Reuters logo
コラム:中国減速は一時的か、日欧中銀で異なる見解
2015年10月23日 / 03:29 / 2年後

コラム:中国減速は一時的か、日欧中銀で異なる見解

[東京 23日 ロイター] - 欧州中銀(ECB)のドラギ総裁が、22日の会見で12月の追加緩和を強く示唆した。リスク要因としてユーロ高、商品(コモディティ)価格の下落、新興国経済の減速を挙げた。

 10月23日、欧州中銀(ECB)のドラギ総裁が、22日の会見で12月の追加緩和を強く示唆した。リスク要因としてユーロ高、商品(コモディティ)価格の下落、新興国経済の減速を挙げた。2011年1月撮影(2015年 ロイター/Kacper Pempel)

一方、日銀の黒田東彦総裁は新興国の減速は一時的で、代表的商品である原油下落によって直ちに物価の基調が低下することはないとの立場だ。対照的な2人の見解が収れんするのか、別々のままか。カギは中国経済の減速の期間にかかっていると指摘したい。

<中国減速の波及経路、ドラギ総裁が言及>

ドラギ総裁は会見で「金融政策の緩和度合いを12月の理事会で見直す必要がある」と発言。この直後から、欧州市場で株高/債券高/ユーロ安が急速に進み、実際の追加緩和を先取りするかたちで「金融相場」の様相を強めた。

市場は「12月の理事会」という部分に強く反応したが、私は別の部分に目が行った。

1つは下振れリスクに言及したうえで「新興国の景気動向をめぐって不透明感が高まり、世界的な成長のほかユーロ圏輸出品への需要に、一段の重しとなる可能性がある」と指摘した点だ。

それに関連して、中国減速がユーロ圏に波及する経路として、1)直接貿易、2)原油価格や商品価格の変動など間接的なもの、3)金融を通したもの──と3ルートを指摘。

さらに「中国の成長をめぐる問題は、ユーロ圏を含む世界各国の信頼感にマイナスの影響を及ぼしていない」と述べつつ、「非常に大きな予想外の出来事により、世界的な信頼感が損なわれる可能性は存在する」と述べた。

ドラギ総裁は、中国を含めた新興国経済の減速の影響を重視し、そこから派生する原油価格の下落基調も含め、ユーロ圏経済の下振れリスクとして、明確に指摘した。

<新興国減速は一時的、黒田総裁の立場>

一方、黒田総裁は今月7日の会見などで、中国はじめ新興国経済の動向は注視するものの、新興国経済が堅調に推移し、いずれ新興国経済が減速から回復に転換すると予想。足元でみられる輸出や生産の減速傾向は、一時的だとの立場を強調している。

また、原油価格の下落などを反映し、8月消費者物価指数(除く生鮮、コアCPI)は前年比マイナス0.1%となったが、生鮮とエネルギーを除いた日銀版コアコアCPIは前年比プラス1.1%まで上昇。物価は上昇基調を維持しているとの立場を維持している。

日欧の中銀トップが示した見解は、中国などの新興国経済の減速や原油価格下落の影響に関し、大きな距離があると言える。

今のまま、両者がアセスメントを変更しなければ、今年12月にECBは追加緩和し、日銀はそれまで政策維持を続けると考えるのが、素直な見方だろう。

だが、同じ経済現象をテーマにして、主要国の中銀の認識が、長期間にわたって大きく食い違うことは、あまり考えられないことだ。

<中国減速長期化の場合、日本にデフレ圧力>

私は、そのカギを握っているのは、中国経済減速の期間だろうと思う。日銀の見通しが適切であれば、10─12月期から中国経済の復調が明確になり、少なくとも中国の貿易統計における輸入が、前年比マイナスから脱し、輸出は前年比プラス幅を少しずつ拡大させているはずだ。

もし、中国の輸入が大幅なマイナスを10─12月期も続け、年明け以降も回復に向けた明確な兆しが見えないなら、日本の輸出と生産に大きな下押し圧力がかかり続けることになるだろう。

確かに日本の製造業のGDPに占める割合は20%を下回っているが、製造業の「不調」が長期化すれば、非製造業にも波及し、国内景気が低迷するリスクを高めることになるだろう。

そのことは結果的に日本国内における期待インフレ率を押し下げ、物価上昇の力を弱めることにつながりかねない。

言い換えると、黒田総裁の見通しが実現性を高める条件として、10─12月期に中国経済が上向く兆しを見せることを挙げたい。

中国経済の減速感が弱まれば、足元の世界市場を覆っている不透明感が後退し、センチメントは劇的に上向く可能性がある。

逆に、中国減速が「泥沼」のように長期化する気配を色濃くするようなら、日本経済の停滞感が一段と強くなるリスクがある。

30日の会見で、黒田総裁がどのような見解を示すのか。これまで以上に注目を集めそうだ。

*このドキュメントにおけるニュース、取引価格、データ及びその他の情報などのコンテンツはあくまでも利用者の個人使用のみのためにロイターのコラムニストによって提供されているものであって、商用目的のために提供されているものではありません。このドキュメントの当コンテンツは、投資活動を勧誘又は誘引するものではなく、また当コンテンツを取引又は売買を行う際の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。当コンテンツは投資助言となる投資、税金、法律等のいかなる助言も提供せず、また、特定の金融の個別銘柄、金融投資あるいは金融商品に関するいかなる勧告もしません。このドキュメントの使用は、資格のある投資専門家の投資助言に取って代わるものではありません。ロイターはコンテンツの信頼性を確保するよう合理的な努力をしていますが、コラムニストによって提供されたいかなる見解又は意見は当該コラムニスト自身の見解や分析であって、ロイターの見解、分析ではありません。

*見出しを変更して再送します。

私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」
0 : 0
  • narrow-browser-and-phone
  • medium-browser-and-portrait-tablet
  • landscape-tablet
  • medium-wide-browser
  • wide-browser-and-larger
  • medium-browser-and-landscape-tablet
  • medium-wide-browser-and-larger
  • above-phone
  • portrait-tablet-and-above
  • above-portrait-tablet
  • landscape-tablet-and-above
  • landscape-tablet-and-medium-wide-browser
  • portrait-tablet-and-below
  • landscape-tablet-and-below