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コラム:「80年代相場」の再来はあるか
2016年11月28日 / 05:01 / 10ヶ月前

コラム:「80年代相場」の再来はあるか

 11月25日、米国で大規模減税が実施されて金利が上昇するとの見通しから、国債利回りとドル相場が上昇している。投資家は、同じような政策が導入された1980年代を現状に重ね合わせている。写真は1982年2月、当時のレーガン大統領夫妻(2016年 ロイター)

[ロンドン 25日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 金融市場に懐かしい光景が戻ってきた。米国で大規模減税が実施されて金利が上昇するとの見通しから、国債利回りとドル相場が上昇している。投資家は、同じような政策が導入された1980年代を現状に重ね合わせている。

だが資産価格が過去の動きをなぞるという説を疑ってみる理由は十分ある。

80年代相場復活のきっかけは米大統領選でのトランプ氏の勝利だ。投資家は、財政支出を拡大して減税を実施するというトランプ氏の計画が、財政赤字の膨張を通じたものであれ、とにかく経済成長に追い風を吹かせると見ている。景気拡大によってインフレは高進するため、米連邦準備理事会(FRB)は従来の予想よりも速いペースで、より高い水準まで政策金利を引き上げると予想されている。

このシナリオは30年以上前に起こったこととあまりにも似ている。

当時、新たに就任したレーガン大統領が大規模な財政出動を伴う景気刺激策に踏み出すと同時に、ボルカーFRB議長はインフレを抑制するため政策金利を引き上げた。資産価格も当時と同じように反応している。10年物米国債利回りは11月8日の大統領選以降に急上昇し、2015年7月以降で初めて2.40%を突破した。一方、主要6通貨に対するドル指数は2003年3月以来の高水準に上昇した。

だが80年代の相場再来のシナリオには限界がある。第一に、トランプ氏の保護主義的な政策による悪影響を無視している。輸入品への関税導入は米経済を悪化させ、金利上昇見通しに素早く冷や水を浴びせるだろう。そうなれば米国債利回りの上昇幅についても再考を余儀なくされる。貿易障壁が他国へ与える損害がドル高要因であることには変わりないかもしれないが、ドルの上昇幅については間もなく見通しの修正を迫られそうだ。

 11月25日、米国で大規模減税が実施されて金利が上昇するとの見通しから、国債利回りとドル相場が上昇している。投資家は、同じような政策が導入された1980年代を現状に重ね合わせている。写真はニューヨーク証券取引所のトレーダー。22日撮影(2016年 ロイター/Brendan McDermid)

ほかにも80年代と現在との間には重要な相違点がある。仮にインフレが高進したとしても、イエレンFRB議長が、当時のボルカー議長が鎮静化を図ったような2桁のインフレに直面する公算は小さい。実際、イエレン議長は10月、「高圧経済」を運営していく上では目標を上回るインフレ率を一定期間、容認する可能性があるとの考えをにじませている。80年代に流行した髪型と同様、市場の懐古趣味は時代遅れの印象がぬぐえない。

●背景となるニュース

・主要6通貨に対するドル指数は24日、一時102.05まで上昇し、2003月3月以降で最も高い水準となった。ドル指数は8日の米大統領選でトランプ氏が勝利して以降、4%上昇。2014年初頭以降では27.5%上がっている。

・10年物米国債利回りは23日に2.417%まで上昇し、2015年7月以来の高水準となった。利回りは8日時点では1.862%だった。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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