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コラム:英首相の量的緩和批判は「誤ったシグナル」
2016年10月7日 / 01:32 / 1年前

コラム:英首相の量的緩和批判は「誤ったシグナル」

 10月6日、メイ英首相(写真)は中央銀行の量的金融緩和策を批判したが、これは誤ったシグナルを送る恐れがある。バーミンガムで5日撮影(2016年 ロイター/Toby Melville)

[ロンドン 6日 ロイター BREAKINGVIEWS] - メイ英首相は中央銀行の量的金融緩和(QE)策を批判したが、これは誤ったシグナルを送る恐れがある。金融政策だけでは経済成長を回復できないという指摘はその通りだが、中銀にちょっかいを出しても問題は解決しない。手掛かりは財政支出にある。

首相は5日、保守党の年次大会で、イングランド銀行(英中央銀行、BOE)の債券買い入れ策が金融資産の価格を押し上げているという、おなじみの苦情をまた繰り返した。一方で低金利政策は預金者を犠牲にして債務者を助けた。「変化が必要であり、われわれはそれを実行する」と首相は誓った。

QEと超低金利政策の恩恵が公平に分配されていないことに、疑問の余地はない。しかし、それに対してどんな手が打てるとメイ首相が考えているのかは定かでない。短期金利を決めているのはBOEだ。その仕事を政治家に戻すのなら、英国で20年前に実現した中銀の独立性を反故にすることになる。

しかも、たとえ短期金利が上昇したとしても、英国の借り入れコストに大きな影響は及ぼさないだろう。ブロードベントBOE副総裁が5日に指摘した通り、長期金利は世界全体の動きによって決まる。財政政策を劇的に変えない限り、金融引き締めは英国の成長を一層鈍化させるばかりか、景気後退をもたらす恐れさえある。

QEを批判する者はまた、保守党が過去6年間のほぼすべてにわたり、財政支出の拡大ではなく削減に取り組んできたという事実を無視している。メイ首相は保守党大会で、「財政収支の均衡を目指す」必要性を改めて示した。もっとも、2020年までに収支を均衡させるという約束は取り下げたが。

しつこい低成長、低インフレに立ち向かうため、政治家が経済政策について新鮮なアプローチを検討するのは正しい。野党労働党からは、住宅購入と投資の資金を中銀が刷ったマネーで賄うという構想が持ち上がっている。しかし与党の座にあるのは保守党だ。メイ首相は中銀を攻撃している場合ではなく、景気回復に向けて政府に何ができるのかを示すチャンスだ。

●背景となるニュース

*メイ首相は5日の保守党年次大会で「超低金利と量的緩和策による金融政策は、金融危機後に必要な応急処置を提供したが、悪い副作用があったことも認識すべきだ」と述べた。

*首相は「資産を持つ者はさらに裕福になり、持たざる者は苦しんだ。住宅ローンを抱える者は債務コストが下がり、預金者はより貧しくなった。変化が必要であり、われわれはそれを実行する」と発言。「財政収支の均衡を目指し続ける必要がある」とも述べた。

*ブロードベントBOE副総裁は同日、首相の演説に先立つ講演で、中銀は金利の方向性に限定的な影響しか及ぼせず、長期金利の低さは世界的な現象だと指摘。「金融政策であれ他の何かであれ、国内要因は長期実質金利の支配的な要因にはなり得ず、そうした金利は世界的に決まるものだ」と述べた。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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