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焦点:中国元建てベンチャー資金調達が急増、IPOブームに拍車
2017年10月5日 / 03:44 / 13日後

焦点:中国元建てベンチャー資金調達が急増、IPOブームに拍車

[香港 22日 ロイター] - 中国に注目するベンチャーキャピタルが、同国のテクノロジー企業に対する投資を増やしている。人民元建ての資金調達も、資本市場の開放が進むにつれ、過去5年間で最速のペースに達している。

 9月22日、中国に注目するベンチャーキャピタルが、同国のテクノロジー企業に対する投資を増やしている。人民元建ての資金調達も、資本市場の開放が進むにつれ、過去5年間で最速のペースに達している。6月撮影(2017年 ロイター/Thomas White)

年初から9月後半までに人民元建てのファンドが調達した資金は958億元(約1兆6200億円)に上る。2016年は通年で567億元だった。調査会社プレキンのデータによれば、2017年は、調達額が1458億元に達した2012年以来最大となる勢いだという。

現在78社に上るファンドが今後数年間でさらに1兆1500億元もの資金調達を行う計画だとプレキンは指摘。その大半は、巨大規模の国有機関と、いわゆる「政府引導基金」によるものだという。この基金は先端エンジニアリングやロボット工学からバイオテクノロジー、クリーンエネルギーに至るまで、さまざまな産業における国産イノベーションの育成を目指すものだ。

そのなかには、China Structural Reform Fundによる3500億元規模、China State-Owned Capital Venture Investment Fundが目指す2000億元規模、国有のEnterprise National Innovation Fundが提案する1500億元規模の資金調達が含まれている。

国家の支援を受けた中国系ファンドによる資金調達目標は、金額が巨大なだけに、最終的な目標を達するまでには時間を要する可能性がある。2016年に発足したChina Structural Reform Fundは、登記資本金の20%を調達済みであり、同ファンドの社長は、2018年末までに資金調達を完了する予定だと財新網とのインタビューで語っている。

「資本調達のピークという意味では、過去最高の状態だ。地域や省、全国といった規模で、インキュベーターやベンチャーキャピタルにシード資金を供給する政府系機関が怒濤のように押し寄せている」と、中国に注力する投資銀行、中国首控集団のピーター・ファーマン最高経営責任者(CEO)は語る。

「中国では、政府系機関が多くの資金を抱えている。彼らはイノベーションと起業に向けたシード資金の提供をしたいと考えており、そうした動きが見受けられる」

こうした投資の急増は、米国においてスタートアップ向けのシードラウンドの資金供給が減速し、過去2年間は低下傾向に転じていることと好対照である。米国におけるベンチャーキャピタルによる資金調達が今年横這いになる、と全米ベンチャーキャピタル協会は推測している。

<魅力的な起業家たち>

高速中国、モーニングサイド・ベンチャー・キャピタル、GGVキャピタルといった企業や、Ion Pacificなどの銀行は、かつては米ドル建てのファンドしか持っていなかったが、初めて元建てのファンドを立ち上げつつある。ヒルハウス・キャピタル、紅杉資本中国、華興資本など、これまでもドルと人民元の両通貨で資金調達していた企業は、新たなファンドによって元建て資金を積み増ししつつある。

これらの企業にとって重要なのは、外国人投資家に対して閉ざされたセクターでの潜在的投資機会を逃したり、米国ではなく中国での株式上場を望むようになった中国人起業家に対する投資チャンスを見逃したりしないことだ。

「エコシステムにある適切な起業家を捕まえることは、われわれの最優先課題だ。だから、通貨は単なる手段であり、そういう起業家を捕まえるためのツールだ」と語るのは、ドルと人民元の両通貨建てのファンドを持つ経緯中国のパートナーであるハリー・マン氏。

「人民元資金を用意しておかないと、結局ディールの50%を見逃すことになる。そして元建て資金調達を強いられる。だから誰もがそうしているのだ」とマン氏は語る。

アリババ・グループ(BABA.N)など中国の一流テクノロジー企業を支援している紅杉資本中国は、新規ファンドとして少なくとも100億元を調達しようと目論んでいる。また、テンセント・ホールディングズ(0700.HK)やバイドゥ(BIDU.O)、JDドットコム(JD.O)といった企業に初期から投資していたヒルハウス・キャピタルは約80億元の資金調達を目標にしている。

資金調達の詳細が公表されていないため匿名を条件として事情に詳しい筋が語ったところによれば、華興資本の投資運用部門は、約60億元規模の新規ファンドにより、人民元建ての資金を追加しているという。Ion Pacificは、中国通貨による初のファンドのために10億元を調達しつつある。

「一部のセクターは外国人投資家を受け入れていないから、たとえば文化メディア産業では、ビデオライセンスのようなある種の認可を申請し、国内投資家となる必要がある」と啓明創投のパートナーであるヘレン・ウォン氏は語る。

「現在では国内株式市場でも新規公開(IPO)が可能であり、多くの企業による国内上場をめざす動きを促進している」とウォン氏は付け加えた。2017年に規制当局がIPO承認件数を増やし、これに刺激されて、株式公開の準備を開始する企業が増えたことを指している。

こうした変化によって、深セン・上海の証券取引所はさらに勢いを増している。トムソンロイターのデータによれば、今年、中国の新規上場企業は322社で、合計229億ドルを調達している。中国の証券規制当局は週ごとのIPO承認ペースを5月に抑制したが、それでもこの数値はすでに2016年通年での252社を上回っている。

さらに、中国テクノロジー企業の株式公開と言えば、従来はその多くがNASDAQとニューヨーク証券取引所に集中していたが、両取引所の影響力が低下する可能性もある。

「人民元建て市場では、医療やメディアなどの規制セクターや、起業のために政府支援が必要なクリーンテクノロジー分野の一部で企業の増加が見られる」とGGVキャピタルのマネージングパートナーを務めるハンス・トゥン氏は語る。「フィンテック分野の企業もあるが、その多くは、金融サービス産業で事業を営むための認可を必要としているから、中国国内での上場を望んでいる」

(翻訳:エァクレーレン)

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