有企業は、鉄道輸送の長期契約を結んでいるため、中小企業の使える枠は限られている。また、多くの工場は、鉄道駅から数百キロ離れた場所に位置している。

また、鉄道輸送が目詰まりを起こすことで、大きな混乱が生じ、必要不可欠な原料が不足したり、企業の製品供給能力に悪影響を与えたりする可能性が懸念されている、とロイターが取材した企業幹部は警鐘を鳴らす。

さらに、鉄道輸送はより高価で、路線によってはより時間がかかる。邢台鋼鉄の幹部は、鉄道を使う場合、1トンあたり最大40元(約680円)輸送費が加算され、10%のコスト上昇につながるという。

「鉄道アルマゲドンのために、原料が十分に届かず、製品輸送が困難になるなら、冬季は減産を強いられるかもしれない」。山東省にあるエン州煤業コークス工場の営業幹部はそう語った。この工場は、年間200万トンのコークスを生産している。

同幹部によると、中国東部の工業と農業の中心地、山東省では、鉄道当局が、主要顧客を対象とした最近の会議で、貨物1トンあたりの輸送料金について距離1キロにつき0.01元の値上げを提案した。

これは、南に約160キロ離れた街への輸送費用が約10%上昇することを意味する。この提案が、省政府に正式に承認申請されたかどうかは明らかになっていない。

「約60キロしか離れていない顧客もある。トラック輸送の方が機動的だし安価だ」と、 邢台鋼鉄のワイヤー子会社の営業幹部は言う。「800キロ離れた浙江省や江蘇省の顧客には、鉄道輸送では1週間かかるが、トラックなら1、2日で済む」

<空前のスケールに困惑>

石炭輸送の増加を受けて、鉄道交通量は今年増加している。石炭の輸送手段は鉄道が最も主流で、昨年は交通量の約3分の1を占めた。

中国の鉄道網は、主に中国鉄路総公司が運営している。中国石炭大手の中煤能源(601898.SS)や神華能源(601088.SS)など一部の国有企業も鉄道区間を所有しており、比較的安価に輸送することができる。

「鉄道輸送作戦」の空前のスケールに、多くの企業関係者は困惑を深めている。河南省の隆裕化工の幹部は、自社には鉄道輸送網へのアクセスがまったくないと話す。

「この冬、どうやって輸送問題を乗り越えるのか正直、全然分からない。ディーゼルトラックの取り締まり強化で、ただでさえトラック輸送費が上昇している」

(翻訳:山口香子、編集:下郡美紀)

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