訂正:インタビュー:パルコ株、転換価格付近に上昇なら売却も=森トラスト社長
[東京 3日 ロイター] 森トラスト(東京都港区)の森章社長は3日、ロイターとのインタビューで、同社が33.26%を保有するパルコ(8251.T: 株価, ニュース, レポート)が日本政策投資銀行(DBJ)を割当先として新株予約権付社債(CB)を発行することに、反対する考えに変わりはないと述べた。現在筆頭株主の森トラストは、CBの発行差し止め請求や、パルコの株式公開買い付け(TOB)も考えていないとしたが、株価が転換価格(790円)あたりまで上昇すれば、パルコ株の売却も検討するほか、株主総会でパルコの現経営陣を退陣に追い込む案も選択肢だと指摘した。
パルコは8月25日、DBJに対する第三者割当増資で150億円のCBを発行し、中国での事業展開や財務戦略などでDBJから協力を得ると発表。CBが普通株に転換すると、DBJは18.73%のパルコ株を保有する第2位株主になる一方、森トラストの持ち株比率は33.26%から27.03%に下がる。払込期日は9月9日。
インタビューの主なやり取りは以下の通り。
──パルコの行動に驚がくしCB発行は反対との立場だったが、変わりはないか。
「ない。こちらは、今年1月、当時の(パルコ)伊東(訂正)会長に、第三者割当増資を提案していた。パルコはお金も必要だろうからそれがいいと思っていたし、われわれも中国は興味があるので、一緒に展開できると考えていた。8月25日の(パルコ)役員会の前に9時14分にファックスをし、CB発行には反対で慎重な姿勢を取るよう申し入れをしたが、それ以来返事はない」
──(25日会見の直後)パルコは、森トラストにCB発行の了解を得ていると話していたが。
「16日にアポイントを入れて24日午後4時に説明に来た。それで25日に公表というのは完全な確信犯だ。了解はしていないので(24日は)追い返した。(CBの)転換価格を決めた後の宣戦布告になるので、パールハーバーのようなものだ」
──森トラストとしてパルコに第三者割当増資を提案していたのはなぜか。
「TOBで買い増してもパルコにお金は入らないので、第三者割当増資がいいと思っていた。(持ち分を)45─49%になるようにするためだ。パルコは今年2月あたりに、借りていた浦和のビルを買ったなどと事後報告をしてきた。われわれはこれまでサイレント株主だったが、強力に指導しなければと思うようになった。パルコがじり貧の国内でやるだけでなく、中国へ行くことを提案していたのも我々だ」
──森トラストとしてはパルコに何を提案していたのか。
「我々はパルコにお金を入れて傘下に入った方が、合従連衡や地方進出もしやすいと考えていた。小売業界はそうしなければやっていけなくなる。個々に上手くいく場合はあっても、国内は少子高齢化でパルコの顧客は少なくなるのでじり貧だ。これはDBJにとって出口はないだろう」
──なぜそう思うか。
「転換価格は790円という高水準だし、(普通株に転換後は)18%超もの株式を持って、いったいどうするのだろう。いずれ売らなければならないが、仮に転換できても売ればすぐに株価は下がる。出口はないも同然だ」
──9月9日がDBJによる払込期限だがアクションは取るのか。
「なにもしない。放っておく。既存の株主や世論がどうなるかだ。(DBJは)払込みをするだろうが(われわれは)それまで何もしない。金利も安いので借りておいたらよいかと思う」
──他の株主と連絡は取っているか。
「目下していない。そのうちに、株価に現れるだろう
──しばらく様子見ですね。
「そうだ。790円になったら売ってしまうかもしれない。だからDBJは(転換、エグジットは)無理だ。DBJも困っているのではないか」
──パルコ株の売却以外に、他にどのようなやり方があると考えるか。
「既存の株主の反対が起きて、社長を首にしろと盛り上がるかもしれない。臨時総会は3%株式を持っていれば招集できる。パルコを傘下に入れたいところがあれば、そこに株を売るか一緒にやる方法もある。誰かがパルコ株を買い(森トラストとあわせて)50%以上になる。興味を持っている人はたくさんいるだろう」
──パルコの株式の公開買付け(TOB)をする意思はないのか。
「TOBは敵対的だと(公開買付け代理人になる)証券会社がいなくなる。証券会社もそういうこと(敵対的TOBを)やらない習慣になっている。我々も、社会的に通用する範囲内で物事をやりたい」
──CBの発行差し止め請求はなぜしないのか。
「そんなにガタガタしてもしょうがない。差し止め請求はなかなか通らない」
──森トラストもDBJから融資を受けているから、差し止め請求をしにくいのか。
「そういうことはない。最初は驚いたが、馬鹿なことやるなということで、目下あきれはてている。いちいち事を荒立てる必要はない。みな反省して、DBJも黙っているわけにはいかず、何かご挨拶があるだろう。執行役員ではなくボード役員が来ないとだめだ。もともとDBJがわれわれに相談に来ればよかったのだ」
──DBJは昨年末からエクイティ投資にも関与するようになった。国の銀行が特定の上場企業のエクイティ出資に関わるのをどう思うか。
「政投銀の存在価値がどこになるのかということだ。成長のためにお金を入れて非上場会社を成長させ、IPO(新規公開)して、その株を上場時に売るのは当たり前のコース。しかしわれわれが大株主として存在するのに、そこに黙ってやるのは馬鹿げている。(DBJIA発足後の)成長戦略支援の第一号案件として飛びついたのだろうが、毒まんじゅうを食べてしまった。(DBJは)民営化の方向の中、新しいビジネスモデルでもやらないと生き残る策がないのだろう」
「われわれは急がない。いろいろな選択肢があるが、受身で考える。株価が上がってくれば(パルコを買いたいと手を上げる)候補もいなくなるし、既存株主は売ってしまうため、なかなか転換するような価格にはならない。DBJは困るしパルコだって困るだけだ。そのうちに償還が来てしまう。3カ年計画と称して成績を挙げて、転換されて自己資本が増えるという図式。しかし、このまま償還になると資本も入らず困るだろう」
(ロイターニュース 清水 律子、江本 恵美)
*3段落目の会長名の漢字表記を「伊藤」から「伊東」に訂正します。
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