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コラム:北朝鮮情勢緊迫化に動じない米国株に異議あり
2017年8月10日 / 02:33 / 2ヶ月前

コラム:北朝鮮情勢緊迫化に動じない米国株に異議あり

[ニューヨーク 9日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 米国株投資家の貪欲さは、核戦争の可能性を巡る恐怖でさえ圧倒してしまう。株式市場はこれまで、連邦準備理事会(FRB)の利上げや世界的な保護主義ムードの高まり、ワシントンの政治機能不全といった数々の逆風をさらりと受け流してきた。さすがにドナルド・トランプ米大統領が北朝鮮に対してはっきりと警告を発した今回は、安全資産の金などに資金を振り向ける理由になりそうだが、市場は恐ろしい事態が起きる予兆をほとんど示していない。

 8月9日、米国株投資家の貪欲さは、核戦争の可能性を巡る恐怖でさえ圧倒してしまう。写真は、北朝鮮との対話を求める女性。NY市で撮影(2017年 ロイター/Eduardo Munoz)

地政学的緊張は株価の動揺を誘っていない。S&P総合500種は、依然として年初から10%高い水準を維持する。1日の変動率が1%以上に拡大する局面は目にされない。トランプ氏が、北朝鮮が米国を挑発し続ければ「炎と怒りに直面する」と述べた後、シカゴ・オプション取引所のボラティリティ・インデックス(VIX).VIXは一時20%強跳ね上がったものの、その後上昇幅の半分を帳消しにして過去最低近辺で推移している。

核戦争となればそれが小規模だとしても、何が有効な投資戦略かは証明されていない。それでも資金の安全な避難先を模索する動きは多少見えた。例えば金価格は9日に1.5%強上がっている。ただし足元のオンス当たり1277ドルは、まだ今年の狭いレンジ内に余裕でとどまっている。伝統的に混乱時にはもう1つの安全資産とされてきた米国債の値動きも、似たような状況だ。

市場の泰然自若ぶりは、トランプ氏の存在によって説明できるかもしれない。同氏はどう喝的な言辞を非常に気軽かつ頻繁に用いるきらいがある。矛先を向けられた人物は、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長だけでなく、米共和党のミッチ・マコネル上院院内総務や、アマゾン・ドット・コム(AMZN.O)のジェフ・ベゾス最高経営責任者(CEO)など。人々もその言辞をあまり真剣に受け止めなくなってきた。

米企業の収益が市場に落ち着きを与えている面もある。第2・四半期の利益は予想に対して大きく上振れし、バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチによると、S&P500種企業の利益と売上高のアナリスト予想を上回った比率は13年ぶりの高さを記録した。

そうはいっても将来のトラブルを見通す上で、投資家の動きは決して当てにはできない。ノーベル賞を受賞した経済学者のポール・サミュエルソン氏は冗談で、株式市場は過去5回の景気後退について9回予想していたと話したことがある。ちょうど10年前、BNPパリバ(BNPP.PA)は3本の債券ファンドを閉鎖し、世界金融危機の初めての兆しが顕現化した。しかし米国債の価格はこのニュースで3%下げた後、その後2カ月で8%近くの上昇に転じ、それが不幸をもたらした。すべての人のために、この特別な局面では今までと異なる姿勢を取るのが得策だろう。

●背景となるニュース

*北朝鮮は9日、新型中距離弾道ミサイルをグアム周辺に向けて発射することを検討していると表明。トランプ米大統領が、北朝鮮が米国を挑発し続けるなら「炎と怒りに直面する」などと発言し、米軍による全面的な軍事攻撃をちらつかせたことに反応した。

*グアムには16万人強が住んでおり、米軍基地もある。レックス・ティラーソン米国務長官は、トランプ氏の発言に関して「金正恩氏が理解できるような言葉で強いメッセージを送ろうとした」と説明した。

*米紙ワシントン・ポストは8日、北朝鮮が弾道ミサイルに搭載可能な小型の核弾頭を開発したと米情報当局が確信していると伝えた。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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