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コラム:原油市場で高まる「チャイナオイル」の存在感
2015年5月26日 / 06:04 / 2年前

コラム:原油市場で高まる「チャイナオイル」の存在感

 5月25日、中国がグローバル経済で自己主張を強めている証拠を探そうとするなら、アジアの原油現物市場はその良い一例だ。写真は中国国有の中国石油天然ガス(ペトロチャイナ)のロゴ。北京のガソリンスタンドで2013年8月撮影(2015年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

[シンガポール 25日 ロイター] - 中国がグローバル経済で自己主張を強めている証拠を探そうとするなら、アジアの原油現物市場はその良い一例だ。中国国有の中国石油天然ガス(ペトロチャイナ)(0857.HK)のトレーディング部門であるチャイナオイルが4月、中東原油市場で55カーゴの現物原油を購入し、これまでの最高記録だった昨年10月の47カーゴを上回った。

こうした中国の現物原油の購入は、買い手と売り手の注文をその日の終値でマッチングさせる一方で、市場の価格形成プロセスに寄与するプラッツ・ウィンドウと呼ばれる相対の現物取引プラットフォームで行われた。

実際の多くの取引はプラッツ・ウィンドウ以外で行われているが、プラッツ・ウィンドウは市場で活発な売買をしている姿を見せたい場合に活用する場であり、チャイナオイルは旺盛な買い姿勢によって自らの認知度と大商いに伴う影響力を得たいと考えていることがうかがえる。

チャイナオイルが昨年10月、12月渡しの現渡取引で47カーゴを購入した際、市場では中国の戦略備蓄を補うための現物原油が必要なためだとのうわさが飛び交う一方で、大量の買いあさりによって起きた相場の変動を利用して、現物を伴わない先物などのペーパー取引で反対売買による利益を得たとの声も聞かれた。

今回は恐らく、明確な動機は見出し難い。チャイナオイルは4月に購入した原油の一部を今月に入って売却したのであればなおさらだ。

1つ考えられるのは、チャイナオイルはペーパー市場との裁定取引を行う上で、現物原油の価格上昇に満足しているという点である。もう1つは、ペトロチャイナの異なる事業部門間の利益の入れ替えの動きの1つとみる考え方だ。

原油価格の低迷に応じてペトロチャイナの上流部門はマージンの低下圧力を最も大きく受ける。一方で下流の石油精製や小売り部門は利益が拡大している。

地域の指標であるシンガポール市場の原油精製マージン<REF/MARGIN1>はここ数週間に強含み、25日には1バレル当たり9.36ドル近辺まで上昇。15日移動平均の8.45ドルを上回り、365日移動平均の6.56ドルよりはるかに高い。

チャイナオイルの買いは、精製門の利益縮小に部分的に寄与する可能性がある。トレーディング部門から調達した下流部門の原油が割高になるためだ。

<コモディティ取引で存在感高める中国>

しかし、チャイナオイルが存在感を高めようとする理由が何であれ、それによって影響が及ぶことは間違いない。

ある石油業界の幹部は「10月に47カーゴ購入した時、私は一生に一度の出来事だと考えた。しかし、その後にまた再び同じことが起きた」と話す。

アジアの原油市場で認知度を高めているのはチャイナオイルだけではなく、中国石油化工(シノペック)(0386.HK)のトレーディング部門であるユニペックも同様にプラッツ・ウィンドウで存在感を強めている。

これは国際石油メジャーだけでなく、コモディティ商社のビトルやトラフィギュラが市場で影響力を失いつつあることを意味する。

アジアの現物原油の取引は以前、お互いに顔をよく知る比較的少数のプレーヤーが参加するクラブのような形だった。そこでは個人的なつながりが重視され、参加者は誰もが自分たちの動きが世間から注目を浴びないようにしたいと考えていた。

チャイナオイルなどは公然とプラッツ・ウィンドウを利用することで、存在感を知らしめるとともに、自分たちの力を誇示していると言える。

中国が先月、米国を抜いて世界最大の原油輸入国になった今、ある意味で理にかなった動きとみることもできよう。

チャイナオイル、ユニペックの存在感の高まりは鉄鉱石や石炭、同といった他のコモディティで起きている事態にも当てはまるようだ。

中国のトレーディング会社はこうした市場でより大きな役割を果たすようになっており、中国が市場における価格決定力の面でコモディティの最大の生産、消費、輸入国としての地位を反映させようと進める努力の一環とみることは、大ぼらを吹いているとまでは言えないだろう。

*筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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