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コラム:ギリシャ最良の道は「2度目の総選挙」
2015年5月26日 / 02:39 / 2年後

コラム:ギリシャ最良の道は「2度目の総選挙」

5月25日、ギリシャが直面するシナリオはどれも暗いが、最悪の事態を避けるチャンスはまだ残っている。写真はアテネで、急進左派連合(SYRIZA)の会合で演説するギリシャのチプラス首相(2015年 ロイター/Kostas Tsironis)

[ロンドン 25日 ロイター] - ギリシャが直面するシナリオはどれも暗いが、最悪の事態を避けるチャンスはまだ残っている。そのためにはチプラス首相が口約束を実行に移すだけではなく、今年2度目の総選挙に踏み切る必要がある。

今後3カ月間に国際通貨基金(IMF)と欧州中央銀行(ECB)に対する一連の返済期限が到来することを踏まえれば、選挙のタイミングを決めるのは難しいが、なんとか実行は可能だ。

ギリシャが踏み出すべき最初の重要な第一歩は、債権者と短期的な合意を結ぶことによって72億ユーロの融資実行を可能とし、来月支払い不能に陥るのを避けることだ。依然として債権者との意見の隔たりが大きいことを考えれば、容易なことではないだろう。しかしチプラス首相は合意を楽観視していると話しており、ついに譲歩の用意ができたということかもしれない。

ギリシャが取り組むべき最重要課題は年金改革だ。同国の年金制度にはいくつもの例外規定があるため、国民は公式な退職年齢に達する遥か前から支給を受け始めることができる。債権者はこの点で一歩も譲るべきではない。

他方、ユーロ圏とIMFは労働改革については妥協に前向きな姿勢を示した方がよい。競争力の向上をもたらした改革を後退させないようギリシャに迫るのは正しいが、労働者の保護措置の廃止をこれ以上求める必要はない。

こうした短期的な交渉が合意にこぎつけたとしても、なお3つの疑問が残る。チプラス首相は合意に対して急進左派連合(SYRIZA)の支持を得られるだろうか。夏にかけて、あるいはより長期間にわたる返済資金をどう調達するのか。そしてギリシャと債権者は、さらなる改革と500億ユーロに及びそうな新規融資という、数年単位の新たな合意を結ぶ覚悟があるのだろうか。

これらの疑問に答える最良の方法が、再び総選挙を実施することだ。首相にとっては与党内の強硬派を一掃する手段となる上、長期的な救済プログラムの交渉に対する国民の負託を確保できれば、債権者側もギリシャは約束を守りそうだと信頼感を強めるだろう。その結果、現在と将来いずれにおいても資金繰りが楽になる。

チプラス首相が総選挙に踏み切らない限り、債権者が彼の約束を信じるのは難しいだろう。4カ月に及ぶ落胆続きの交渉を経た今、債権者は首相が金だけ確保して改革を怠るのではないかと危惧している。

ドイツを筆頭とするユーロ圏各国政府は、ギリシャ救済のための500億ユーロ超の追加融資を議会に説得するのに苦心しそうだ。IMFとしても追加融資の負担を背負いたくないわけで、IMFが融資しないならドイツ議会を納得させられる見込みはまずない。

チプラス首相が総選挙を宣言し、国を救うためには妥協が必要だと国民に訴えるなら、こうした状況に変化が生じる。国民がユーロ残留を望み、反対派の足並みが乱れていることを考えれば、首相が過半数を制する可能性は高いだろう。

今年2度目の総選挙を実施する最良のタイミングは7月だろう。債権者と目先の合意に漕ぎつけ、長期プログラムの交渉はまだ本格化していない時期だ。

このシナリオでは、首相は幾つかの不人気政策について債権者と合意し、これについて議会の支持を求める。与党内の強硬派から造反者が出そうなため、野党の協力が必要になる。債権者は既存の救済プログラムの融資、残り72億ユーロを実行に移す。これだけではギリシャは夏を乗り切れないため、ECBもギリシャ銀による政府短期国債の追加購入を認める。

チプラス首相はこの時点で総選挙に踏み切る。1月の総選挙から1年を経ていないため、首相はギリシャの法律に基づき与党から出馬する候補者を選ぶことができる。つまり造反者は独自の極左政党を好きに結成すればよいとして、彼らを追い出すことが可能なのだ。

総選挙が国民投票より望ましいのはこのためだ。ショイブレ・ドイツ財務相はあらためて国民の負託を得る手段として国民投票を提唱しているが、国民投票を実施しても国会議員の顔ぶれは変わらず、首相は身動きが取れないだろう。

総選挙後には新たな救済プログラムの交渉が完了する可能性がある。首相がより穏健な議員グループの後ろ盾を得れば、債権者は改革の見返りとしての追加融資に前向きになるだけでなく、ギリシャの巨額債務についてある程度の減免に合意しそうだ。現在実施している利払い猶予の延長と、融資返済期限の延長によって。

おとぎ話のように聞こえるかもしれない。しかしこれは、最悪の結末に至らない数少ないシナリオの一つだ。

*筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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