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コラム:「実質」なき中国A株のMSCI指数組み入れ
2017年6月21日 / 02:06 / 3ヶ月前

コラム:「実質」なき中国A株のMSCI指数組み入れ

 6月20日、中国本土上場の人民元建て株式(A株)は、米MSCIが行った4回目の検討でついに新興国株指数への組み入れが決まった。上海の証券会社で2003年11月撮影(2017年 ロイター/Claro Cortes)

[ニューヨーク/香港 20日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 中国本土上場の人民元建て株式(A株)は、米MSCIが行った4回目の検討でついに新興国株指数への組み入れが決まった。過去3回の検討でことごとく面目をつぶされてきた中国政府は安堵するだろう。

ただ、今回の決定は象徴的な意味合いが強く、採用に伴う中国への資金流入は控えめな水準にとどまりそうだ。

MSCIが中国A株の指数組み入れを最初に提案したのは2013年だが、投資家への市場開放を進めるための規制面の取り組みが不十分だとする大手資産運用会社の反対に遭い、計画は頓挫した。その後、中国政府は人民元を国際通貨基金(IMF)の特別引出権(SDR)の構成通貨に採用させる取り組みの一環として、中国A株の指数採用に向けた働き掛けを展開した。

しかしMSCIはこれまで、外国人投資家が自由に中国A株を取引可能か不安が残るとして、採用を見送ってきた。昨年は、海外への送金に月ごとの制限が設けられていることや取引停止措置の多発、証取の事前承認制度などを採用見送りの理由に挙げた。

中国が香港─上海に続いて昨年12月に香港市場と深セン市場の間で株式の相互取引制度を立ち上げたことと、この数カ月に株式の取引停止措置が減ったことが決定打になったようだ。今回発表された採用検討銘柄は222銘柄と、MSCIが5月に示した169銘柄を上回った。

しかし当面、中国A株採用の影響は大きくないだろう。MSCIの主要指数に実際に組み入れが反映されるのは来年6月で、世界中で利用されている新興国株指数における中国A株の構成比率は当初は0.73%にすぎない。

中国A株の採用決定が発表される前にアバディーン・アセット・マネジメントは、A株の組み入れに伴う指数連動型ファンドからの資金流入は150億ドル未満にとどまるとの試算を示した。採用銘柄数が増えて資金流入がかさ上げされても、約7兆ドルの中国株式市場の時価総額からすれば微々たるものだ。

MSCIによる中国A株の指数採用は今のところは、IMFによる人民元のSDR採用と同様に、実質に乏しく、象徴的な意味合いが濃い。中国の金融市場自由化におけるごく小さな一歩という位置づけが妥当だ。

●背景となるニュース

・株価指数の開発・算出を手掛ける米MSCIは20日、中国本土上場の人民元建て株式(A株)222銘柄を新興国株指数.MSCIEFに組み入れると発表した。来年6月から指数への反映を開始する。この指数に基づいて運用されている資産は1兆5000億ドル強。

・MSCIはこれまで3回、中国A株の採用を見送っており、検討はこれが4回目だった。MSCIは今年3月、組み入れ対象として検討する中国A株の銘柄数を従来の448銘柄から絞り込んだ。

・現行の計画では、MSCI新興国株指数における中国A株の当初の構成比率は約0.73%となり、当初計画の1%から低下する。既に同指数に採用されている香港上場の中国株と海外上場の中国企業株の構成比率は約27.6%となる。今回の見直しは自動的にMSCIオール・カントリー・ワールド・インデックスに反映される。

・MSCIは来年の正式採用に向けて、中国A株を組み入れた暫定指数を算出する。今月21日にMSCIチャイナ・A・インターナショナル・ラージ・キャップ・プロビジョナル・インデックスを、8月にはMSCIチャイナとMSCI新興国株指数の暫定版を立ち上げる。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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