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コラム:米アップルがロック解除問題で得た「教訓」
2016年3月30日 / 06:56 / 1年前

コラム:米アップルがロック解除問題で得た「教訓」

 3月29日、アップルはロビー活動に投じる資金が不思議なほど少ない企業だが、iPhoneロック解除をめぐるFBIとの対立を機に、この点で見直しを迫られるかもしれない。写真は同社のロゴ。豪シドニーのアップルストアで18日撮影(2016年 ロイター/David Gray)

[ワシントン 29日 ロイター BREAKINGVIEWS] - アップル(AAPL.O)は企業規模の巨大さに比べ、ロビー活動に投じる資金が不思議なほど少ない企業だ。しかしiPhone(アイフォーン)のロック機能解除をめぐる米連邦捜査当局(FBI)との対立を機に、この点で見直しを迫られるかもしれない。

企業家精神に富む西海岸企業の例に漏れず、アップルの革新的企業文化と、物事を決められないワシントン政治の間の溝は深い。そのため同社は議員との取引を避けようとしてきた。同社のロビー活動予算は長年、年間100万ドル未満にとどまっていた。

それがようやく見直されたのは、2013年にティム・クック最高経営責任者(CEO)が議会に引っ張り出され、海外における課税対策について証言してからだ。同じ年、エドワード・スノーデン容疑者の一件を機に政府による情報監視の問題が脚光を浴び、アップルの新たな路線を後押しすることになった。

それでもなお、同社のロビー活動費用はライバル企業に比べて見劣りする。同社は昨年、同費用の総点検を行ったが、政治家候補者に献金する政治活動委員会は社内に備えていない。監視団体「責任ある政治センター」によると、2015年の同社のロビー活動予算は450万ドルで、フェイスブック(FB.O)およびアマゾン(AMZN.O)の約半分、グーグル(GOOGL.O)に比べると4分の1にすぎない。

アップルの政治的野心は控え目で、関心を注いでいるのは主に税金と特許改革の問題だ。フェイスブックの場合は米国の移民受け入れ拡大というより大きな構想を抱えており、グーグルは反トラスト問題など、政府との対立事項が多い。

しかしアップルは、カリフォルニア州で起きた銃乱射事件の解明に巻き込まれたのを機に、再び戦略を見直すかもしれない。クックCEOがロック機能の解除を拒んだことで、米議会では法案策定、公聴会開催、作業グループの立ち上げなど、さまざまな動きが噴出している。当局は法廷闘争を放棄してロック機能を解除する道を選んだが、それでもこうした動きは続くだろう。ブリュッセルの攻撃など事件が多発していることも、民間企業に対する法執行の圧力を高めている。

ロビー活動というとイメージは陰湿だが、事態が収拾不可能になる前に論点を提示し、困ったときに頼りになる議員を味方につけるという意味では役に立つ。アップルとしては商品開発の方に資金を注ぎたいかもしれないが、同社が抱えるキャッシュ2000億ドルのうち、もう少し多くの部分をワシントンに投じれば、株主の利益にかなう可能性がある。

●背景となるニュース

*米議会下院の2つの委員会は21日、アップルがアイフォーンのロック機能解除に抵抗した問題に鑑み、暗号をめぐる超党派の作業グループを結成したと発表した。作業グループはプライバシーや米ハイテク企業の競争力を損なうことなく、法を執行できるようにするための解決策の策定に当たる。

*アップルは2月、カリフォルニア州で起きた銃乱射テロの容疑者が使っていたアイフォーンのロック機能解除について、裁判所によるFBIへの協力要請と闘う姿勢を表明。米司法省は3月28日、当局がロック解除に成功したとして申し立てを取り下げた。

*議会はこの問題で複数の公聴会を開催。上院情報委員会の上位メンバー2人は、暗号化された情報へのアクセスについて企業に法執行への協力を求めるという点で、連邦裁判所判事に明確な権限を与える法案の策定に取り掛かっている。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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