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焦点:中国企業、業績好調の裏に「債務依存」の落とし穴
2017年9月14日 / 00:46 / 6日前

焦点:中国企業、業績好調の裏に「債務依存」の落とし穴

 9月11日、中国企業の業績は一見、2017年に素晴らしいスタートダッシュを決めたかのように見える。写真は2015年、北京の証券会社で株価ボードを眺める男性(2017年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

[香港/バンガロール 11日 ロイター] - 中国企業の業績は一見、2017年に素晴らしいスタートダッシュを決めたかのように見える。世界第2位の規模を誇る同国経済の順調な拡大に助けられて、上半期の純利益は25%近く増加した。昨年の伸び率はわずか6%だった。

このようなしっかりした利益成長が主な要因となり、香港のハンセン株価指数.HSIは3年来の高値をつけ、上海総合指数 .SSECも過去20カ月で最高の水準となっている。

だが、業績改善の原動力となっている設備投資と合併・買収(M&A)は、増大する債務に支えられており、そのペースは不安を感じさせるほど急速だとアナリストは指摘する。

業績をかさ上げするために、一時的な特別益が頻繁に計上されることも多く、一部セクターで見られる不健全なファンダメンタルズとも相まって、投資家が二の足を踏む可能性もある。

ロイターの試算によれば、上海、深セン、香港に上場している約1200社の6月末時点での債務総額は、1年前に比べ13%膨らんだ。2016年上半期末時点の7.5%増から加速している。

同時期に債務返済に充てられた利益はそれほど多くなく、調査対象として選んだ少なくとも2年連続で利益計上している企業のキャッシュレベルは12%も増加している。

全体として、負債資本比率は昨年に比べてほとんど変化していない。これは、懸念すべき債務水準に達しているとみられる多くの中国企業について、レバレッジの広範囲な解消を期待することは時期尚早という現実を示している。

「利益の改善は債務に依存したものであり、持続可能性という点で疑問がある」と独立系調査会社オリエント・キャピタルでマネージング・ディレクターを務めるアンドリュー・ケンプ・コリエ氏は語る。

債務拡大の先頭に立っているのは、中国の不動産デベロッパーだ。不動産大手の中国恒大集団(3333.HK)など、最も債務負担の大きい企業の一部は削減を進めているが、それ以外は借り入れを続けている。

精力的に企業買収を続ける不動産開発会社の融創中国(1918.HK)では受注販売がほぼ倍増し、粗利益も86%増大したが、債務総額も約6割膨らみ、280億ドル近くに達している。

「利益増大という見かけほど、状況は明るくない。クレジットは名目成長率よりも速いペースで積み上がっている」とナティクシスのチーフエコノミスト、アリシア・ガルシア・ヘレーロ氏は語る。さらに、通常のレバレッジ比率では超短期債務が把握されていないと同氏は指摘する。

返済期間12カ月未満の債務は借り換え需要が生じるため、よりリスクが大きいとみなされるが、ナティクシスの調査によれば、こうした債務額が全体債務に占める比率は、グローバル平均の38%に対し、中国企業では平均68%に達しているという。

 9月11日、中国企業の業績は一見、2017年に素晴らしいスタートダッシュを決めたかのように見える。写真は5月撮影(2017年 ロイター/Thomas White)

<問われる増益の「質」>

専門家は中国経済の回復力に驚いている。輸出復活と好調な小売売上高に立脚して、今年上半期は予想を上回る6.9%の成長を示したからだ。もっとも、その勢いはやや衰えを見せるだろうと予想されている。

ただ、一部セクターにおける業績改善は、歓迎すべきものとはいえ、必ずしも主力事業の好調さに支えられている訳ではない。

フィッチ・レーティングスによれば、石油大手は増収増益を記録したが、これは石油価格が平均28%上昇したためであり、上半期の石油・ガスの生産量は前年比で2%減少した。

 9月11日、中国企業の業績は一見、2017年に素晴らしいスタートダッシュを決めたかのように見える。写真は5月撮影(2017年 ロイター/Thomas White)

また、大手銀の業績は改善しているが、他の金融機関からの短期借入に依存する中小の銀行では、純金利マージンが縮小し、経営不振に陥るところも出ている。盛京銀行(2066.HK)の上半期の営業利益は前年同期比で約17%も低下した。

銀行セクターは、過剰な借入れによる負担にも耐えなければならないだろう。

「借入れに頼った過剰投資によって、長期的には貧弱なリターンしか生まないであろう資産による問題が膨れ上がっており、多くは不良債権と化す可能性が高い」。シンガポール銀行のチーフエコノミスト、リチャード・ジェラム氏はそう語る。

一時的な要因や為替による特別利益も幅広いセクターで頻繁に計上されており、たとえ売上高や営業利益が伸び悩んでいる場合においても、見せかけの業績を取り繕っている。

中国の電子商取引大手アリババ・グループ・ホールディング(BABA.N)が一部保有する聯華超市(0980.HK)は、既存店の閉鎖とオンラインショッピングとの価格競争により売上高が6%低下したが、金融資産売却の貢献により、かなりの利益を計上している。

中国大型スーパー(ハイパーマーケット)の高キン零售(サン・アート・リテール・グループ)(6808.HK)は23%の増益を記録したが、これは主として期限切れのプリペイドカードによるものであり、既存店売り上げは微減だ。

中国国際航空(エア・チャイナ)(601111.SS)は、燃料費の高騰が一因となって純利益は小幅に減少したが、為替差益を中心とした特別項目を除外すると、業績は60%も低くなる。

(翻訳:エァクレーレン)

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