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コラム:米経済政策の司令塔不在、予算教書遅れなら市場の逆反応も
2017年2月17日 / 10:33 / 7ヶ月前

コラム:米経済政策の司令塔不在、予算教書遅れなら市場の逆反応も

 2月17日、トランプ政権の経済政策の「司令塔」が不明確で、どのような体系的政策が展開されるのかだれにもわからない状況が続いている。写真は大統領専用機に乗り込むトランプ大統領。6日撮影(2017年 ロイター/Carlos Barria)

[東京 17日 ロイター] - トランプ政権の経済政策の「司令塔」が不明確で、どのような体系的政策が展開されるのかだれにもわからない状況が続いている。安全保障担当の大統領補佐官だったフリン氏が辞任し、「チーム・トランプ」が機能を発揮するのかという点にも懸念が出ている。

予算教書が3月に入って発表されないような事態になれば、「減税期待」で反応してきたマーケットが身構えるリスクも浮上しそうだ。

<人事迷走と新たな火種>

フリン氏の辞任は、「米国通」を自認する向きほど「サプライズ」だったようだ。世界最大の核兵器保有国であり、「最強」の軍事力を擁する米国。その最高権力者を強力にサポートする安全保障担当補佐官は、ホワイトハウスのキーマンだ。

重要ポストに就いていたフリン氏が、1カ月足らずで辞任し、さらに後任に指名されたハワード退役海軍中将が辞退。

また、労働長官に指名されていたパズダー氏が辞退し、トランプ大統領は全米労働関係委員会(NLRB)の元メンバー、アコスタ氏を16日に指名した。相次ぐ人事のごたごたで、チーム・トランプは異例の混迷状態に直面している。

だが、本質的な混乱の「火種」は、経済政策の中に隠されていると指摘したい。

国内の老朽化したインフラを立て直すため、トランプ大統領は「インフラ」投資拡大を公約に掲げている。実行には膨大な資金が必要になるが、そこは海外資金の占めるウエートが高いとみられている。

海外資金の受け入れには、「ドル高」の方が望ましい。実際、ムニューシン米財務長官は、指名公聴会でドルにとって「長期的な力強さは重要になる」と述べている。

一方、トランプ大統領は日米首脳会談で円安批判を封印したものの、その前の製薬会社幹部との会合で、対日批判を展開。新たに設置される国家通商会議の委員長に就任するナバロ氏は、中国が人民元を意図的に安くしているというのが持論で、ドル安を志向していると市場からはみられている。

国家経済会議の委員長にはゴールドマンサックスの社長兼COOだったコーン氏が就任。商務長官にはロス氏が起用されたが、だれがトランプノミクスの「司令塔」なのか、未だに不明なままだ。

減税に対する市場の期待感は高いものの、法人税、所得税をどのように引き下げるのか、共和党との調整の窓口役にだれがなるのかもわかっていない。税制改革は全て議会での法案成立が必要になり、実施まで時間が相当にかかりそうだ。だが、今のところ、その初期段階の調整も行われていない。

<見えない経済政策の整合性>

トランプ大統領が高らかに構想を打ち出している国境税も、同様に議会での法案成立が課税スタートの前提になる。米国内の報道をみると、共和党は輸入品に事実上の課徴金を賦課する方式を想定しているようだが、トランプ大統領のイメージとはかい離しているもようで、この部分の調整もこれからといったところ。

何よりも問題なのは、国境税の実施はそれ自体がドル高の要因になるだけでなく、物価上昇要因となって米連邦準備理事会(FRB)の利上げペースを加速させ、それもドル高要因となる。

また、移民流入規制は、米国内の人件費を押し上げ、さらに物価上昇圧力となり、ドル高を加速させかねない。

しかし、ナバロ氏などはドル高/貿易相手国通貨安が、米貿易赤字増大の大きな原因とみなしており、ドル安志向が強いとみられている。

トランプ政権の目玉政策の中に、為替をめぐって矛盾した要素を抱え込んだ構図になっている。各政策の中で、どの項目を最優先とするのか、司令塔役が決断しなければ、市場から「混乱している」との批判を浴びかねないだろう。

<16日にOMB局長人事が承認>

さらにチームトランプの先行きに不安感が漂うのは、政治任用(ポリティカル・アポインティ)の省庁幹部の選任が進んでいないことだ。

閣僚の上院での指名承認手続きも大幅に遅れており、行政管理予算局(OMB)の局長に指名されていたマルバニー米下院議員の承認は、16日になってようやく行われた。

このためオバマ政権の1期目では、2月28日に提出された予算教書(骨子)が、トランプ政権では3月に入っても提出が難しいのではないか、との観測が一部で浮上している。

もし、3月上旬を過ぎても、予算教書の骨子が出てこない場合、マーケットがトランプ政権の政策実行力や実務執行能力に疑問符を投げかけるリスクが出てくるだろう。

市場の期待とトランプ政権の対応のギャップが大きくなった場合、グローバルマーケットにはショック発生のマグマが溜まることになる。

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