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コラム:米WHの破産法申請で電力2社の前途多難
2017年3月29日 / 03:34 / 6ヶ月前

コラム:米WHの破産法申請で電力2社の前途多難

 3月28日、米電力会社2社のために建設が進む2カ所の原子力発電所でのコストが想定を著しく上回ったことを受け、東芝傘下の米原発子会社ウエスチングハウス(WH)は、米連邦破産法11条の適用を申請する。写真は建設中のボーグル原発。ジョージア州で2月撮影。提供写真(2017年 ロイター/Georgia Power/Handout via REUTERS )

[ダラス 28日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 米電力会社、スキャナ(SCG.N)とサザン(SO.N)の2社のために建設が進む2カ所の原子力発電所でのコストが想定を著しく上回ったことを受け、東芝(6502.T)傘下の米原発子会社ウエスチングハウス(WH)は28日、米連邦破産法11条の適用を申請する。

ただ、債務整理の過程では、契約条件や損失、融資や税金を巡り交渉の長期化が避けられない。たとえ原発が完工したとしても、これらの電力2社には大きな負担がのしかかることが予想される。

サウスカロライナ州とジョージア州で建設が進むこれらの原発は、38年前のスリーマイル島原発事故以降、初の新規建設案件。しかし、一風変わった設計や建設業者のトラブルなどから工期が3年以上延び、費用は制御不能なまでに膨れ上がった。東芝は2月、ウエスチングハウスが63億ドルの減損を計上する見通しを公表し、東芝会長は引責辞任。上場を維持するため傘下の半導体子会社の入札による売却を余儀なくされている。

一方でWHの負債をだれか引き受けてくれるかどうかについての見通しは暗澹としてきた。韓国電力公社(KEPCO)(015760.KS)が先週、WH買収に関心を持っていないと表明したからだ。

もちろんスキャナとサザンは、計画を自ら引き継いで東芝から補償を請求する道もある。しかし、モルガン・スタンレーのアナリストは、今後必要な費用は想定を85億ドル上回る可能性があり、これは両電力会社の株主が織り込んでいる水準の2倍以上の金額だと指摘している。アナリストは、東芝がこの費用の差額分を支払うことができるとは考えていない。ジョージア州にあるサザン傘下の電力子会社はこれまで、資金調達コストだけでも毎月3000万ドルが必要になるとの見方を示している。

計画を中止することにもリスクがある。原発への投資に対するリターンを顧客から回収することが難しくなるからだ。モルガン・スタンレーは、影響額はスキャナの場合、2017年の純利益の38%、サザンでは7%に相当すると分析している。

ゴールドマン・サックスによると、サウスカロライナ州の原発の総事業費のうちスキャナが負担する分は74億ドルと、同社の企業価値の4割を超える規模に上る。この比率はサザンの場合には6%未満にとどまるものの、サザンには別の問題がある。ジョージア州での計画から手を引けば、同社はエネルギー省から借り入れた26億ドルを巡り窮地に立たされることになる。

こうした事情を考えれば、スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が先週、両電力会社の社債格付け見通しを「ネガティブ」へと引き下げたのも当然だろう。WHの困窮が両電力会社の問題に直結しており、他の電力会社の目には、原子力というものがより扱いにくいものとして映る結果となっている。

●背景となるニュース

*ロイターは事情に詳しい関係筋の話として、ウエスチングハウスが28日、連邦破産法11条の適用申請を計画していると伝えた。

*連邦破産法11条の適用申請により、東芝とスキャナ、サザンの米電力2社は複雑な交渉を始めることになる。その交渉には日米両国政府が参加する可能性もある。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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