焦点:米CIT破綻、ファクタリング部門への影響に懸念広がる
[ニューヨーク 1日 ロイター] 経営難に陥っていた米ノンバンク大手CITグループCIT.Nが1日、連邦破産法第11条(日本の民事再生法に相当)の適用を申請した。
CITの破産法申請は以前から予想されていたが、同社と取引のある中小企業は100万社以上にのぼり、中小企業の資金繰りが悪化するのではないかとの懸念が浮上している。
CITは信用収縮と景気後退(リセッション)で資金繰りが悪化。債権者はすでに同社の再建計画に同意しており、事前調整型の破産法申請で経営再建を目指す。
1日発表された再建計画によると、債権者はCITの債務を約100億ドル圧縮する方針。
ただ、経営再建の長期的な行方は不透明だ。複数の法律関係者によると、取引先の中小企業100万社以上が、新たな資金調達先探しを迫られる恐れがある。
法律事務所ライスマン・パイレス&ライスマンのパートナー、ジェリー・ライスマン氏は「壊滅的な影響が出る恐れがある」と指摘。
同氏によると、特にCITのファクタリング(売掛債権買い取り)部門は全米最大規模で、同部門の顧客である中小企業約2000社への影響が懸念されるという。
CITのファクタリング部門は、顧客である販売業者から売掛債権(1件につき500万ドル─10億ドル)を買い取り、代金の回収を行っている。
ファクタリング部門の顧客の多くは、すでに年末商戦の苦戦が予想されている衣料販売業者。
法律事務所プライヤー・キャッシュマンの破産グループ・パートナー、マーク・ジェイコブズ氏は「景気の良いときであれば、他の金融機関がファクタリング業務への参入を検討しただろうが、今の環境では、信用全般が収縮しており、新規参入は期待できない」と述べた。
全米中小企業協会によると、CITは、昨年の中小企業庁保証ローンの実行額トップで、同融資全体の6%を実行していた。今年1─6月の融資額は、全体の1%に相当する6500万ドルまで減少している。
金融機関全体でも、中小企業向け融資は減っている。連邦預金保険公社(FDIC)によると、1─6月の中小企業向け融資は約2%(148億ドル)減少した。
中小企業庁は7月、CITが破綻すれば影響が大きいとして、ガイトナー財務長官に支援の検討を求めていた。
同庁の広報担当者は、CITの破産法申請に先立ち、再度支援を求めるかを検討する可能性があると述べた。
<業務継続は不透明>
CITファクタリング部門の顧客にとって最大の問題は、同部門が通常通り営業を継続できるかどうかだ。
CITは1日、すべての事業子会社が通常通り営業を続けるとの見通しを示している。
同社のファクタリング部門は、2008年の事業価値が420億ドルと推定されており、事業規模は業界2位のウェルズ・ファーゴ(WFC.N: 株価, 企業情報, レポート)の少なくとも5倍。
その他、GMAC、ローゼンタール&ローゼンタールなどがファクタリング業務を行っているが、CITの既存顧客をすべて引き受けるだけの余力があるかは不明。
CITの顧客の多くは、CITの破綻を見越して、既に融資枠から資金を引き出している。CITが社債権者から緊急融資を取り付けた7月には、1週間の引き出し額が通常の2倍の7億ドルに達した。
CITは顧客への影響を最小限に抑えるため、早期の経営再建を目指すと表明しているが、経営再建の行方は不透明で、取引先の懸念は根強い。
バロン・ストール・ベーダー&ナドラーの弁護士、バノ・ハロウチュニアン氏は「(CITの)取引先企業は、非常に神経質になっている」と述べた。
(Elinor Comlay記者;翻訳 深滝壱哉 編集 宮崎亜巳)
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