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コラム:ハイテク株、無分別な売りに潜む「落とし穴」
2017年6月13日 / 00:29 / 3ヶ月前

コラム:ハイテク株、無分別な売りに潜む「落とし穴」

 6月12日、投資家はハイテク株なら何でもかんでも急いで売ろうとしている。写真は米アップルのロゴ。ボスニア・ヘルツェゴビナのゼニツァで昨年4月撮影(2017年 ロイター/Dado Ruvic/Illustration)

[ロンドン 12日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 投資家はハイテク株なら何でもかんでも急いで売ろうとしている。こうした流れが始まったのはどうやら9日のようで、きっかけはゴールドマン・サックスの弱気なリポートと、米アップル(AAPL.O)の新型iPhone(アイフォーン)を巡る懸念だった。

しかし、十把一絡げの無分別な売りは、個別企業ごとの収益力や現金ポジションの大きな違いを覆い隠してしまう。

ハイテク関連セクターは今年に入って急上昇してきただけに、調整は訪れてしかるべき現象だった。8日までにフェイスブック(FB.O)、アップル、アマゾン(AMZN.O)、マイクロソフト(MSFT.O)、グーグル親会社のアルファベット(GOOGL.O)のいわゆる「FAAMG」銘柄は、年初から平均30%値上がりした。この5社のS&P総合500種に占めるウエートは13%だが、ゴールドマンのアナリストの計算では、S&Pの年初来上昇率9%に対する寄与度は3分の1を超える。ロイターのアイコンのデータに基づくと、この間に5社が新たに生み出した時価総額は6630億ドルに達し、アップルの増加分だけで2000億ドルと、コカ・コーラ(KO.N)の時価総額自体より大きくなった。

そうした上昇ぶりと比べれば、9日以降の5社の下げ幅は大したことではない。ただ不安が米国外に飛び火し、中国の騰訊控股(テンセント・ホールディングス)(0700.HK)や韓国のサムスン電子(005930.KS)が12日にそれぞれ2.5%と1.6%の下落を記録。欧州のストックス600ハイテク株指数が約4%下がった。もっとも世界的なハイテク株下落は正当化できないだろう。欧州の最有力ハイテク24銘柄の年初来上昇率は15%と比較的緩やかで、一部の米国勢ほど株価収益率(PER)も高くない。

一方、FAAMGについても投資家は一緒くたにしがちだが、それぞれのバリュエーションは事業モデル同様に極めて異なる。アップルとマイクロソフトの予想利益に基づくPERは15倍と21倍で、アルファベットの26倍やフェイスブックの28倍よりずっと低い。逆にアマゾンに至っては、新たな成長分野に利益を積極的に再投資する方針を反映し、PERは100倍超に達する。

5社のバランスシートも一様ではない。アップルが保有する純キャッシュは1720億ドルと、時価総額の2割強に上る。対照的にアマゾンのキャッシュバッファーは時価総額の4%にとどまっている。

では、なぜのべつまくなしの売りが出たのか。1つ考えられる理由は、当初発生した損失によってアルゴリズムが作動し、ハイテク関連セクター全体からの引き揚げが促されたことだ。あるいは投資家が単にこれまでの含み益を確定させた点も挙げられる。いずれにしてもハイテク株投資家は、ポートフォリオにある銘柄の選別を一層強める時期を迎えたと言える。

●背景となるニュース

*米アップルなどハイテク関連銘柄の株価が12日に軒並み下落。アップルが年内に発売する新型iPhoneに採用されたチップのダウンロードスピードが一部ライバル機種より遅くなる、とブルームバーグが9日に伝えたことで、売りの流れが始まった。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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