Reuters logo
コラム:訴訟費計上した米シティ、CEOの危険な賭け
2014年12月10日 / 05:03 / 3年前

コラム:訴訟費計上した米シティ、CEOの危険な賭け

 12月9日、米シティグループのマイケル・コーバットCEOは、第4・四半期に訴訟関連費用を主因として35億ドルの特別損失を計上すると突然発表し、問題に幕引きを図ろうとしているが、これは危ない賭けだ。写真は同行の看板。10月ロサンゼルスで撮影(2014年 ロイター/Mike Blake)

[ニューヨーク 9日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 米シティグループ(C.N)のマイケル・コーバット最高経営責任者(CEO)は、第4・四半期に訴訟関連費用を主因として35億ドルの特別損失を計上すると突然発表し、問題に幕引きを図ろうとしているが、これは危ない賭けだ。

同氏はこれで「問題はほぼ解決する」と胸を張った。大きく出たものだ。同社が過去に特別費用の積み立て判断を誤ってきたことを踏まえれば、なおさら大胆な宣言に聞こえる。

訴訟関連費用として積み立てるべき額の判断は容易ではない。そもそも銀行は、判決が下される前にどの程度の額を差し出す心づもりがあるのかを公表し、相手方に手の内を見せることを避けたがる。政府による訴訟の場合、近年は罰金額が膨れ上がる傾向にある。

シティが意表を突く形で発表した訴訟関連費用27億ドルの対象には、LIBOR(ロンドン銀行間取引金利)と為替取引の不正操作問題と併せ、マネーロンダリング(資金洗浄)が含まれる。残りは世界中の拠点を「再配置」するコストだ。今回費用を発表したことは、シティと当局との交渉が進み、これ以上の費用はほとんど発生しない見通しが立ったことの表れなのかもしれない。

しかし他の銀行はこれまでに、想定以上の罰金を科された経験がある。しかもシティは一部のライバル行に比べ、訴訟関連費用の積み立てが遅いことで知られる。積み立てを遅らせれば、短期的には当然のことながら利益を圧迫しないという利点がある。

第3・四半期の株主資本利益率(ROE)がわずか6.5%だったシティにとって、これは判断材料として小さい要因ではない。その後10月には6億ドルの法務費用が新たに発生したと突然発表し、同期のROEはさらに圧縮されている。コーバットCEOは投資家に対し、第4・四半期は訴訟関連費用により「辛うじて黒字」にとどまるとの見通しを示しており、ROEはさらに悪化しかねない。

シティは経費発生の「蓋然性が高く、かつ見積もり可能」な段階に達してから経費を計上したがる傾向があるため、なおさら注意が必要だ。これはつまり、予想外のコスト発生が避けられないのとほぼ同義であるからだ。いずれにせよ、コーバットCEOは今回のことで態度を明らかにし、最大級の訴訟費用問題は決着したと宣言して見せた。

しかしながら、シティは過去にも計算を誤ったことがある。最も顕著な例は米連邦準備理事会(FRB)のストレステスト(健全性審査)で資本計画が認められず、株主還元策を撤回せざるを得なくなったことだ。そうした経緯を踏まえれば、コーバット氏がいずれ自身が放った言葉に悩まされる可能性も捨てきれない。

●背景となるニュース

・シティグループは9日、第4・四半期に35億ドルの特別損失を計上すると発表した。うち27億ドルは訴訟関連費用で、主に為替取引やLIBOR設定、資金洗浄対策法へのコンプライアンスをめぐる調査に絡んだものと説明した。残りは事業再編コストに充てる。発表を受け、シティ株は最大2%下落した。

・コーバットCEOは投資家向け会議で、今回の訴訟費用計上により「問題はほぼ解決する」はずだとした上で、第4・四半期決算は「辛うじて黒字」になるとの見通しを示した。

・シティは10月14日に発表した第3・四半期決算で9億5000万ドルの法務費用を計上したが、同月末には法務費用がさらに6億ドル増えたと発表した。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

*このドキュメントにおけるニュース、取引価格、データ及びその他の情報などのコンテンツはあくまでも利用者の個人使用のみのためにロイターのコラムニストによって提供されているものであって、商用目的のために提供されているものではありません。このドキュメントの当コンテンツは、投資活動を勧誘又は誘引するものではなく、また当コンテンツを取引又は売買を行う際の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。当コンテンツは投資助言となる投資、税金、法律等のいかなる助言も提供せず、また、特定の金融の個別銘柄、金融投資あるいは金融商品に関するいかなる勧告もしません。このドキュメントの使用は、資格のある投資専門家の投資助言に取って代わるものではありません。ロイターはコンテンツの信頼性を確保するよう合理的な努力をしていますが、コラムニストによって提供されたいかなる見解又は意見は当該コラムニスト自身の見解や分析であって、ロイターの見解、分析ではありません。

私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」
0 : 0
  • narrow-browser-and-phone
  • medium-browser-and-portrait-tablet
  • landscape-tablet
  • medium-wide-browser
  • wide-browser-and-larger
  • medium-browser-and-landscape-tablet
  • medium-wide-browser-and-larger
  • above-phone
  • portrait-tablet-and-above
  • above-portrait-tablet
  • landscape-tablet-and-above
  • landscape-tablet-and-medium-wide-browser
  • portrait-tablet-and-below
  • landscape-tablet-and-below