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コラム:ソフトバンクの巨大ファンド、ハイテクバブル増幅へ
2016年10月17日 / 03:02 / 1年前

コラム:ソフトバンクの巨大ファンド、ハイテクバブル増幅へ

 10月14日、ソフトバンクグループとサウジアラビアはハイテクバブルに新しい空気を吹き込もうとしている。写真はソフトバンクの孫社長。都内で7月撮影(2016年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

[香港 14日 ロイター BREAKINGVIEWS] - ソフトバンクグループ(9984.T)とサウジアラビアはハイテクバブルに新しい空気を吹き込もうとしている。

孫正義氏率いるソフトバンクとサウジの大手政府系ファンドのパブリック・インベストメント・ファンド(PIF)が設立を計画している投資ファンドは、総額1000億ドルに達する可能性がある。実にとてつもない規模で、旧来型ベンチャーキャピタル投資家が息切れし始めているこのタイミングで、大型レバレッジドバイアウト(LBO)案件の一部に資金を提供したり、新興企業の企業価値を再び押し上げたりするかもしれない。孫氏の守備範囲がいかに広いとしても、ファンドの規律を維持するのは難しいだろう。

新たに設立されるファンドは「ビジョン・ファンド」。PIFは今後5年間で450億ドル、ソフトバンクが250億ドルを出資し、他の大手投資家も参加する。これらを合計すると空前の規模となる。調査会社プレキンによると、昨年の世界のベンチャーキャピタルファンドの調達額は全体で530億ドルにすぎない。過去10年間で1000億ドル超を集めたプライベートエクイティ(PE)企業はブラックストーン・グループだけだ。

ビジョン・ファンドが新興企業に小口の投資を行うベンチャーキャピタルになるのか、規模の大きいグループの経営権を握るバイアウトファンドになるのかははっきりしていない。また、1000億ドルがすべてエクイティなのかどうかも不明だ。もし全額がエクイティならば、これに借り入れ分を加えて数千億ドル規模のLBO案件の実施が可能になる。

ビジョン・ファンドが具体的にどんな事業に投資するのかも不透明だ。シティのアナリストチームは人工知能(AI)や、あらゆるものがつながる「インターネット・オブ・シングス(IoT)」が標的になると予想している。しかし孫氏の興味の対象は幅が広く、「ハイテク」という言葉には「グリーンエネルギー」のような分野も含まれるだろう。ソフトバンクは昨年、バーティ・エンタープライズやフォクスコン(2354.TW)と組み、インドで200億ドル相当の太陽光発電事業を立ち上げている。

もし新興企業を投資対象とするなら、ファンド設立のタイミングは不可解だ。非上場企業のバリュエーションは既にかなり膨らんでおり、投資家は慎重姿勢を強めている。KPMGとCBインサイツのデータによると、7─9月期のベンチャーキャピタルの調達額は240億ドルで前年同期から39%落ち込んだ。上場企業のバリュエーションも上昇しており、上場企業を買収して非公開とする手法も割高になっている。

「クレイジーな構想」を実現したいと社長続投を決めた孫氏だけに、まだ残っている優良な案件を見つけ出すことだろう。しかし1000億ドルもの資金を使おうと身構えているのだから、運用に規律を持たせるのは難しいというものだ。

●背景となるニュース

*ソフトバンクグループは14日、サウジの大手政府系ファンド「パブリック・インベストメント・ファンド(PIF)」と組んで、ハイテク分野を投資対象とする1000億ドル規模のファンドを設立すると発表した。

*ソフトバンクは今後5年間で250億ドルを出資し、PIFも5年間に最大で450億ドルを出資する可能性がある。ソフトバンクによると、他の複数の海外大手投資家との間でも同ファンドへの参加について協議中。

*新たに設立するファンドは、ソフトバンクグループの戦略投資部門の責任者であるラジーブ・ミスラ氏が率いる。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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