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コラム:「トランプ大統領」で買われる株、売られる株
2016年9月29日 / 06:36 / 1年前

コラム:「トランプ大統領」で買われる株、売られる株

 9月28日、米大統領選まで6週間となるなか、両候補による第1回討論会が終わったが、レースはなお接戦だ。そろそろ、共和党トランプ氏(写真)が民主党クリントン氏を破った場合の株式ポートフォリオを考え始めたほうがよい。ウィスコンシン州で撮影(2016年 ロイター/Jonathan Ernst)

[ニューヨーク 28日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 米大統領選まで6週間となるなか、両候補による第1回討論会が終わったが、レースはなお接戦だ。そろそろ、共和党トランプ氏が民主党クリントン氏を破った場合の株式ポートフォリオを考え始めたほうがよい。

BREAKINGVIEWSは、ロング・ショート戦略をとる株式ヘッジファンドをまねて「トランプ氏勝利ポートフォリオ」を組んでみた。トランプ氏はこれまで、多くの問題について意見を変えることがあり、考え方を把握するのは難しい。ムーディーズ(MCO.N)は6月、トランプ氏の経済政策は具体性が乏しいことから、数値化するのは困難と指摘した。

それでも、経済や金融に関する講演や発言、論文から、「トランプ大統領」が誕生した際にどう取引すればよいのか、ヒントが得られる。トランプ氏の成長計画の骨子は以下の通りだ。1)エネルギーや金融サービスなど産業の規制緩和、2)個人・法人税の減税、3)インフラ投資拡大、4)通商協定の再交渉。また、最大1100万人の不法移民を強制送還し、外国人が米国に流入するのを抑制すると主張している。

安保同盟については「米国優先」政策を掲げており、地政学リスクが高まる可能性がある。トランプ氏は26日の討論会で、日本や韓国、サウジアラビアは国防上の負担をもっと負うべき、との立場をあらためて強調。北大西洋条約機構(NATO)の見直しも主張している。

法人減税が実施されれば、多くの米企業の最終損益が改善するだろう。特に、ゼネラル・エレクトリック(GE)(GE.N)やマイクロソフト(MSFT.O)のような国際企業と違って、税負担を最小化するリソースを持たない国内中心の中小企業にとって効果が大きい。 よって、S&P総合500種指数よりラッセル2000をオーバーウェートとするのが適切。また「米国優先」を踏まえると海外株投資は控えたほうが賢明だ。

メキシコや中国など、トランプ氏が関税や制裁に言及した国で製造している大手輸出業者・企業は、打撃を被る可能性がある。その代表格が、フォード・モーター(F.N)、家電メーカーのワールプール(WHR.N)、ユナイテッド・テクノロジーズ(UTX.N)の一部であるエアコン製造会社キヤリア。これら銘柄はトランプ氏勝利の際の負け組候補だ。

トランプ氏は特定の企業を攻撃してもいる。同氏はアマゾン・ドット・コム(AMZN.O)について「深刻な反トラスト上の問題を抱えている」「税金に関して殺人のような行為をした」などと非難した。アマゾン創業者のジェフ・ベゾス氏はワシントン・ポストを保有しているが、同紙はトランプ氏について「米民主主義への脅威」を書き立てた。トランプ氏のメキシコ人に対する侮辱的なコメントを受けて、百貨店チェーンのメイシーズがトランプブランド商品の取り扱いを停止すると、トランプ氏は「メイシーズで買い物するな」と呼び掛けた。同氏はニューヨーク・タイムズ(NYT.N)について、何度も「失敗」とコメントしている。

トランプ氏が当選後にこれら企業に報復するのか、報復するとしたらどのような行動に出るのか不明だが、優遇しないことは確かだ。よって「トランプ氏勝利ポートフォリオ」ではアンダーウェートとする。

トランプ氏はクリントン氏と同様に、キャリード・インタレストの課税控除を廃止する意向を示している。そうなれば、プライベートエクイティ(PE)、ヘッジファンド業界の収益性が損なわれる。これら業界では、アレス・マネジメント(ARES.N)、ブラックストーン(BX.N)、カーライル(CG.O)、KKR(KKR.N)などの多くの企業が上場している。

トランプ氏を支持している企業は同氏勝利で追い風が吹く。代表的なのがコンチネンタル・リソーシズ(CLR.N)、ボルナド・リアルティー(VNO.N)、ニューコア(NUE.N)だ。ボルナド・リアルティーを率いるスティーブン・ロス氏と、ニューコアの最高経営責任者(CEO)だったダン・ディミッコ氏は、トランプ氏の経済アドバイザーを務めている。

トランプ氏は金融規制改革法を批判し、中小銀行に配慮する下院金融サービス委員会のジェブ・ヘンサーリング委員長を称賛している。よって、バンク・オブ・ザ・オザークス(OZRK.O)やコミュニティー・バンク・システム(CBU.N)などを保有するパワーシェアーズKBWリージョナル・バンキング・ポートフォリオETFを購入し、シティグループ(C.N)をショートとするのがよい。また、石油・ガスの掘削、水圧破砕について障害を取り除くと宣言しており、ファンエック・ベクターズ・アンコンベンショナル・オイル&ガスETFは買いだ。

トランプ氏の移民、通商政策は、勝ち組と負け組の両方を作り出すだろう。同氏の政策通りに、労働人口の5%を強制送還すれば、賃金が上昇し、ウォルマート・ストアーズ(WMT.N)などでの買い物客の懐が潤う。一方、人件費が上がるほか、中国からの輸入品に関税をかければ、モノの値段が上昇することになる。ウォルマートは中国のサプライヤーに大きく依存していることから、トランプ大統領下ではリスクもある。

強制送還する移民の収容施設を建設し、メキシコとの国境沿いに2000マイルの壁を建設するには、バルカン・マテリアルズ(VMC.N)、マーティン・マリエッタ(MLM.N)などが作る建材が大量に必要になる。キャタピラー(CAT.N)やマニトワック(MTW.N)など建機メーカー、KBR(KBR.N)やフルーア(FLR.N)などの建設会社にもプラスと見られる。トランプ氏は、クリントン氏が打ち出している2500億ドルのインフラ支出を倍増すると約束しており、これら銘柄を押し上げる可能性がある。

移民の強制送還は、送金サービスのウエスタン・ユニオン(WU.N)には悪いニュースだ。半面、多数の移民を送還するには5万の航空便・バス便が必要とされ、中南米航路に強いアメリカン航空(AAL.O)とユナイテッド・コンチネンタル(UAL.N)のほか、バスのグレイハウンドを所有する英上場企業ファーストグループ(FGP.L)にはプラスだろう。

トランプ氏は法と秩序を重視する姿勢を示しており、刑務所を所有・運営するコレクションズ・コープ・オブ・アメリカには恩恵となる。全米ライフル協会がトランプ氏を支持しているため、同氏の当選時にはスミス&ウェッソンSWHC.Oなどの銃メーカーにも追い風となる。

投資コミュニティーはこれまでのところ、トランプ氏よりクリントン氏を支持しており、クリントン陣営に対して多額の寄付をしている。ただ投資コミュニティーは、ヘッジすることも十分に知っている。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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