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コラム:戦後初の市場リスク環境、多様な変数と心理のあや
2017年4月14日 / 08:56 / 5ヶ月前

コラム:戦後初の市場リスク環境、多様な変数と心理のあや

 4月14日、東京市場が「地政学リスク」に直面している。朝鮮半島有事の場合はそれをどのように市場価格へと結びつけるのか、頭を悩ませている市場関係者が多い。写真は13日KCNA提供写真(2017年 ロイター)

[東京 14日 ロイター] - 東京市場が「地政学リスク」に直面している。中東戦争やイラク戦争など日本から「遠い」地域での有事は「ドル買い」と単純に反応してきたが、朝鮮半島有事の場合は日本国内も多様なリスクにさらされ、それをどのように市場価格へと結びつけるのか、頭を悩ませている市場関係者が多い。

第2次世界大戦後、初めて日本が経験するリスク環境と言え、米国、中国、北朝鮮、韓国などの動向に「耳目」を集中させる局面となっている。

<リスクに警戒する米当局>

米中央情報局(CIA)のポンペオ長官は13日、ワシントンの米戦略国際問題研究所(CSIS)で講演し、北朝鮮は核弾頭を搭載した大陸間弾道ミサイルを手にして米国を脅かす状況に「かつてないほど近づいている」と警告。米国の選択は狭まっており、「北朝鮮のリーダーにとって、悪い決定と厳しい1日を目にする可能性が高まった」と述べた。

また、米国防総省は、米NBCが米情報機関高官の話として、北朝鮮が核実験を断行すると判断した場合、米国は通常兵器で先制攻撃する用意があると報道したことに対し、コメントを拒否した。そのうえで可能性のあるシナリオについて、公的に憶測を述べることは、ポリシーとして行わないとした。

ダナ・ホワイト広報官は声明で「不測の事態に備え、司令官は常に様々な選択肢を検討している」、「日韓など同盟国の防衛にコミットしている」と述べた。

一方、トランプ米大統領は13日、「北朝鮮は問題だ。その問題は今後、対処される」と述べ、中国の習近平国家主席が問題解決に「懸命に取り組む」との見方を示した。

また、複数の国内メディアは、日本政府が13日に開催した国家安全保障会議(NSC)の関係閣僚会合で、朝鮮半島の有事の際、韓国にいる在留邦人の保護や避難策などについても話し合ったと報道している。

<市場覆う重苦しさとこう着感>

マーケットにはジワジワと緊張感が広がり出しているが、ある国内金融機関の担当者は「日本国内の被害を織り込んでいる参加者はほとんどいないはず」と述べる。

米軍の先制攻撃や北朝鮮の反撃は、互いに多大の損害発生が予見され「合理的に考えれば、両者とも損になる。ブラフはかけても、武力衝突は避けるのではないか」と話す。

14日の東京市場でドル/円JPY=EBSは109円前半、日経平均.N225は1万8300円台を中心としたレンジ取引となっており、先の市場関係者の発言を裏付けるような展開だ。

ただ、別の国内金融機関の関係者は「重苦しいムードになってきたのは事実。リスク資産から安全資産へというマネーフローになりつつある」と話す。

とはいえ「あまりにも変数が多く、ブレグジットの時のように残留か離脱かのような2者択一の決め打ちができない」(冒頭の国内金融機関関係者)との見方が多い。

<市場参加者には読めない軍事的な展開>

複雑な情勢判断を求められる現状では、取引を手控える方向に傾きやすくなっているようだ。

まず、選挙の投票日のような明確な節目が見えないため、いつまでリスクオフ心理が継続するのか読めない、という。

また、米国が認識しているいわゆる「レッドライン」(重大な一線を越えたと判断される出来事)が何か不明であるため、北朝鮮が核実験やミサイル発射を実行した場合、その内容によってその後の事態が大きく変わる可能性があるが、マーケットの一般的な参加者には判断が難しいという声も出ている。

仮に米国の先制攻撃があったとしても、そのオペレーションの内容によって、北朝鮮の反撃手段も変わってくると予想され「軍事専門家のリポートを詳細に探しているが、参考になるような情報は得られていない」と話す参加者もいる。

北朝鮮のミサイル発射によって、日本の排他的経済水域への着弾はあったものの、これまで領土・領海内における被害は発生していない。

しかし、マーケットの重苦しいムードの背景に「もしや」の思いがあるのは確かだ。東京市場は第2次世界大戦後、初めての「緊張感」と向き合っていると言えそうだ。

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