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コラム:注視すべき人民元安と中国当局の対応、米金利と裏腹の動き
2017年1月6日 / 06:12 / 10ヶ月前

コラム:注視すべき人民元安と中国当局の対応、米金利と裏腹の動き

[東京 6日 ロイター] - トランプ相場の裏側で、中国人民元が神経質な動きをみせている。中国の短期金利が100%を超える水準まで上がり、人民元が上昇。中国当局の対応に関し、さまざまな思惑が浮上している。短期的には、トランプ次期米政権による為替操作国の認定回避に向けた動きともみえるが、トランプノミクスによるドル高の影響による資本流出と、元安急進展を懸念している可能性がある。今年は米長期金利と人民元が大きな注目点になりそうだ。

 1月6日、トランプ相場の裏側で、中国人民元が神経質な動きをみせている。中国の短期金利が100%を超える水準まで上がり、人民元が上昇。中国当局の対応に関し、さまざまな思惑が浮上している。写真は北京で2010年11月撮影(2017年 ロイター/Petar Kujundzic)

<中国翌日物金利が一時100%超、元買いに>

オフショア人民元CNH=D3の対ドル相場が上がり出したのは、年明け4日から。当初は市場で「どうしてオンショアCNY=CFXSよりもオフショアの人民元が高くなっているのか」(国内銀行関係者)との声も出ていたが、5日になると構造がはっきりしてきた。

オフショア人民元の香港銀行間取引金利(HIBOR)の翌日物金利が一時、100%を超える水準に急上昇。人民元の調達金利の大幅な上昇を受け、元売りポジションを形成していた海外投機筋が、ポジションの巻き戻しに動き、元高になったとみられている。

中国当局は何も見解を表明していないが、複数の市場筋は中国人民銀行がきつめの金融調節をした結果、中国の銀行が短期市場への資金供給量を絞り、短期金利が跳ね上がったとみている。

このような中国当局の動きの背景に何があるのか──。複数の市場筋が指摘するのは、1月20日にトランプ次期米大統領が正式に就任後、為替操作国に認定されないよう元高に誘導しているのではないかとの見方だ。

確かに短期的には、その見方にも合理性はありそうにみえるが、実は中長期的に中国当局が懸念しているのは、中国からの資金流出による人民元の急落局面ではないだろうか。

<ドル高継続なら、元安促進>

トランプノミクスへの期待感は、保護主義的な言動で陰りが出て来るとの見方があるが、雇用環境がタイトな中での大幅な財政出動とインフラ投資の活発化が現実になれば、名目成長率の上昇と期待インフレ率の高まりで、米長期金利US10YT=RRが3%台に乗せてさらに上がる可能性がある。

米長期金利の上昇は、ドル高を促進する要因となり、マネーは米国市場へと「吸い寄せ」られる展開が予想される。

マネーを吸い取られて打撃を受けそうなのは新興国だろうが、かつてのBRICS諸国の中で最も資金が出て行きやすいとみられているのが中国だ。

2016年初めから2017年1月初めまでにオンショアの人民元は、1ドル=6.48元台から1.89元台まで約6%下落した。

しかし、2016年11月末の外貨準備高は3兆00516億ドルと、14年に記録した史上最高水準から1兆ドル弱減っている。人民銀によるドル売り/元買い介入の結果と見られているが、トランプノミクスの進展と米連邦準備理事会(FRB)による利上げが進展していけば、これまでに比べてかなり大規模な資金流出と人民元安が現実になるリスクがある。

今回の短期金利上昇現象を生み出した中国当局のスタンスには、中長期的な元安に先手を打ってきた可能性が見て取れるのではないか。

結論として言えば、中国当局は米マクロ政策の結果による元安を「警戒」している可能性が高いと考える。

<元安誘導はリスク増幅>

東京市場の関係者の中には、中国経済が立ち直るには、元安誘導による輸出増強が早道という見方が、依然として根強く残っているようにみえる。

しかし、元安誘導すれば、資金流出に自ら拍車をかけ、中国発の経済不安をじゃっ起しかねないリスクを高める。

したがって今後は、元の急落を防止するために中国当局が資本規制の網を広範囲にかけてくることが予想される。

資本規制は、FRBの利上げスタンスが強まるにしたがって強化されるのではないか。

FRBの金融政策は、米景気とインフレ期待を反映した米長期金利の動向に大きく左右される。

つまり今年の世界経済は、米長期金利の動向と中国当局の資本規制の行方、人民元の推移によって、大きく振れる可能性があると考える。

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