良好なリビジョンインデックス、好決算でも足元の株価は慎重
水野 文也記者
[東京 6日 ロイター] 企業収益の方向性を示すリビジョンインデックスの好調さが、上半期の決算発表時に目立っている。中国はじめ需要増加を背景にした外需好調やエコカー減税などの経済対策効果から、2010年3月期業績見通しを上方修正する企業が目立つ。
もっとも、好決算が発表されながら足元の株価は慎重な動きとなるケースが多く、織り込むタイミングは地合いが落ち着いてからとの見方が出ている。
リビジョンインデックスとは、上方修正の企業数から下方修正の企業数を引き、両者の合計で割った指標。プラスであれば上方修正企業が多いことを示し、企業業績の先行きに期待が大きくなる一方、マイナスなら先行きに不安を感じさせる。
新光総合研究所の集計によると、5日までに上半期決算を発表した3月期決算企業691社のうち上方修正を発表した企業は244社、下方修正は159社となった。この数値をもとに算出したリビジョンインデックスは21.0%。第1・四半期(7─9月)決算発表時点では、上方修正が93社、下方修正が83社、リビジョンインデックスは5.6%だったことから改善したことになる。
上方修正の理由として多かったのは、新興国をはじめ世界的に需要が回復し、海外向け売上高が拡大した点だ。たとえば三菱商事(8058.T: 株価, ニュース, レポート)では、けん引した豪州の原料炭事業について「中国向け輸出が好調に推移し、業績を引き上げる要因となった」(上田良一常務)としている。
さらに内外の景気刺激策も、業績上振れに大きく貢献したようだ。
トヨタ自動車(7203.T: 株価, ニュース, レポート)の一丸陽一郎副社長は、エコカー減税の効果について「補助金も上乗せされているため、明確に(効果を台数では)言えないが、保有車代替の進展で大きな成果上がっているのは間違いない」と述べた。パナソニック(6752.T: 株価, ニュース, レポート)の上野山実取締役も省エネ性能が高い家電商品の購入を優遇するエコポイント制度の影響関し「本当に効果があった」と説明。同社では対象となった3商品のうち、テレビは14%、冷蔵庫が18%、それぞれ国内販売が前年同期比で伸び、伸び率も業界平均を上回った。
他方、内需型企業では、景気悪化の影響を業績の下振れ要因として挙げているケースが多い。花王(4452.T: 株価, ニュース, レポート)の尾崎元規社長は下方修正に関し、エコナの販売自粛による減収のほか「景気回復が見えない。化粧品市場やケミカル市場の動向が不透明であることが一番」と要因分析していた。JR東日本(9020.T: 株価, ニュース, レポート)の大和田徹常務によると「駅構内の物販が景気悪化の影響を受けている。鉄道事業は景気に遅行する点を踏まえれば、定期券収入については先行き収益減少のリスク要因になる可能性があるなど、足元は改善に向かったが楽観できない」という。
全体的には業績は上振れ傾向にあるものの、株価はこうした好実態を織り込んでいるとは言い難い。上方修正を発表した後の株価は、いったん買われる場面がありながも、発表前の水準で低迷する銘柄が目立つ。5日に10年3月期の予想営業赤字幅が半減すると修正を発表したトヨタ自動車が、前日比60円安で大引けたのはその典型例だ。
市場では「足元の業績は好調なものの、先行きに対して不透明感が漂っている点が気にされている可能性もある」(準大手証券情報担当者)との見方があった。
企業関係者の間でも「米国の個人消費回復には時間がかかるとみている。米個人消費が本格的に回復しないと、輸出依存度の高い日本の景気もそう簡単には戻らない。中国は好調だが消費は相対的に限られた水準だから、今後も用心しないといけない」(三菱商事の上田常務)といった声が出ている。
また、発表直後はアナリストが修正内容について分析途中で、市場の評価が定まっていない点を上昇力の鈍い株価動向の要因として挙げる向きもいる。10月30日に上方修正を発表し、その直後に株価が下がり、今月5日のアナリスト説明会後のレーティング引き上げで、一転して6日に上昇したイビデン(4062.T: 株価, ニュース, レポート)が、その代表的な例とみることができる。
イビデンのアナリスト説明会に出席した岡地証券・投資情報室長の森裕恭氏は「インテル(INTC.O: 株価, 企業情報, レポート)向けパッケージの供給は、これまで同社を含め3社体制だったのが、このうち日本特殊陶業(5334.T: 株価, ニュース, レポート)が契約解除。2社体制になることで、特陶が従来納入していた分がどれだけイビデンにくるかといったメリットに、出席したアナリストの質問が集中していた」と明かす。
その上で森氏は「アナリストの分析が一巡した段階で、決算を評価する形の機関投資家の買いが入ると考えられる」とコメントしていた。
さらに「海外ヘッジファンドが決算を意識し換金売りに動くなど、マーケットの需給が悪化していることも、決算の内容が良いにもかかわらず積極的な買いが入らない要因だ」(外資系証券トレーダー)との指摘もある。
需給悪によって、好業績株に対する投資マインドが冷えた格好だが「上向きの業績を考えれば売る理由はない。決算を前にした換金売りが、株価の頭を抑える要因であるのなら、いずれは好実態が見直される可能性もある。ここは悲観する場面ではない」(みずほインベスターズ証券・エクイティ情報部部長の石川照久氏)という。
(ロイター日本語ニュース 編集 田巻 一彦)
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